崩壊寸前のどん底冒険者ギルドに加入したオレ、解散の危機だろうと仲間と共に友情努力勝利で成り上がり

イミヅカ

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第十一話 さらば、アタカンの子息

魔術師の消失

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「……クッ」
 ケンガは手で目を覆う。それは顔を、涙でぐしょぐしょの顔を隠したかったのだろう。
「…………正直、ずっと前からやめようと思ってたんだ。お前がいちいちスキルを知ろうとしてきた、あの時からな。だけどよ……」
 ケンガは涙を拭って、ナガレを睨みつける。
「お前の声が……『諦めるな』って言葉が、生き様が、俺の体に巻きついてずっと引き止めやがったんだ」
「……!」
「実際にその声で、嫁を寝取られた初老のオッサンも、行き遅れで残念処女の中年ババアも……復讐の鬼に落ちた元Sランク冒険者だって、みんな希望を持って歩いてやがる。お前のそばにいれば、俺だっていつか……みんなみたいに強くなれる。こんな俺でも希望を持って、生きていける。そんな気がしたんだ」
 ケンガは一瞬だけ、いつものように自信に溢れた笑みを浮かべる。しかしすぐに俯いてしまった。
「だけど……俺には無理だったよ。もう前を向いて進むのも辛い。ガムシャラに頑張ろうとしても、カナたちの、サニーの、怖い顔した親父の顔が頭から離れないんだ……」
「そんな、ケンガ……! 待ってくれ、お願いだからさ……」
「……じゃあな、ナガレ。お前との生活、悪くはなかったぜ……」
 そう言ってケンガは涙を拭い、今度こそ踵を返し歩き出す。今度こそ、振り返らずに去っていく……。

「ケンガっ!」
 ナガレはなおもその背中を追いかけようとして……いきなり後ろから羽交い締めにされた。
「うわっ⁉︎」
「……追うな、ナガレ。あいつの意思は硬い」
 横にいたのはジョーだ。
「……ケンガのデバフスキルは『低圧プレッサー』だったのか。なるほど……治しにくい厄介なスキルだな。奴の魔法が弱かったのは、それが原因か」
 低圧プレッサーの効果でケンガの魔法は、遠くに行けば行くほど勢いが弱まってしまう。遠距離戦法がモットーの魔術師としては極めて相性が悪いスキルだ。
「そうだったんですか……」
 すぐ近くにヒズマとサニーもいる。と言うことは、掴んでいるのは……。
「全然戻ってこねえから、心配してみんなで来たんだ。……まさかあんな状況まで、ケンガの奴が追い詰められてたとは」
「……私、ケンガ君の気持ち全然分かってなかったわ~……」
「俺もだ。なんつーか、俺って最低だな……」
 落ち込むみんなを慰めたのは、サニーの一声だった。
「ケンガさんはきっと、みなさんの優しさで踏みとどまって来たんですね。……我々は今、出来ることをしましょう。それはバッファローに帰って、マスターに報告をすることだと思います」
「サニー……そうだな。行こう」
 いつまでもウジウジしてはいられない。ナガレも迷いを振り払って後ろを向いた。マスターとアルクル、アリッサとルック、マディソンにドロシー……そしてサキミに会いたい気分かもしれない。

(ケンガ……また戻ってこい。オレはずっとお前を待ってるからな……!)

 心の中でそう願って、帰りの馬車に乗り込んだ。
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