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国王主催のパーティーで
話し合い。
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「メーティア。」
「お父様。近くでお父様がみていたのは気づいていましたよ。お母様は…」
「人が多いところに来るのが久しぶりだったからね。疲れたようで今は壁の花になっているよ。」
お母様を見てみるとこちらに気付いたのか手をひらひらと振っている。
「それで、今回のことだけど。メーティアとしてはどうしたいんだい?」
きっとお父様はアーテリアが言っていたことの意見を聞きに来たのだろう。私的にはこのままアポロ様と結婚してもいい未来は見えず寧ろお先真っ暗…くらいにしか思っていない。
「お父様も気づいているでしょうが、アポロ様と婚約したのは仕方なくですし…今のままダルデンヌ家と婚約していても家にとっては損失にしかなりません。でしたらアーテリア様にお任せしてもいいのでは…と思うのですが。」
ダルデンヌ公爵家は公爵家でありながら財産はほぼなく家計は火の車状態だ。
それでも国王が目をかけていたのは、ダルデンヌ公爵に嫁いだ奥様がウラヌス国王の妹であり、少しでもいいから手助けをしてほしいと乞われたからである。
しかし、手助けといってもできるのは援助をする部分だけ。あとは本人たちが改善する気があるのかないのか…というところだったのが。
ダルデンヌ公爵はじめ、奥様、アポロ様は今までの生活を変える気は全くなく、それどころか援助したことで今まで以上に金遣いが荒くなってしまっていた。
「そうだな…この5年。援助はしてきたが…特に何か変わることはなかった。私もそろそろ潮時だと思っていたくらいだ。そろそろウラヌス国王に呼ばれそうだから私たちもそちらに向かおう。」
お父様が歩きはじめると、不思議なことにお母さまやお兄様たちがそれに気づいてこちらに近付いてくる。先ほどまでは皆見て見ぬふりだったのに…こういうところも親子そっくりなんだなーと思いながらお兄様たちを見ていた。
「いやぁ、メーティア大変だったな。あの二人はもはや病気といっても過言ではないだろう。あいつらに目を付けられるお前も大変だなぁ。」
笑いながら私の肩に腕を乗せてくるのはニケオスお兄様だ。顔はお父様とそっくりで髪の色はお母さまのシルバーブロンドの髪を受け継いでおり、瞳の色はお父様の燃えるようなルビーの色を受け継いでいる。
お父様と同じように剣や弓がとても得意でこの国の中では1,2を争う強さだと思う。
話さなければ美男。話すと残念美男になるのがニケオスお兄様だ。
「それは言いすぎだよ。兄上。メーティアだって絡まれたくて絡まれているわけじゃないんだ。」
ニケオスお兄様をいつも窘めてくれるのはヘルメントお兄様だ。ヘルメントお兄様はヘリーオスト王太子殿下と同じ年で、ニケオスお兄様より2歳年下である。
お母さまに似た顔立ちで少し中性的な顔をしている。髪の色はお父様と同じ透き通るような金髪に、アレキサンドライトの宝石のような瞳で赤の中に星がキラキラ光っているようでとてもきれいだ。
「そうですよ。ニケお兄様も少し静かにしていてくださいませ。美男が台無しですよ。」
「メルティも言うようになったじゃないか。まぁいい…今後どうなるかはこの後決まるんだろう。最後まで見届けてやる。」
言うようになったって…結構前から言っていますけどね…。でもいつも明るいニケお兄様には助けられることもよくあるし、ニケお兄様がいなければ家の中は閑散としてしまうだろう。
「ありがとうございます。ニケお兄様。ヘルお兄様も来てくださって心強いです。」
「当り前だろう。メルティは大事な妹だからね。取りあえず話している間に国王たちが待っているところへ着いたみたいだから行こうか…」
頭を軽く撫でてくれるヘルお兄様の手はなんだかいつもほっとするから嫌いじゃない。ニケお兄様だったら頭をグワングワンとふられるから目が回るけれど…。
お父様が、ノックをすると中から国王の声が聞こえる。
「ウラヌス。私だ。」
「アレウスか…入ってくれ。」
お父様が扉を開けるとそこにはウラヌス国王陛下、ヘリーオスト王太子殿下、そしてガイア王妃が座って話し合いをしていたようだった。
「呼ぶ前に気付くとは…さすがだな。」
「お前とは小さいことからの付き合いだからな。そろそろ呼ばれるかなと思っていただけだ。それで早速本題に入るが…お前がいいというならアーテリア嬢にアポロを譲ってもいいと思っている。」
私はお父様の話にコクリと頷くと、ウラヌス国王は長い溜息をついた。
「お前がそういうということは…ダルデンヌ公爵家の復興は難しいということだな…」
「残念ながらな。それに、ジュアン侯爵家ももう限界だろう…?」
ダルデンヌ公爵家も、ジュアン侯爵家も古い貴族だからと、お父様たちが色々根回しをしていたようだがうまくはいかなかったようだ。
「そうだな…少しは王妃教育をきちんと受けてくれればと思ってはいたのだが、アーテリアには荷が重かったらしい。この辺が潮時だ。」
「先ほど、ウラヌス達が会場を出た後、アポロとアルテーヌ嬢は仲良さそうに腕を組んで歩いていたよ。似た者同士だ。きっとうまくいくだろう。」
普段笑わないお父様がにやりと笑う姿がとても印象的だった。
「お父様。近くでお父様がみていたのは気づいていましたよ。お母様は…」
「人が多いところに来るのが久しぶりだったからね。疲れたようで今は壁の花になっているよ。」
お母様を見てみるとこちらに気付いたのか手をひらひらと振っている。
「それで、今回のことだけど。メーティアとしてはどうしたいんだい?」
きっとお父様はアーテリアが言っていたことの意見を聞きに来たのだろう。私的にはこのままアポロ様と結婚してもいい未来は見えず寧ろお先真っ暗…くらいにしか思っていない。
「お父様も気づいているでしょうが、アポロ様と婚約したのは仕方なくですし…今のままダルデンヌ家と婚約していても家にとっては損失にしかなりません。でしたらアーテリア様にお任せしてもいいのでは…と思うのですが。」
ダルデンヌ公爵家は公爵家でありながら財産はほぼなく家計は火の車状態だ。
それでも国王が目をかけていたのは、ダルデンヌ公爵に嫁いだ奥様がウラヌス国王の妹であり、少しでもいいから手助けをしてほしいと乞われたからである。
しかし、手助けといってもできるのは援助をする部分だけ。あとは本人たちが改善する気があるのかないのか…というところだったのが。
ダルデンヌ公爵はじめ、奥様、アポロ様は今までの生活を変える気は全くなく、それどころか援助したことで今まで以上に金遣いが荒くなってしまっていた。
「そうだな…この5年。援助はしてきたが…特に何か変わることはなかった。私もそろそろ潮時だと思っていたくらいだ。そろそろウラヌス国王に呼ばれそうだから私たちもそちらに向かおう。」
お父様が歩きはじめると、不思議なことにお母さまやお兄様たちがそれに気づいてこちらに近付いてくる。先ほどまでは皆見て見ぬふりだったのに…こういうところも親子そっくりなんだなーと思いながらお兄様たちを見ていた。
「いやぁ、メーティア大変だったな。あの二人はもはや病気といっても過言ではないだろう。あいつらに目を付けられるお前も大変だなぁ。」
笑いながら私の肩に腕を乗せてくるのはニケオスお兄様だ。顔はお父様とそっくりで髪の色はお母さまのシルバーブロンドの髪を受け継いでおり、瞳の色はお父様の燃えるようなルビーの色を受け継いでいる。
お父様と同じように剣や弓がとても得意でこの国の中では1,2を争う強さだと思う。
話さなければ美男。話すと残念美男になるのがニケオスお兄様だ。
「それは言いすぎだよ。兄上。メーティアだって絡まれたくて絡まれているわけじゃないんだ。」
ニケオスお兄様をいつも窘めてくれるのはヘルメントお兄様だ。ヘルメントお兄様はヘリーオスト王太子殿下と同じ年で、ニケオスお兄様より2歳年下である。
お母さまに似た顔立ちで少し中性的な顔をしている。髪の色はお父様と同じ透き通るような金髪に、アレキサンドライトの宝石のような瞳で赤の中に星がキラキラ光っているようでとてもきれいだ。
「そうですよ。ニケお兄様も少し静かにしていてくださいませ。美男が台無しですよ。」
「メルティも言うようになったじゃないか。まぁいい…今後どうなるかはこの後決まるんだろう。最後まで見届けてやる。」
言うようになったって…結構前から言っていますけどね…。でもいつも明るいニケお兄様には助けられることもよくあるし、ニケお兄様がいなければ家の中は閑散としてしまうだろう。
「ありがとうございます。ニケお兄様。ヘルお兄様も来てくださって心強いです。」
「当り前だろう。メルティは大事な妹だからね。取りあえず話している間に国王たちが待っているところへ着いたみたいだから行こうか…」
頭を軽く撫でてくれるヘルお兄様の手はなんだかいつもほっとするから嫌いじゃない。ニケお兄様だったら頭をグワングワンとふられるから目が回るけれど…。
お父様が、ノックをすると中から国王の声が聞こえる。
「ウラヌス。私だ。」
「アレウスか…入ってくれ。」
お父様が扉を開けるとそこにはウラヌス国王陛下、ヘリーオスト王太子殿下、そしてガイア王妃が座って話し合いをしていたようだった。
「呼ぶ前に気付くとは…さすがだな。」
「お前とは小さいことからの付き合いだからな。そろそろ呼ばれるかなと思っていただけだ。それで早速本題に入るが…お前がいいというならアーテリア嬢にアポロを譲ってもいいと思っている。」
私はお父様の話にコクリと頷くと、ウラヌス国王は長い溜息をついた。
「お前がそういうということは…ダルデンヌ公爵家の復興は難しいということだな…」
「残念ながらな。それに、ジュアン侯爵家ももう限界だろう…?」
ダルデンヌ公爵家も、ジュアン侯爵家も古い貴族だからと、お父様たちが色々根回しをしていたようだがうまくはいかなかったようだ。
「そうだな…少しは王妃教育をきちんと受けてくれればと思ってはいたのだが、アーテリアには荷が重かったらしい。この辺が潮時だ。」
「先ほど、ウラヌス達が会場を出た後、アポロとアルテーヌ嬢は仲良さそうに腕を組んで歩いていたよ。似た者同士だ。きっとうまくいくだろう。」
普段笑わないお父様がにやりと笑う姿がとても印象的だった。
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