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第十三話 スライムパニック
果報は寝て待て
しおりを挟む(……さて、これからどうしよう)
あと一週間経てば、ツラい立場から解放される。だがせっかく女装までして潜り込んだのだから、何か手がかりを見つけたい。
(……とはいえ、どうしたもんか)
そんなことを考えながら一階のクエストカウンターへ向かう。いつも通りたくさんの冒険者がいた。クエストを受けたり、作戦を考えたり、特に意味もなく駄弁ってたり、その過ごし方も様々だ。
……と、曲がり角を曲がったところに見たことある顔の人がいた。
「お? 君は……」
「あ、セキュリティのお兄さん。いつもありがとうございます」
そう、ナガレをいろいろ褒めてくれたあのグラサンかけた青年だ。だが今日は非番なのか、いつものスーツみたいな軽装とは違ってオシャレな外套に暖かそうな長ズボンといったラフな格好だ。
「レガーナさん。こんにちは。調子はどうだい?」
「あ、はい、ボチボチです。これからどこか出かけられるんですか?」
「ああ。今日の仕事はもう終わったから、今から帰るところなんだ」
「お疲れ様でした! それじゃ、邪魔しちゃ悪いですね」
「フッ……そんなこと思ってないさ。ところでさっきまで考え込むような顔してたけど、何か悩みでもあるのかい?」
結構グイグイ聞いてくる。結構気さくなタイプのようだ。でもセキュリティがアイドルにこんなに迫って、職務上大丈夫なんだろうか?
「あー、バレちゃいましたかね……実はかくかくしかじかで……」
さすがに目的を馬鹿正直に話すわけにはいかない。色々湾曲させていくと、結果的に『出世したい』と言うことになった。
それを聞いたグラサンの兄ちゃんは「そっかー」とニコニコ笑った。
「いやあ上昇志向のある良い娘だねぇ! その成り上がり的根性、結構結構! ……そうだなぁ。でもリーダーとて、君だけを特別扱いするわけにもいかないだろうね」
「ははは、やっぱりそうですよね~」
確かに特別扱いは良くない。……だがフローレンスを虐め倒すような特別扱いは、もっと良くないと思う。何とかしてやりたいが……。
「待っていればきっとチャンスは巡ってくる。でも成り上がるつもりだったら、タカを括ってはいけないぞ。そのチャンスを逃せば次はいつになるか分からない。その時に大活躍できるように修行を積んで、チャンスをモノにするんだ」
「そうですね……はいっ、分かりました!」
ナガレもパッと顔を上げて、元気に返事を返した。それを見たサングラスの兄ちゃんはニコッと笑う。
「良い返事だ。その様子から、きっと大丈夫! それじゃあね」
そう言って兄ちゃんは出口へ歩いていく。……と、チラリと振り返った。
「そうそう、僕はオータムって名前なんだ。よろしくね」
「はいっ、よろしくお願いします!」
ナガレの返事を聞いて、グラサンの兄ちゃん……オータムは今度こそ去っていった。
「結構良いこと言うじゃん。オレも頑張らないとだな……!」
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