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第十一話 さらば、アタカンの子息
ホリデーの一コマ
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ナガレたちが帰ってきて、ぐっすり休んでいる間に夜が明けた……。
「ジョーくんお土産ありがと~! ふ~、おいひい~!」
「同感だ! ふめぇ~!」
アルカナショップ店前では、壁に持たれるジョーのそばでアリッサとルックが並んでクッキーを食べていた。(なぜか)いち早く復旧していたキンテツ村お土産ショップにて、ジョーがお土産で買ってきたものだ。
「ジョーふんもたへる~?」
「……飲み込んでから喋った方がいいぞ」
「ふへへ~♪」
謳い文句は『キンテツ村の牧場で育った濃厚ミルクと新鮮な卵で作られた、出来立て甘くて美味しいキンテツクッキー! 十五コ入りで二十一ダラー!』とのことらしい。
しかしキンテツ村の牧場はまだ復旧中、クッキー作りどころか家畜の世話さえロクに出来てない。果たしてそのクッキーは、本当にキンテツ村で作られたのだろうか……。
「いやー、キンテツ村は農業のレベルが違いますなー。それが甘さに出てきてるよ」
「そうかぁ? 美味いっちゃ美味いけどよぉ、バッファローの牧場のおばちゃんに作って貰ったクッキーとそんなに変わらねぇ気がすっけどなぁー」
「バカ舌ねぇルック。この味の違いが分からないなんてぇ。その点あたしはグルメな乙女だから~(キラッ)」
「…………」
まあ、喜んでもらえたならジョーも何よりである。
「お父さん、こんなに服いらないよ……」
「良いんだよ! ほれ、こっちのコートなんてどうだ? ウエスタンシープの毛皮が使われてる、真冬の荒野でもヘッチャラだ」
「こっちのレザージャケットも良いんじゃ無い~? 割と安物だけど、ナガレ君とおそろいの色違いよ~♡」
そのころ町の洋服店にて、タネツとターショ……そしてヒズマが冬服を選んでいる。スラガン地方の冬は一見暖かそうだが、気温はグッと下がるし冷たい風が吹くため結構寒い。
「おいおい、それじゃターショが寒いだろ!」
「タネツったら~、良い? 冬ってのはオシャレの本番なのよ~! 夏とは違って帽子、シャツとズボンだけじゃなくって、ジャケットとかコートとかマフラーに耳当てまで、いろんなアイテムを組み合わせる時期なの! ここで手を抜いちゃダメ~!」
「何を! 機能性こそ全てだ! 付き添いだけでゴチャゴチャ言ってんじゃねーぞ!」
「何ですって~! その付き添いに来て欲しいって行ったのは、どこの誰だったかしら~?」
「お前がこんなにグチグチ言うなら頼まなかったぜ!」
「言ったわね……この分からず屋~っ!」
「お父さんもヒズマお姉さんも……勘弁してぇ~……」
カランカラーン……。
「……なあヴァレリー、ホントにあのレシピが『おスシ』なんだよな? コウヨウ地方の伝統料理がこんな簡単に……」
「だからそうだって言ってんでしょうが! ライスに魚の切り身乗っけたのたくさん作れって、本に書いてあったっすよ!」
「あ、しまった……ライスに混ぜるビネガーが少し少なかったかも……」
「アタシだって作ったことないんだし仕方ないっすよ! ああドキドキする、いつか一緒に暮らすことになる料理人として、てんちょーをガッカリさせたくない……!」
(おめえはバイトだろ! 就職するつもりか!)
またそのころ、人気のないツーテン食堂でキッチンからカウンター座席を覗く二つの影。口が悪いおませなバイトのヴァレリーちゃんと、バツイチで男やもめのエディ店長だ。
その視線の先では……ナガレとサキミが平和にお食事会していた。二人仲良く並んで食べているのは、新鮮な生魚の切り身が、小さく固めたライスの上に乗っかった謎の料理……。これは異文化のコウヨウ地方の料理『スシ』という食べ物らしい。
とはいえエディ店長はこんな料理作ったことなかった。だがヴァレリーちゃんが「ウチのてんちょーはスゴい料理人っす! 食べたいものがあれば何でも言ってください」とか言ったせいで……。
「そうなんですか? わあ、すごいです! では……久しぶりに『スシ』という料理が食べたいです。出来ますかね……? 明日ナガレさんが帰ってくるので、労ってあげたいんです」
と、だいぶ無茶振りされてしまった。後に引けない店長は必死にレシピを本で調べ、なんとか出せるレベルにはなったのだが、とにかく大変だったようだ……。
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