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第八話 炎の化身
ケンガの知り合い?
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そんな会話を交わしたのち、冒険者たちは機関の準備に取り掛かっていた。報告書を適当にまとめて、次々と道を引き返していく。
「バッファローの町に寄ってけばいいのに」と言うナガレの言葉も受け入れられなかった。
実質ゼロリスクで報酬を手に入れられるため、心なしが冒険者たちの表情も明るい。
(なんだ、もう帰るのか? もっと褒めてくれても良いんだが)
ナガレのそばでず~~っと得意げに胸を張っていたケンガも、ようやく目を開ける。……実際の所リーダー格の男の眼中にもなかったが、どうやらケンガの脳内では褒めちぎられていたようだ。
「どいつもこいつも、見たことあってヤな感じだな」
どうやらほとんどの冒険者が、タイガス所属のようだ。しかし見たことのない冒険者も確かにいる。どうもタイガスだけでなく、付近の町や村からもやって来たようだ。
……その時、冒険者たちの人混みの中から突然何者かが身を乗り出した。
「ケンガ⁉︎」
「ん! なんだなんだ、俺様のファンか? あいにくサインしてやるには、書くものを持っていなくてな……」
ちょっと低めだが、確かに女性の声だ。あらぬ事を期待して、余裕たっぷりにそちらを向いたケンガだったが……。
「…………なッ⁉︎」
その余裕は、あっという間にかき消えた。声の主は、毛皮で作られた軽い革鎧を来た、朝黒く日焼けした金髪ボブカットの少女。目を丸くしてケンガを見つめている。
「ウソ……ケンガだよね」
「な……なぜお前が……?」
「ケンガ! アタシだよ、分からない⁉︎」
少女はなおも話しかけて来る。ケンガは唖然としたまま、その名前を呼んだ。
「か……カナ……⁉︎」
「ん、なんでえどうしたケンガ、アイツ知り合いか?」
ナガレが気づいて声をかけるも、ケンガは完全無視。ナガレの言葉など聞こえていないようだ。
「……ケンガ?」
反応無しで首を捻るナガレ。少女はなおも近寄ろうとしたが……その時横から、友達らしき女冒険者が出て来て腕を掴んだ。
「何してんの、カナ! ほら早く帰ろ? 私らのスワロー村ギルドへ」
「え? あ……」
「はいはいったら! 確かにあの冒険者マジで可愛い系男子だけど、疲れてるだろうし今はそっとしとこう! ねっ!」
……思いっきりナガレの方を見ながらそんなことを言って、少女をぐいぐい引っ張っていく。あっという間に人混みに紛れ、見えなくなってしまった。
それを皮切りに、冒険者たちは次々と来た道を戻っていった。
「アイツなんて言ってたんだ? オレの方見てたけどよく聞こえなかった」
「……聞こえんでよかっただろう。知らない方がいいこともある。それよりナガレ、これを」
ナガレの隣にジョーがやって来て、スカーフを手渡した。もう正体を隠す必要はないだろうが、相変わらず黒マスクはつけたままである。
「おう、いいって事よ! んな事より……ケンガ、ホントにどうしたんだ? 明らかに他人じゃあ無さそうだったけど」
ナガレが聞くと、ケンガはようやくハッとして向き直った。額に冷や汗をかいている。
「い、いや……何でもない。昔の知り合いに似ていたが、きっと人違いだ。アイツが……アイツがこんなところにいるわけがない」
「……? まあいいや、それなら早く帰ろう! 今日は勝利の酒盛りだぞ~! いやその前にマスターに頼んで、遺体を回収してもらわないとな」
モンスターの遺体は放っておけば、他のモンスターに食べられたり腐ってしまったりなど事件につながる。そのため早めに報告して、町の若者などが中心となった回収部隊が拠点まで持って帰る……というの定石だ。大きな街ではギルド内の職員が向かってくれるのだが、当然田舎町のバッファローにそんなものはない。
「バッファローの町に寄ってけばいいのに」と言うナガレの言葉も受け入れられなかった。
実質ゼロリスクで報酬を手に入れられるため、心なしが冒険者たちの表情も明るい。
(なんだ、もう帰るのか? もっと褒めてくれても良いんだが)
ナガレのそばでず~~っと得意げに胸を張っていたケンガも、ようやく目を開ける。……実際の所リーダー格の男の眼中にもなかったが、どうやらケンガの脳内では褒めちぎられていたようだ。
「どいつもこいつも、見たことあってヤな感じだな」
どうやらほとんどの冒険者が、タイガス所属のようだ。しかし見たことのない冒険者も確かにいる。どうもタイガスだけでなく、付近の町や村からもやって来たようだ。
……その時、冒険者たちの人混みの中から突然何者かが身を乗り出した。
「ケンガ⁉︎」
「ん! なんだなんだ、俺様のファンか? あいにくサインしてやるには、書くものを持っていなくてな……」
ちょっと低めだが、確かに女性の声だ。あらぬ事を期待して、余裕たっぷりにそちらを向いたケンガだったが……。
「…………なッ⁉︎」
その余裕は、あっという間にかき消えた。声の主は、毛皮で作られた軽い革鎧を来た、朝黒く日焼けした金髪ボブカットの少女。目を丸くしてケンガを見つめている。
「ウソ……ケンガだよね」
「な……なぜお前が……?」
「ケンガ! アタシだよ、分からない⁉︎」
少女はなおも話しかけて来る。ケンガは唖然としたまま、その名前を呼んだ。
「か……カナ……⁉︎」
「ん、なんでえどうしたケンガ、アイツ知り合いか?」
ナガレが気づいて声をかけるも、ケンガは完全無視。ナガレの言葉など聞こえていないようだ。
「……ケンガ?」
反応無しで首を捻るナガレ。少女はなおも近寄ろうとしたが……その時横から、友達らしき女冒険者が出て来て腕を掴んだ。
「何してんの、カナ! ほら早く帰ろ? 私らのスワロー村ギルドへ」
「え? あ……」
「はいはいったら! 確かにあの冒険者マジで可愛い系男子だけど、疲れてるだろうし今はそっとしとこう! ねっ!」
……思いっきりナガレの方を見ながらそんなことを言って、少女をぐいぐい引っ張っていく。あっという間に人混みに紛れ、見えなくなってしまった。
それを皮切りに、冒険者たちは次々と来た道を戻っていった。
「アイツなんて言ってたんだ? オレの方見てたけどよく聞こえなかった」
「……聞こえんでよかっただろう。知らない方がいいこともある。それよりナガレ、これを」
ナガレの隣にジョーがやって来て、スカーフを手渡した。もう正体を隠す必要はないだろうが、相変わらず黒マスクはつけたままである。
「おう、いいって事よ! んな事より……ケンガ、ホントにどうしたんだ? 明らかに他人じゃあ無さそうだったけど」
ナガレが聞くと、ケンガはようやくハッとして向き直った。額に冷や汗をかいている。
「い、いや……何でもない。昔の知り合いに似ていたが、きっと人違いだ。アイツが……アイツがこんなところにいるわけがない」
「……? まあいいや、それなら早く帰ろう! 今日は勝利の酒盛りだぞ~! いやその前にマスターに頼んで、遺体を回収してもらわないとな」
モンスターの遺体は放っておけば、他のモンスターに食べられたり腐ってしまったりなど事件につながる。そのため早めに報告して、町の若者などが中心となった回収部隊が拠点まで持って帰る……というの定石だ。大きな街ではギルド内の職員が向かってくれるのだが、当然田舎町のバッファローにそんなものはない。
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