枯渇聖女は婚約破棄され結婚絶対無理ランキング1位の辺境伯に言い寄られる

はなまる

文字の大きさ
17 / 31

17朝食に呼ばれる

しおりを挟む

 エバン様が出て行ってしばらくベッドで横になっていた。

 婚約者か‥

 ジェリク殿下もそう言っていた。でも本気じゃなかった。エバン様も表向きそう言うことにしておいた方が都合がいいって。

 何が都合いいんだろう?

 騎士団の荒くれどもが私に何かするから?

 ああ、エバン様に他の縁談が来て迷惑してるとか?だから私が婚約者になれば面倒な手間が省けるって事?

 だとしても、私を閨の相手にしなかったよね彼。どうして?そのために私はここに送られたはずなのに?

 どうしてエバン様は私に遠慮したの?あのまま私をものに出来たはずなのに。

 婚約者ならなおさらそんな事が出来る相手なのに? 

 それにあの態度。まったく腹が立つ。何だかすごく手慣れてるって感じ!

 あっ、もしかして彼は私みたいな子供のような女では欲情しなかったのかもしれないな。

 相手にもならないって事か。

 はっ!

 安心したようながっかりしたような気がした。

 まあ、騎士団の手伝いもしていいって言ってたし婚約者って事にすればジェリク殿下から何か言われることもないだろうから、しばらくこのままで様子を見るしかないわよね。

 そうとなったらしばらく婚約者のふりをさせてもらおうっと。



 「失礼します」

 「はい、どなた?」

 そう言うと扉が開いて30代の女性が入って来た。茶色い髪に濃い茶色の瞳で使用人であろう服を着ている。

 この人、昨日のメイドさんだ。

 「失礼します。今日からフレイシア様のお世話を言いつかりましたマリンと言います、どうぞよろしくお願いします」

 「まあ、お世話なんて‥私もこの辺境の近くの出身で平民なの。そんなの必要ないわ、着替えだってお風呂だって一人で出来るわ。必要なら洗濯や掃除も出来るし‥」

 「はい、それは旦那様からお聞きしています。ですがフレイシア様は辺境伯様の婚約者となられたんですから、使用人の一人くらいは」

 「そう、じゃ、掃除や洗濯。そうねシーツとか服なんかはお願いしようかしら、着替えやお風呂は一人で出来るから」

 「では、追々にやらせて頂くと言うことで、まずは着替えをお願い出来ますか。旦那様が朝食をご一緒にとおっしゃっていますので」

 マリンが私の話を受け入れてくれたので私は早速着替えを‥見れば昨日来たワンピースはしわくちゃになっていた。

 ああ‥もうこれ着れないわ。

 でも、カバンにあるのはどれもつぎはぎだらけの聖女服と安物のワンピースばかり。仕方がない私にはこれが全財産なんだから。

 髪を梳いて後ろできれいに束ねるときちんと結い上げた。ワンピースは昨日まで来ていたものではなく洗濯はしてある淡いピンク色のものを着た。

 これ、王都に行って最初に買ったワンピースだったかな、あれから6年何だかに会ってない気もするけど他にワンピースないし‥

 背丈が伸びたのかワンピースの丈もひざ上と少し短めで胸の周りのきつい。

 

 今までは平気だったのに、なぜかエバン様と一緒に朝食をとるのだと思うとその格好がひどくみすぼらしく思えた。

 さすがに聖女服ではおかしいだろうと思うがワンピースもひどくぎこちない。

 でも、私は恥ずかしい事してきたわけではない。

 だから大丈夫。



 (フレイシア。安心して。誰もあなたを傷つけたりしないわ。この屋敷の人はみんなあなたに敵意なんか持ってないから‥あっ、でも一人だけ、副隊長のラヴァードって人はあなたを快く思ってないみたい。エバンに取り入って婚約者になったって思ってるみたい)

 (そう、まあ、そう思われても‥ね。だから言ったのに‥やっぱりエバン様に言ってみようか)

 (あれ、フレイシアそんな事言ったらエバンが悲しむわよ。だって彼、かなり真剣だったもの。それにあなたも婚約者のふりをするって約束したんだし)

 (そっか。仕方ない。しばらく様子を見るしかないわね)

 何だかそわそわしながらマリンに案内されて食堂に向かった。




 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

氷の王妃は跪かない ―褥(しとね)を拒んだ私への、それは復讐ですか?―

柴田はつみ
恋愛
亡国との同盟の証として、大国ターナルの若き王――ギルベルトに嫁いだエルフレイデ。 しかし、結婚初夜に彼女を待っていたのは、氷の刃のように冷たい拒絶だった。 「お前を抱くことはない。この国に、お前の居場所はないと思え」 屈辱に震えながらも、エルフレイデは亡き母の教え―― 「己の誇り(たましい)を決して売ってはならない」――を胸に刻み、静かに、しかし凛として言い返す。 「承知いたしました。ならば私も誓いましょう。生涯、あなたと褥を共にすることはございません」 愛なき結婚、冷遇される王妃。 それでも彼女は、逃げも嘆きもせず、王妃としての務めを完璧に果たすことで、己の価値を証明しようとする。 ――孤独な戦いが、今、始まろうとしていた。

赤毛の伯爵令嬢

もも野はち助
恋愛
【あらすじ】 幼少期、妹と同じ美しいプラチナブロンドだった伯爵令嬢のクレア。 しかし10歳頃から急に癖のある赤毛になってしまう。逆に美しいプラチナブロンドのまま自由奔放に育った妹ティアラは、その美貌で周囲を魅了していた。いつしかクレアの婚約者でもあるイアルでさえ、妹に好意を抱いている事を知ったクレアは、彼の為に婚約解消を考える様になる。そんな時、妹のもとに曰く付きの公爵から婚約を仄めかすような面会希望の話がやってくる。噂を鵜呑みにし嫌がる妹と、妹を公爵に面会させたくない両親から頼まれ、クレアが代理で公爵と面会する事になってしまったのだが……。 ※1:本編17話+番外編4話。 ※2:ざまぁは無し。ただし妹がイラッとさせる無自覚系KYキャラ。 ※3:全体的にヒロインへのヘイト管理が皆無の作品なので、読まれる際は自己責任でお願い致します。

【本編完結】召喚? 誘拐の間違いでは?

篠月珪霞
恋愛
「…え」 まず聞こえたのは、成功だー!!といういくつもの歓声。それ以降は幾人もの声が混じりあい、何を言っているのか分からなかった。 私、白井瑠璃は、いつものように、出勤するために自宅のドアを開けただけだった。 いつものように、起床し、準備して、仕事が終われば帰宅し、そうした普通の、変わりない毎日を過ごすはずだった。 過去形になったこの日を、きっと忘れることはない。

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤

しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。 父親は怒り、修道院に入れようとする。 そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。 学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。 ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。

安らかにお眠りください

くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。 ※突然残酷な描写が入ります。 ※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。 ※小説家になろう様へも投稿しています。

煤かぶり姫は光の貴公子の溺愛が罰ゲームだと知っている。

朝霧心惺
恋愛
「ベルティア・ローレル。僕の恋人になってくれないかい?」  煌めく猫っ毛の金髪に太陽の瞳、光の貴公子の名を欲しいがままにするエドワード・ルードバーグ公爵令息の告白。  普通の令嬢ならば、嬉しさのあまり失神してしまうかもしれない状況に、告白された令嬢、ベルティア・ローレルは無表情のままぴくりとも頬を動かさない。  何故なら———、 (罰ゲームで告白なんて、最低の極みね)  黄金の髪こそが美しいという貴族の価値観の中で、煤を被ったような漆黒の髪を持つベルティアには、『煤かぶり姫』という蔑称がある。  そして、それは罰ゲーム結果の恋人に選ばれるほどに、貴族にとっては酷い見た目であるらしい。  3年間にも及ぶ学園生活も終盤に迫ったこの日告白されたベルティア、実家は伯爵家といえども辺境であり、長年の凶作続きにより没落寸前。  もちろん、実家は公爵家に反抗できるほどの力など持ち合わせていない。  目立つ事が大嫌いでありながらも渋々受け入れた恋人生活、けれど、彼の罰ゲームはただ付き合うだけでは終わらず、加速していく溺愛、溺愛、溺愛………!!  甘すぎる苦しみが、ベルティアを苦しめる。 「どうして僕の愛を疑うんだっ!!」 (疑うも何も、そもそもこの恋人ごっこはあなたへの罰ゲームでしょ!?)

処理中です...