崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

文字の大きさ
172 / 1,797
第八話 炎の化身

ケンガの知り合い?

しおりを挟む
 そんな会話を交わしたのち、冒険者たちは機関の準備に取り掛かっていた。報告書を適当にまとめて、次々と道を引き返していく。
「バッファローの町に寄ってけばいいのに」と言うナガレの言葉も受け入れられなかった。
 実質ゼロリスクで報酬を手に入れられるため、心なしが冒険者たちの表情も明るい。
(なんだ、もう帰るのか? もっと褒めてくれても良いんだが)
 ナガレのそばでず~~っと得意げに胸を張っていたケンガも、ようやく目を開ける。……実際の所リーダー格の男の眼中にもなかったが、どうやらケンガの脳内では褒めちぎられていたようだ。
「どいつもこいつも、見たことあってヤな感じだな」
 どうやらほとんどの冒険者が、タイガス所属のようだ。しかし見たことのない冒険者も確かにいる。どうもタイガスだけでなく、付近の町や村からもやって来たようだ。

 ……その時、冒険者たちの人混みの中から突然何者かが身を乗り出した。
「ケンガ⁉︎」
「ん! なんだなんだ、俺様のファンか? あいにくサインしてやるには、書くものを持っていなくてな……」
 ちょっと低めだが、確かに女性の声だ。あらぬ事を期待して、余裕たっぷりにそちらを向いたケンガだったが……。

「…………なッ⁉︎」
 その余裕は、あっという間にかき消えた。声の主は、毛皮で作られた軽い革鎧を来た、朝黒く日焼けした金髪ボブカットの少女。目を丸くしてケンガを見つめている。
「ウソ……ケンガだよね」
「な……なぜお前が……?」
「ケンガ! アタシだよ、分からない⁉︎」
 少女はなおも話しかけて来る。ケンガは唖然としたまま、その名前を呼んだ。

「か……カナ……⁉︎」

「ん、なんでえどうしたケンガ、アイツ知り合いか?」
 ナガレが気づいて声をかけるも、ケンガは完全無視。ナガレの言葉など聞こえていないようだ。
「……ケンガ?」
 反応無しで首を捻るナガレ。少女はなおも近寄ろうとしたが……その時横から、友達らしき女冒険者が出て来て腕を掴んだ。
「何してんの、カナ! ほら早く帰ろ? 私らのスワロー村ギルドへ」
「え? あ……」
「はいはいったら! 確かにあの冒険者マジで可愛い系男子だけど、疲れてるだろうし今はそっとしとこう! ねっ!」
 ……思いっきりナガレの方を見ながらそんなことを言って、少女をぐいぐい引っ張っていく。あっという間に人混みに紛れ、見えなくなってしまった。

 それを皮切りに、冒険者たちは次々と来た道を戻っていった。
「アイツなんて言ってたんだ? オレの方見てたけどよく聞こえなかった」
「……聞こえんでよかっただろう。知らない方がいいこともある。それよりナガレ、これを」
 ナガレの隣にジョーがやって来て、スカーフを手渡した。もう正体を隠す必要はないだろうが、相変わらず黒マスクはつけたままである。
「おう、いいって事よ! んな事より……ケンガ、ホントにどうしたんだ? 明らかに他人じゃあ無さそうだったけど」
 ナガレが聞くと、ケンガはようやくハッとして向き直った。額に冷や汗をかいている。
「い、いや……何でもない。昔の知り合いに似ていたが、きっと人違いだ。アイツが……アイツがこんなところにいるわけがない」
「……? まあいいや、それなら早く帰ろう! 今日は勝利の酒盛りだぞ~! いやその前にマスターに頼んで、遺体を回収してもらわないとな」
 モンスターの遺体は放っておけば、他のモンスターに食べられたり腐ってしまったりなど事件につながる。そのため早めに報告して、町の若者などが中心となった回収部隊が拠点まで持って帰る……というの定石だ。大きな街ではギルド内の職員が向かってくれるのだが、当然田舎町のバッファローにそんなものはない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...