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4日目つづき
男の子同士③
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コブside
ユーチ君は、バンチ君が魔物討伐の依頼を受けたことを知ると、信じられないという顔をして心配そうにバンチ君と僕に視線を向ける。
僕は臆病だから怖くて依頼が受けられなかったと話しても、バカにしたりしなくて、自分も同じだって言って寄り添ってくれた。
ユーチ君の落ち着いた優しい声で、強張っていた身体がほぐれ、楽に息ができるようになった気がした。
僕がホッと息を吐き笑顔を向ければ、ユーチ君も微笑んでくれた。そして心配そうにバンチ君を見やる。
「どんな感じで魔物を討伐するのか僕は知らないんだけど、バンチ君は大丈夫?」
「ああ、討伐に必要な物は装備品も含めてギルドに頼ることにしたから心配ないと思う。最低限になるらしいけど、格安で貸し出してもらえるんだ。それに明日は、初めて魔物の討伐依頼を受ける者を対象に、最終確認を兼ねた打ち合わせがあるから、わからないことはそこで聞けばいい」
「……そうなんですね」とユーチ君は頷いているけれど、まだ気になることがあるようで表情が硬い。
「あ、そうだ」
何かを思いついたのか、突然俯いていた顔を上げたユーチ君は笑顔を見せた。
「僕の保護者のバルトさんも明後日の依頼を受けているんです。今日も迎えに来てくれるはずなので、もしよければそのときに紹介できますが、どうします? 見た目はちょっと怖いかもしれないですが、凄く良い人だからきっと力になってくれるはずです。それに、バルトさんと一緒に何度も魔物の討伐依頼を受けているクレエンって人も、ここの孤児院出身だそうなので、バルトさんから紹介してもらえるように頼んでみてもいいですね。顔見知りが増えたら心強いと思うので……どうでしょう?」
ユーチ君の提案に、僕の表情も明るくなる。一人で依頼を受けることになってしまったバンチ君にとって、とても良いことに思えた。
「いいのか? 経験豊富な冒険者と知り合いになれるなんて、願ってもないことだから、是非頼みたいが……冒険者になりたてのガキの相手なんて面倒に思うんじゃないか?」
バンチ君の心配ももっともだ。ベテラン冒険者に新人のお守りなんて迷惑かもしれない。
急に不安になってきてユーチ君を窺い見ると、ユーチ君は変わらずニコニコと微笑んでいる。
「クレエンさんのことはちょっとよくわからないけれど、バルトさんは大丈夫。見かけと違ってすっごいお人好しだから、困っていたら絶対助けてくれるよ」
自信ありげにそう言うユーチ君には申し訳ないけれど、僕の不安は消えなかった。
バンチ君と視線を合わせ小さく肩を竦める。
「どういう扱いになるかわからないが、一応そのユーチの保護者に紹介してもらうとして、もう一つ頼んでもいいか?」
「はい、僕にできることならいいですよ」
バンチ君は笑顔で答えるユーチ君に、迎えが来るまで魔法を教えてくれるように頼んでいた。
「えっ、デシャちゃんにもさっきの魔法を教えるように約束させられたけれど、人に説明できるほどわかってないので、ちゃんと教えられる自信がないですよ……」
それまでの勢いをなくしたユーチ君が、困ったように肩を落として断ろうとするけれど「わかる範囲でいいから」と、バンチ君は強引に頷かせていた。
「さっそく、外に出て練習するか」
気が進まない様子のユーチ君を急かせ、上機嫌で外へ向かおうとするバンチ君に「コブも行くぞ」と声をかけられ、僕も後に続く。
「デシャに見つからないようにしないとな。気付かれると面倒だ」
小声で呟き、素早く移動するバンチ君が向かったのは、孤児院専用の門の近くだった。
確かに、ここだったらデシャちゃんたちがいる部屋から見えないし、ユーチ君の迎えが来てもすぐにわかる。
「じゃあ、ユーチ先生よろしく!」
ニヤリと笑ったバンチ君に、ポカンするユーチ君。
僕は苦笑を漏らす。
普段無口なバンチ君は、僕の前では結構ふざけた態度でからかってきたりするけれど、初対面の相手にこうも打ち解けることはなかったように思う。
僕も人見知りする方なので、ユーチ君と気軽に話ができることが不思議だった。
「なんですか先生って、人に教えられるほどじゃないんですから、止めて下さいよ」
文句を言うユーチ君も、随分打ち解けているように見えて嬉しくなる。
ユーチ君は、バンチ君が魔物討伐の依頼を受けたことを知ると、信じられないという顔をして心配そうにバンチ君と僕に視線を向ける。
僕は臆病だから怖くて依頼が受けられなかったと話しても、バカにしたりしなくて、自分も同じだって言って寄り添ってくれた。
ユーチ君の落ち着いた優しい声で、強張っていた身体がほぐれ、楽に息ができるようになった気がした。
僕がホッと息を吐き笑顔を向ければ、ユーチ君も微笑んでくれた。そして心配そうにバンチ君を見やる。
「どんな感じで魔物を討伐するのか僕は知らないんだけど、バンチ君は大丈夫?」
「ああ、討伐に必要な物は装備品も含めてギルドに頼ることにしたから心配ないと思う。最低限になるらしいけど、格安で貸し出してもらえるんだ。それに明日は、初めて魔物の討伐依頼を受ける者を対象に、最終確認を兼ねた打ち合わせがあるから、わからないことはそこで聞けばいい」
「……そうなんですね」とユーチ君は頷いているけれど、まだ気になることがあるようで表情が硬い。
「あ、そうだ」
何かを思いついたのか、突然俯いていた顔を上げたユーチ君は笑顔を見せた。
「僕の保護者のバルトさんも明後日の依頼を受けているんです。今日も迎えに来てくれるはずなので、もしよければそのときに紹介できますが、どうします? 見た目はちょっと怖いかもしれないですが、凄く良い人だからきっと力になってくれるはずです。それに、バルトさんと一緒に何度も魔物の討伐依頼を受けているクレエンって人も、ここの孤児院出身だそうなので、バルトさんから紹介してもらえるように頼んでみてもいいですね。顔見知りが増えたら心強いと思うので……どうでしょう?」
ユーチ君の提案に、僕の表情も明るくなる。一人で依頼を受けることになってしまったバンチ君にとって、とても良いことに思えた。
「いいのか? 経験豊富な冒険者と知り合いになれるなんて、願ってもないことだから、是非頼みたいが……冒険者になりたてのガキの相手なんて面倒に思うんじゃないか?」
バンチ君の心配ももっともだ。ベテラン冒険者に新人のお守りなんて迷惑かもしれない。
急に不安になってきてユーチ君を窺い見ると、ユーチ君は変わらずニコニコと微笑んでいる。
「クレエンさんのことはちょっとよくわからないけれど、バルトさんは大丈夫。見かけと違ってすっごいお人好しだから、困っていたら絶対助けてくれるよ」
自信ありげにそう言うユーチ君には申し訳ないけれど、僕の不安は消えなかった。
バンチ君と視線を合わせ小さく肩を竦める。
「どういう扱いになるかわからないが、一応そのユーチの保護者に紹介してもらうとして、もう一つ頼んでもいいか?」
「はい、僕にできることならいいですよ」
バンチ君は笑顔で答えるユーチ君に、迎えが来るまで魔法を教えてくれるように頼んでいた。
「えっ、デシャちゃんにもさっきの魔法を教えるように約束させられたけれど、人に説明できるほどわかってないので、ちゃんと教えられる自信がないですよ……」
それまでの勢いをなくしたユーチ君が、困ったように肩を落として断ろうとするけれど「わかる範囲でいいから」と、バンチ君は強引に頷かせていた。
「さっそく、外に出て練習するか」
気が進まない様子のユーチ君を急かせ、上機嫌で外へ向かおうとするバンチ君に「コブも行くぞ」と声をかけられ、僕も後に続く。
「デシャに見つからないようにしないとな。気付かれると面倒だ」
小声で呟き、素早く移動するバンチ君が向かったのは、孤児院専用の門の近くだった。
確かに、ここだったらデシャちゃんたちがいる部屋から見えないし、ユーチ君の迎えが来てもすぐにわかる。
「じゃあ、ユーチ先生よろしく!」
ニヤリと笑ったバンチ君に、ポカンするユーチ君。
僕は苦笑を漏らす。
普段無口なバンチ君は、僕の前では結構ふざけた態度でからかってきたりするけれど、初対面の相手にこうも打ち解けることはなかったように思う。
僕も人見知りする方なので、ユーチ君と気軽に話ができることが不思議だった。
「なんですか先生って、人に教えられるほどじゃないんですから、止めて下さいよ」
文句を言うユーチ君も、随分打ち解けているように見えて嬉しくなる。
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