婚約者を交換ですか?いいですよ。ただし返品はできませんので悪しからず…

ゆずこしょう

文字の大きさ
12 / 51
秋のお茶会

ガイア王妃とのお茶会。

しおりを挟む
「ガイア王妃。この度はお招きいただきありがとうございます。」


「そんなに緊張しないで頂戴。今日は2人ですし、ゆっくりお話ししましょう。」

扇子で口元を少し隠しながら話しかけてくれる王妃に少しばかり緊張が解れた気がする。
侍女たちがお茶や、お茶菓子などを準備すると皆一礼してから退出していった。どうやらほんとに二人で話をするようだ。


「私ずっと娘が欲しかったのよ。私もメルティと呼んでもいいかしら?」
侍女たちが離れていくのと同時に、少し緊張がゆるんだのか口調も柔らかいものに変わっていく。


「勿論です。ガイア王妃…ガイア王妃に愛称で呼んでいただけるなんて光栄です。その…私もお義母様と呼んでもよろしいでしょうか?」


「えぇ!むしろこちらからお願いしようと思っていたのよ。私のことはお義母様と呼んでちょうだい。それで…あまり時間もないし早速本題なのだけれど…」


そう言って来週開催される王妃主催のお茶会についての話を始めた。王妃主催のお茶会は季節の移り変わりの時期に一度行われるため、年に4回ほど行われる。今回は今年3回目の秋のお茶会だ。

年に4回行うお茶会の中で一番規模の大きいお茶会がこの秋のお茶会だ。秋のお茶会は貴族のご夫人方や、娘さんのほとんどが参加する。


「今回は少し暖かったから、紅葉が少し遅かったの…でもその変わり、たくさんのお花を準備する予定よ。」


「そうなんですね。それはとても楽しみです。どのようなお花をご準備されるのですか?」

花の話をされているお義母様は、少女のようにはしゃいでいる。相当お花が好きなんだろう。話を聞いていると、秋桜や桔梗を準備するらしい。

「秋桜はちょうど今の時期が見頃ですものね。とても楽しみです。」

この王宮は春夏秋冬の庭があり、それぞれの季節ごとに見頃になるように調整されている。

「それでね、あまり時間が無くて申し訳ないのだけれど…メルティにお願いがあるの。」


「お願いですか?なんでしょうか?」

突然真剣な顔になったガイア王妃に私もゴクリと唾を飲み込む。

「あなたにもお茶菓子を準備して欲しいのよ。そんな難しく考えなくていいわ。何を出すか考えてくれればいいのよ。」


「分かりました。ちょっと考えてみます。期限はありますか…?」


あまり時間の無い中で、どうやって立ち回るか。恐らくこれはガイア王妃からの課題なのだろう…。王妃であればどんな状況でも焦ってはならない。その場で最適解を見出さなくてはならないこともあるだろう。
国王や、王妃の一言で国民の人生を左右こともあるかもしれない。

「そうね…早ければ早い方がいいわ。私が用意する予定のお菓子はこの子達よ。」

一枚の紙にはリストアップされたお菓子の名前が色々載っていた。
チョコレート、クッキー、チーズケーキ、フロマージュ、カスタードプティング、など、お菓子というお菓子の名は出揃っている気がする。

「できるかしら?」
先程までホワホワしていた雰囲気は一転し、こちらを見ている。

「はい、3日の猶予を下さい。試作品をお持ち致します。」

お菓子にはそれぞれあった紅茶があるし、お菓子だけ準備して終わりではないだろう。きっとそれに見合った飲み物を準備する必要がある。きっとそこまでが課題なのだと考えた私は王妃様の期待に応えようと心に決めた。



⟡.·*.··············································⟡.·*.


ヘリーオスト王太子殿下視点。


「母上!今日メルティにお会いしたと聞きましたが…」


公務から戻るとアルマンから母上とメルティが2人でお茶会を開いていたと聞かされた。どんな話をしたのかは誰も知らないそうだ。
母上のことだ。無理難題をふっかけてなければいいのだが…。

「えぇ。とても素直でいい子だったわ。あの子だったら王妃としての器も申し分ないし、オストと一緒にこの国を背負っていくに値するかもしれないわね。」


アーテリアと婚約している時は全てを諦めていた母上だったが、今の母上はとても楽しそうだ。
今まで母上も苦労してきたことは知っている。だからこそ時期王妃となる者が苦労しないように厳しく接してくれていた。アーテリアにはそれが全く通じていなかったようだが…。

「母上がそこまで絶賛するなんて珍しいですね。」


「あら、失礼ね。アーテリアの時だって褒める所があれば褒めていたわよ。ただあの子は…ちょっとね…」

元婚約者としても確かに褒められるところがないのは分かる…
強いて言うなら、明るいところとか…フレンドリーなところなのか…。まぁアーテリアの場合は度が過ぎていて我儘とか、馴れ馴れしいとか図々しいという言葉の方が似合いそうだが。

「確かにそうですが…あまり無理難題はやめてあげてくださいね。」


「あなただってメルティに甘々じゃない。無理難題なんか吹っかけていないわ。それにメルティならできると思っているの。だから秋のお茶会が楽しみだわ。」

秋のお茶会って確か1週間後だったと記憶しているが、何をお願いしたのか聞こうと思っているといつの間にか母上は自室に戻っていた。

「仕方がないから少しだけ秋のお茶会に顔を出すか……特に何も無ければ良いが…」

無事に秋のお茶会を終えられることを祈ることしか出来なかった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~

ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」 義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。 父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。 けれど―― 公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。 王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。 さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。 そして下されたのは――家ごとの褫奪。 一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。 欲しがったのは肩書。 継いだのは責任。 正統は叫びません。 ただ、残るだけ。 これは、婚約を奪われた公爵令嬢が “本当に継がれるべきもの”を証明する物語。

婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣国へ行きますね

ルーシャオ
恋愛
アンカーソン伯爵家令嬢メリッサはテイト公爵家後継のヒューバートから婚約破棄を言い渡される。幼い頃妹ライラをかばってできたあざを指して「失せろ、その顔が治ってから出直してこい」と言い放たれ、挙句にはヒューバートはライラと婚約することに。 失意のメリッサは王立寄宿学校の教師マギニスの言葉に支えられ、一人で生きていくことを決断。エミーと名前を変え、隣国アスタニア帝国に渡って書籍商になる。するとあるとき、ジーベルン子爵アレクシスと出会う。ひょんなことでアレクシスに顔のあざを見られ——。

【完結】婚約破棄に祝砲を。あら、殿下ったらもうご結婚なさるのね? では、祝辞代わりに花嫁ごと吹き飛ばしに伺いますわ。

猫屋敷むぎ
恋愛
王都最古の大聖堂。 ついに幸せいっぱいの結婚式を迎えた、公女リシェル・クレイモア。 しかし、一年前。同じ場所での結婚式では―― 見知らぬ女を連れて現れたセドリック王子が、高らかに宣言した。 「俺は――愛を選ぶ! お前との婚約は……破棄だ!」 確かに愛のない政略結婚だったけれど。 ――やがて、仮面の執事クラウスと共に踏み込む、想像もできなかった真実。 「お嬢様、祝砲は芝居の終幕でと、相場は決まっております――」 仮面が落ちるとき、空を裂いて祝砲が鳴り響く。 シリアスもラブも笑いもまとめて撃ち抜く、“婚約破棄から始まる、公女と執事の逆転ロマンス劇場”、ここに開幕! ――ミステリ仕立ての愛と逆転の物語です。スッキリ逆転、ハピエン保証。 ※「小説家になろう」にも掲載。(異世界恋愛33位) ※ アルファポリス完結恋愛13位。応援ありがとうございます。

【完結】離縁したいのなら、もっと穏便な方法もありましたのに。では、徹底的にやらせて頂きますね

との
恋愛
離婚したいのですか?  喜んでお受けします。 でも、本当に大丈夫なんでしょうか? 伯爵様・・自滅の道を行ってません? まあ、徹底的にやらせて頂くだけですが。 収納スキル持ちの主人公と、錬金術師と異名をとる父親が爆走します。 (父さんの今の顔を見たらフリーカンパニーの団長も怯えるわ。ちっちゃい頃の私だったら確実に泣いてる) ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 32話、完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

婚約破棄のその後に

ゆーぞー
恋愛
「ライラ、婚約は破棄させてもらおう」 来月結婚するはずだった婚約者のレナード・アイザックス様に王宮の夜会で言われてしまった。しかもレナード様の隣には侯爵家のご令嬢メリア・リオンヌ様。 「あなた程度の人が彼と結婚できると本気で考えていたの?」 一方的に言われ混乱している最中、王妃様が現れて。 見たことも聞いたこともない人と結婚することになってしまった。

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

黒木 楓
恋愛
 子爵令嬢パトリシアは、カルスに婚約破棄を言い渡されていた。  激務だった私は婚約破棄になったことに内心喜びながら、家に帰っていた。  婚約破棄はカルスとカルスの家族だけで決めたらしく、他の人は何も知らない。  婚約破棄したことを報告すると大騒ぎになり、私の協力によって領地が繁栄していたことをカルスは知る。  翌日――カルスは謝罪して再び婚約して欲しいと頼み込んでくるけど、婚約する気はありません。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

処理中です...