妾に恋をした

はなまる

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23風邪が移りました

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 翌朝私は気だるくてなかなか起きれなかった。

 「ミーシャ様。朝食をお持ちしました」

 カティがいつもの時間にやって来た。

 「カティ、そこに置いておいてくれる?後はやるから」

 私は急いでベッドから起き上がる。

 「ミーシャ様まだ寝ておられたんですか。すみません気が付かなくて」

 「いいの、きっと疲れてたんだわ。もう起きるから大丈夫」

 「そうですか?あのネイト様がミーシャ様に来てほしいとおしゃってますが」

 「ああ、ご主人様の具合はどうかしら?熱は下がったみたい?」

 「私は見ていませんが他の者も何も言っていなかったのできっと大丈夫だと」

 「そう、良かった」

 私はリビングに行きキッチンに足を延ばす。

 「ガタン!」

 ふらついて椅子に足を引っかけて転んだ。

 「ミーシャ様…」

 カティが駆け寄って来る。彼女に手伝ってもらって立ち上がる。

 「ごめんなさい。おかしいわ。頭がくらくらする…」

 「大変だわ。すごい熱…大奥様に知らせなきゃ」

 カティはミーシャをベッドまで運ぶと大急ぎで本邸に走った。


 すぐに医者が呼ばれ診察を受け薬を処方された。

 離れには大奥様とネイトが駆け付けずっとそばで付き添う。

 幸い肺には炎症は起きていないらしく頭を冷やしてしっかり水分を取って栄養のあるものを食べなさいと言われた。

 「大奥様ご迷惑をおかけして申し訳ありません。私結構丈夫な方なんですが…」

 「まあ、いいのよミーシャ。こちらこそごめんなさいね。ネイトの風邪が移ったのね。申し訳ないわ。あなたに看病頼んだから…」

 大奥様が申し訳なさそうに謝る。

 「いや、俺が悪い。母さんミーシャをこんな所にはおいてはおけません。本邸に連れて行きましょう」

 「ええ、そうね。何かあってもここでは…カティ。ラリー(使用人)とオッド(庭師)を呼んで頂戴」

 「俺が運ぶ」

 「ネイトは無理よ。あなたまだ治ったわけじゃないのよ。あなたはミーシャに近づかない事。いいわね」

 「どうしてだよ」

 ネイトはすねた子共のような顔をした。

 「あなたの風邪が移ったのよ。これ以上悪くなったらどうするつもり?それにネイト。あなたもまだふらふらしてるじゃない。いいから部屋から出ないでみんなに移すつもり?ほら早く戻りなさい」

 ネイトはすぐに気づいたらしい。はっとして口ごもった。

 「…ミーシャごめん。とにかく何かあったら遠慮なく言うんだぞ。みんななんでも言うことを聞いてくれるからな」

 「はい、ありがとうございます。ご主人様もまだ無理をなさらないで下さい」

 「俺はもう大丈夫だ。ほら、こんなに元気になった」

 ネイトは腕をぐっと折り曲げて見せたが私を見る瞳は弱々しく落ち込んでいた。

 そしてそれ以上何も言えなかったらしくすごすご部屋に戻って行った。


 そうやって私は本邸の客間で2日ほど休ませてもらった。

 気づくのが早かったせいか一日で熱は下がったが用心のためもう一日寝ているように言われて仕方なく客間で過ごした。


 
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