本当の聖女が見つかったので私はお役御免だそうです

神々廻

文字の大きさ
7 / 7

7

しおりを挟む
「おい!エレーヌ!逃げるなよ!!誰か、エレーヌを捕らエレーヌを捕らえておけ。今から話す事を聞いたら取り乱して暴れるかもしれないからなっ!」

会場に入って来るなり、そう叫ぶと騎士達が私を押さえ込んだ。

先程、私に話し掛けてきた人達が悲鳴を上げる。

「もう騎士達には段取りを付けていたのですかっ。それに私が貴方たちとの約束を破るなんて事ある訳がないでしょっ。い゛」

「許可なく発言するな!」

騎士達に頭を抑えつけられられた。

「何をしているの!?聖女様に向かってそのような事をするなんてそれでも教皇の息子!?」

公爵家のご令嬢が教皇の息子を睨みつけ、私を庇うと騎士達に私を離すように命令した。


「おやめ下さい。令嬢、私が指示したのです」

王宮騎士団長の息子が声を上げる。


「まあまあ、それより早く新たな聖女の発表をして下さいよ」

賢者がそう言うとそうだなと一言いい、口を開いた教皇の息子

「皆、聞いてくれ。実はそこで押さえつけてあるエレーヌは本当の聖女ではなかった!そしてここにいるディアナこそ本当の聖女だったのだ!」

「あら、そうですの。それなら全く問題ありませんでしたわ」

「ディアナ様が本当の聖女様だったのですね!!」


ああ、やっぱり。誰が聖女かはどうでも良くて、本当の聖女かどうかが重要なのだろう。


「ささと偽聖女を牢屋に放り込め!!!」

叫んだのは婚約者だった。
元々、助けてくれるとも思っちなかったがここまでとは。



「エレーヌを離せ」

会場に現れたのは聖なる力が全くない王子だった。定期的に手紙を送り合う事で連絡は取っていたが、婚約者が出来てからはそれもせず、全く交流がなかったのに。


騎士達も王子の命令には逆らえず、私を離すと

「王子?この者は聖女と偽り生活していたのですよ。牢屋に閉じ込めるのは妥当では?」

皆がそうだとでも言いたげな顔をする。

「ディアナもそう思うわ!早く牢屋にエレーヌを閉じ込めて!」



「王子.....どうして私を助けるのですかっ。お立場が悪くなるかもしれませんわ」

「元々、俺は聖なる力がない。だからお前が聖女だか聖女じゃないかなんてどうでもいい。
それに立場も元々悪いから気にするな。

それにしても、王宮騎士の息子だからと私用で王宮騎士を使うなどそんな事していいのか?

それに教皇の息子だから聖女が移った事は知っていても友人に話して良いのだな」


「な、危害を加える可能性があったのですよ!?」

「エレーヌは教皇や国王と危害を加えることはしないと約束を交わしている」

「いいじゃないですかぁ。てか王子様って聖なる力が全く無いんですって?私が祝福を授けますわ。それで帰って下さらない?」

王子になんてことを言うんだ。

「いいだろう。授けてみろ」


王子の頭に手をかざそうとすると

「いっだいい!!!!!?あんた何してくれたの!?」

「できなかったな。さあ、エレーヌ帰ろう。ここにいても無駄だ」

「待ちなさいよ!!こうなったら皆に見せてやるんだから!ここに聖なる力の量を測る水晶玉を用意したわ。これでどちらが水晶玉を光らせることが出来るか見せてやろうじゃない。エレーヌ!手をかざしなさい」

無理やりディアナに手を引っ張って水晶玉に手をかざさせられると。

水晶玉がいつも通り光り輝いた。

「次はディアナがやるわよ!よく見なさい」


ディアナが水晶玉にかざすと皆私よりも眩しくなると思い目を隠したり覆ったりした。しかし一行に光り輝かない。


「ど、どういうこと!?」

すると教皇の息子がボソボソと話し始めた。

「ディアナ....実はディアナの使っていた水晶玉は不正の玉で誰でも光輝かせることが出来る水晶玉だったんだ」


「はー!?じゃあ私の聖なる力は本当はこれっぽっち?本当は私が偽物の聖女だったの!?」


それから、王子が元々呼んでいた王宮騎士のような教皇の息子や騎士団長の息子、ディアナは牢屋に入れたらた。

教皇の息子は神聖なる儀式に不正をさせようとしたことで有罪

ディアアは一応、騙されていたため少しの謹慎ですんだ。


私は偽聖女として一瞬ではあったが誰も手を差し伸べてくれなかったのでこんな国を出ていき、王子と聖なる力が重要視されていない国で幸せのなりました。








しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

嘘吐きは悪役聖女のはじまり ~婚約破棄された私はざまぁで人生逆転します~

上下左右
恋愛
「クラリスよ。貴様のような嘘吐き聖女と結婚することはできない。婚約は破棄させてもらうぞ!」 男爵令嬢マリアの嘘により、第二王子ハラルドとの婚約を破棄された私! 正直者の聖女として生きてきたのに、こんな目に遭うなんて……嘘の恐ろしさを私は知るのでした。 絶望して涙を流す私の前に姿を現したのは第一王子ケインでした。彼は嘘吐き王子として悪名高い男でしたが、なぜだか私のことを溺愛していました。 そんな彼が私の婚約破棄を許せるはずもなく、ハラルドへの復讐を提案します。 「僕はいつだって君の味方だ。さぁ、嘘の力で復讐しよう!」 正直者は救われない。現実を知った聖女の進むべき道とは…… 本作は前編・後編の二部構成の小説になります。サクッと読み終わりたい方は是非読んでみてください!!

偽聖女の汚名を着せられ婚約破棄された元聖女ですが、『結界魔法』がことのほか便利なので魔獣の森でもふもふスローライフ始めます!

南田 此仁
恋愛
「システィーナ、今この場をもっておまえとの婚約を破棄する!」  パーティー会場で高らかに上がった声は、数瞬前まで婚約者だった王太子のもの。  王太子は続けて言う。  システィーナの妹こそが本物の聖女であり、システィーナは聖女を騙った罪人であると。  突然婚約者と聖女の肩書きを失ったシスティーナは、国外追放を言い渡されて故郷をも失うこととなった。  馬車も従者もなく、ただ一人自分を信じてついてきてくれた護衛騎士のダーナンとともに馬に乗って城を出る。  目指すは西の隣国。  八日間の旅を経て、国境の門を出た。しかし国外に出てもなお、見届け人たちは後をついてくる。  魔獣の森を迂回しようと進路を変えた瞬間。ついに彼らは剣を手に、こちらへと向かってきた。 「まずいな、このままじゃ追いつかれる……!」  多勢に無勢。  窮地のシスティーナは叫ぶ。 「魔獣の森に入って! 私の考えが正しければ、たぶん大丈夫だから!」 ■この三連休で完結します。14000文字程度の短編です。

〖完結〗醜い聖女は婚約破棄され妹に婚約者を奪われました。美しさを取り戻してもいいですか?

藍川みいな
恋愛
聖女の力が強い家系、ミラー伯爵家長女として生まれたセリーナ。 セリーナは幼少の頃に魔女によって、容姿が醜くなる呪いをかけられていた。 あまりの醜さに婚約者はセリーナとの婚約を破棄し、妹ケイトリンと婚約するという…。 呪い…解いてもいいよね?

召喚聖女が来たのでお前は用済みだと追放されましたが、今更帰って来いと言われても無理ですから

神崎 ルナ
恋愛
 アイリーンは聖女のお役目を10年以上してきた。    だが、今回とても強い力を持った聖女を異世界から召喚できた、ということでアイリーンは婚約破棄され、さらに冤罪を着せられ、国外追放されてしまう。  その後、異世界から召喚された聖女は能力は高いがさぼり癖がひどく、これならばアイリーンの方が何倍もマシ、と迎えが来るが既にアイリーンは新しい生活を手に入れていた。  

聖女の妹によって家を追い出された私が真の聖女でした

天宮有
恋愛
 グーリサ伯爵家から聖女が選ばれることになり、長女の私エステルより妹ザリカの方が優秀だった。  聖女がザリカに決まり、私は家から追い出されてしまう。  その後、追い出された私の元に、他国の王子マグリスがやって来る。  マグリスの話を聞くと私が真の聖女で、これからザリカの力は消えていくようだ。

嘘を信じ私を切り落とした者とその国の末路は……。

四季
恋愛
「レミリア・レモネード! 君との婚約を今ここで破棄する!」 第一王子ブランジズ・ブブロ・ブロロブアは晩餐会の最中突然宣言した。

公爵令嬢エイプリルは嘘がお嫌い〜断罪を告げてきた王太子様の嘘を暴いて差し上げましょう〜

星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
「公爵令嬢エイプリル・カコクセナイト、今日をもって婚約は破棄、魔女裁判の刑に処す!」 「ふっ……わたくし、嘘は嫌いですの。虚言症の馬鹿な異母妹と、婚約者のクズに振り回される毎日で気が狂いそうだったのは事実ですが。それも今日でおしまい、エイプリル・フールの嘘は午前中まで……」  公爵令嬢エイプリル・カコセクナイトは、新年度の初日に行われたパーティーで婚約者のフェナス王太子から断罪を言い渡される。迫り来る魔女裁判に恐怖で震えているのかと思われていたエイプリルだったが、フェナス王太子こそが嘘をついているとパーティー会場で告発し始めた。 * エイプリルフールを題材にした作品です。更新期間は2023年04月01日・02日の二日間を予定しております。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。

せっかく作った料理のお皿を病弱な婚約者が全部捨ててました。治る気無いんかーい。

十条沙良
恋愛
まずいと言ってましたけど、全部捨てるとか無いわー。

処理中です...