【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都

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招待状

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 漆黒の闇を煌々と満月が照らし、月光が窓ガラスを通して部屋まで差し込む真夜中、執務を終えたクロードがバルコニーへと抜けると息をついた。

 ようやく、終わったな……

 闇に溶けそうなクロードの美しい漆黒の長髪が風に揺れ、頬にかかる満月の光に空を見上げる。

 ルチアと初めて出会ったのも、こんな漆黒の闇に満月が浮かぶ夜だったな。

 野盗から追われ、自分の背中に隠れて怯えていたルチアの姿を思い出す。

 あの時の娘が、まさかグレートブルタン国のプリンセスだったとは、思いもしなかったが……

 歓迎の晩餐会で再会した時のルチアの驚いた顔を思い出し、ふっと笑みを溢す。

 森で自分を救ってくれた礼を言うルチアに、そんなことは知らないと頑なに言い張った。もうあの頃の自分はいないのだと、切り捨てるつもりだった。

 前王であった父を倒して籠城し、新国王となったクロード。本当に信頼できる数人の部下のみを自分の側におき、それ以外の人間には決して隙を見せなかった。

 国民の前に決して姿を現さず、陰でシュタート王国を操ると噂された冷徹な国王、それがクロードだった。婚姻でさえも、政治上の契約としか思っていなかった。

 けれど、ルチアは信じなかった。どれだけ冷たく接しても、酷い言葉を投げつけても、彼女はいつも明るい笑顔でクロードに接してきた。

 そんな女は、初めてだった。

 ルチアは、初めて出会った時の今にも壊れてしまいそうな儚い娘からは想像もつかない程に美しく逞しい女性へと成長していた。

 前王の歩兵の生き残りが反乱を起こしているという情報を手に入れ、必死の思いでルチアは伝えにきてくれた。捕らえられたクロードを助けるため、グレートブルタン国王を説得し、騎兵隊を向かわせてくれた。

 いつでも純粋無垢で真摯な瞳で真正面でぶつかってくるルチアによって、頑なだった心がいつしか溶かされ、癒されていた。ルチアと出会ったことにより、クロードは少しずつ自分自身が変わっていくのを感じた。

 ルチアの一途な想いに触れ、今まで感じたことのなかった恋愛という感情がクロードの中に芽生えたのだった。

 ルチアこそが、生涯の伴侶となるたったひとりの運命の女性だと確信した。

 だが、婚約の運びとなった矢先、前国王派が放ったスパイにルチアが暗殺されかけ、それがクロードの仕業と思わされ、騎兵隊長のアルバートと決闘になった。その時に、身を呈して自分を庇ってくれたのがルチアだった。

 ルチアとクロードの側近の働きにより誤解が解け、グレートブルタン国と再び和平を結び、二ヶ月前にようやく誓約の儀を迎えることができた。

 だが、せっかく夫婦になったというのに、互いの国での公務に忙殺され、顔を会わすことすらままならず、初夜さえ迎えていない状態だった。

 蜂蜜色の艶を帯びたウェーブの髪、弓形の柔らかさを備えながらも意思を感じさせる眉、深い湖のような青と緑を合わせたような美しい瞳、愛くるしい小さい鼻、瑞々しいチェリーのような唇、白い肌に染まる薄紅色の頬、そして何もかも深く受け入れてくれる慈愛に満ちた微笑み……ルチアのことを想うだけで、クロードの胸が甘く痺れる。

「ルチア……」

 早く会って、お前をこの胸に抱き留めたい……

 クロードの呟きは、頬をかすめる風とともに漆黒の闇へ溶けていった。
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