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第七章 公家の政
第二百八十七話 畿内の様子
しおりを挟む巨頭会談じゃないが戦国チート武将のお二人との相談も終え、いよいよ本格的に日ノ本統一作業に入っていく感じとなった。
本当はそんなことは信長さんあたりにでも任せればとかんがえていたのだが、俺の知る歴史と大きく違い、チートではあるが野心というのかそういうものからは真逆にいるように感じる。
それこそ後付け解釈じゃないが、信長さんって、やむを得ずに統一に向けて戦をしていたのかな。
俺が今の状況を見て考えても、戦は必至だ。
どうしても幾つかの勢力を取り除かないと、いつまでたっても民に安心できる暮らしが訪れてこない。
だからと言って、俺の知る歴史上の信長さんの役割まで俺に回ってくることは無いだろうとは思うが、誰かがやらなければならないし、その役割で一番動けるのが今の俺だということらしいのだ。
悔しいから周りを巻き込むことにしているが、とにかく統一してしまえば後は落ち着くまで待つだけで、俺の役割は終わる。
信長さんが俺の役割してくれなくともそれこそ合議で政をする仕組みさえあれば、山科卿にお願いもできる。
武力を持つ必要が無いのだ、仕組みさえできればの話だが。
とにかく早急にやるべきことは終わった。
それから平穏な生活が始まれば言うことは無かったのだが、そうもいかない。
人の口に戸は建てられないともいうが、俺たちが本願寺を降した話は瞬く間に畿内に広まった。
まあ、京の都に大きな寺を二つも建設を始めれば誰もが興味を引くだろうから、それに何より隠していた訳でもないので、広まるだろうとは思っていた……嘘です。
考えていませんでした。
しかし、広まった影響は良くも悪くもあちこちから出てくる。
いい面で言えば治安面で効果が出始めてきたようだ。
寺社関係でのトラブルの訴えが目に見えて減っている。
一向宗を事実上傘下に収めたと、周りからは見られているのだろう。
そのために、潰されたらたまらないとばかりに叡山までもがおとなしくなっている。
尤も叡山などは様子見程度であろうから、そのうちまた要らんことをしでかしてくることは織り込み済みだ。
悪い面と言っても、あながち悪くもないのだが、畿内の豪族たちが慌てだしていることだ。
これはちょっとばかし厄介で、ある豪族などは周りに喧嘩を吹っ掛け始めている。
まあ、豪族同士の諍いなどは今更感はあるのだが、それも頻度が桁違いに増えてきている。
惣無事令を畿内全域に出すことができればまだやりようもあるのだが、そこまで俺たちに余力が無い。
播磨一国だけで精いっぱいな状況なのだ。
畿内の諍いもいろいろと問題なのだがそれ以上俺たちを困らせているのが、古くから畿内で勢力を張っていた豪族たちが持つ人脈だ。
彼らはその持ちうる人脈を使い、ことあるたびに俺たちに接触してくる。
これが思った以上に面倒だ。
紹介する貴族の顔を潰すわけにもいかず、かといってそれに俺たちの時間を取られていては一向に問題が片が付かない。
ただでさえマンパワーが不足しているところに来て、これはちょっと痛い。
太閤殿下と相談して、以後の対応については一律の対応を取ることで話がまとまった。
紹介してくる貴族にとっては紹介料が減るなどのデメリットがあるのか反対はあったが、それだけの話で、元から紹介の仕事などは降ってわいた幸運のようなものだからこの際無視するし、もとから貴族が持つ権益に反するものとも違うので、それほど抵抗もなかった。
問題は、相談してくる豪族たちだ。
彼らについて、今後のこともあり、以後、俺たちに降るということ以外は一切話を聞かないことにしてある。
当然、今までのような寄子に収まるといったような緩いものではない。
あの制度は正直俺から見たらわからない。
俺たちに不満があればすぐにでも裏切れる仕組みになっている。
俺たちが力で抑えきれているうちはいいが、それでも外から助力の話があればどうなるかわからない。
要は裏切りまでも織り込んだ仕組みだと俺には思える。
なので、俺たちに近づいてくる豪族たちは、特に京に近い摂津や河内、和泉などの豪族たちは播磨と同じ形態にしか存在を認めないことにしてある。
追々力業でそうしていこうかと考えていたことだし、自主的に望んでくるのならば待遇に少し色を付けてもいいとすら思っていたりする。
それを都のいる貴族たちに一斉に通知した。
通知後もしつこく言ってくる貴族もいるにはいたが、面倒なので、太閤殿下や山科卿に回して、俺の方では無視を決め込む。
これでやっと仕事ができると、精力的に播磨の統治にも心血を注いだ。
その甲斐あってか、孫一さんや黒田さんの働きもあり、播磨の豪族たちは徐々にではあるが俺たちに帰属を申し出る者が出始めてきている。
黒田の頑張りで元の主であった小寺家が落ちた。
約束通り、領地を預かり、以後の俸禄を銭で支払う。
それも公称値である禄高分でだ。
また、小寺家の配下の武将も直接小寺家由来の者はそのまま手を付けず、黒田家の様に曲りなりにも一家を形成しているものは播磨国で直接召し上げることにしているので、小寺家からしたら、倍以上の加増に近いことになる。
それに気が付く者もいるが、小寺のご当主は数字に弱いのか、全く意に介していない。
それどころか配下の武将を引き抜かれたとご立腹だとのことだそうだ。
それを古来より小寺家を支えてきた配下が抑えているのだとか。
それも、今俺たちには逆らえないとかという理由で。
小寺家に残る配下も損得勘定の計算ができないらしい。
余分な支出が減る分だけ可処分所得が増えるというのにそれに全く気が付いていない。
小寺家は曲がりなりにもそれなりの家格のある家なので、銭だけ渡して終わりとはいかず、それなりの仕事も与えないとまずいらしく、今黒田さんはその仕事に頭を抱えているという。
適当な名誉職でも考えて渡せばいいと俺は思うのだが、黒田さんはまじめなのか相当悩んでいると孫一さんから聞いた。
俺に相談があれば適当な名誉職をそれも朝廷から箔をつけてもらい渡すことも考えているので、いよいよ困ったら俺に相談しろと孫一さんを通して伝えてある。
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