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年の始まり
大人たちの話し合い② ウラヌス国王陛下視点
しおりを挟む「父上、母上。お願いがございます。」
「なんだ…そんなに急いで。聞いてみて次第だが、どんな願いだ?」
普段はあまり急いだりしないオストが急に執務室までやってきたと思えば、頼みたいことがあるという。珍しいこともあるものだなと思って聞いてみると、年越しはコルベール領に行きたいということだった。
「なんだと!?コルベール領にか?いいな…私も行きたい!ガイアはどうだ?」
「そうですね。最近は全然王都から出ていませんし、コルベール領でしたらアフロディーナお姉様にもお会いできます。賛成ですわ!」
オストはなぜこの二人も行くことになっているんだと不思議そうな顔をしていたが、そこは親の力でねじ伏せた。
そして出発当日までコルベールの皆には隠しておくように伝えてこの日は話を終えたのである。
そして数日後、私とガイアは目深くフードを被りオストの後ろをついていく。アレウスとは親友ではあるものの、会うのは決まって王宮ばかり…。あまりコルベール領には来たことがなかったのでとても新鮮だ。
私たちがフードを外せば案の定メルティが吃驚している。この一家あまり表情が動かないだけにわかりにくいが…
何となく吃驚しているのがわかった。一応宿は用意していたが、メルティを見る感じ侍女に指示を出しているので部屋を用意してくれるということなのだろう。メルティについてダイニングルームに案内されると、コルベール一家だけでなく、ボードリエ公爵夫妻も来ていた。
そして皆で食事を始めてから2時間くらい経った頃だろうか。アレウスに執務室へ呼ばれた。
「それで…なんでお前がいるんだ…?仕事は…?」
机をカツカツと叩きながらにらんでくるアレウス。自分の顔面偏差値を考えてほしい。なぜかアレウスの周りだけ吹雪いているように見えるが気のせいだろうか…
「も、も、もちろん終わらせてきた。オストがコルベール領に行くというし、この際一緒に行きたいなとおもってガイアとついてきたのだ。内緒にしていたのは悪かったが…そ、そ、その驚かせたくてだな…」
私が一気に話すと納得はしていなさそうだが、大きなため息をついて「わかった。」と一言だけ返ってきた。
怒られずに済むと安堵していたところ、ぎろりとこちらを睨んでくるアレウス…。とても怖いです。
「次からはきちんと連絡しろ。こちらだってオストだけだと聞いていたんだ。色々準備もある。わかったな?」
「だ、だ、だって…もうすぐ私たちも家族になるじゃないか…仲間外れなんて寂しいこと言わないでくれ…」
「仲間外れにするなんて言っていないだろ?ただ連絡をくれといっているんだ。」
アレウスの言葉に、確かに仲間外れなんて単語はなかったし、オストを家に招待してくれているということは家族として認めてくれているということだったんだろう。申し訳ないことをしたなと思った私は素直にアレウスへ謝罪した。
「気を取り直して、これからのことを少し話しておきたい。久しぶりに父上も帰ってきたので、ね?父上…」
オルフェウスをすごい目で見ているアレウス…あれは戦神のような目だ…恐らく今まで連絡は絵葉書のみということもあり相当怒っているのだろう。そんな二人をみて笑っているのがオリオンだ。
私もいつかこの中で国王としてではなく父親として素直に笑える日がきたらいいなと思ったのは秘密にしておこう。
「す、す、すまない…アレウス。ただ絵葉書は送っていたじゃろう。」
「えぇ…絵葉書だけですが…文章の一つくらい書くことができたと思うんですがね。その手は飾りですか?それとも字を忘れてしまったとかですか?それなら重大ですね。」
「す、す、すすみませんでした…」
アレウスがオルフェウスを詰めている間。オリオンが私の近くの寄ってきて一言、「大丈夫ですよ。不思議とこの家は誰でもなじみやすいですから」と声をかけてくる。
そんなにうらやましそうにしているのが見えただろうか。オリオンを見ると、また二人をみて笑っている。私も思わず二人をみて笑ってしまった。
「さて、本題に入りましょうか…オリオン義父上から。お願いしてもいいですか?」
「そうじゃな…オルフェウスよ。お前当分家に帰ってくるな…」
「え…?まさかの儂、追放?領地から追放?」
オルフェウスの目が点になって訳の分からないことを言っている。
「追放でもいいかもしれませんね。」
アレウスは白い目でオルフェウスを見て一言言い放った。
さっきまでの雰囲気はいったいどこに行ったのだろうか…。
「冗談はさておき、父上がいない間に色々なことが動いているんですよ。父上の手を借りたいのです。帰ってきて変だなと思いませんでしたか?アポロがメルティの婚約者だったのに、ヘリーオスト王太子殿下が婚約者になっているんですよ?」
私たちの中では今までの出来事を知っているから何も気にしていなかったが、オルフェウスはずっと世界旅行に言っていていなかったのだ。だから普通であればアポロが婚約者だと思っていてもおかしくないはず…
「た、確かに…あまりに馴染んでいたから全然気にしとらんかったわい。」
頭を掻きながらのんきに話すオルフェウス。やっぱりすごいマイペースだ。
「はぁ、本当にお前は昔から変わらんな。オルフェウスよ。」
そういうと、今までの出来事を簡潔にオリオンが説明していく。婚約者が交換になったこと。ダルデンヌ公爵家とジュアン侯爵家が資金的にも今危うい状態であることなどだ。
それだけ話すとオルフェウスは何となく理解したのか、先ほどまでのおちゃらけた雰囲気がなくなりった。
「なるほどな…話は何となく分かった。ジュアン侯爵領に潜伏して現状を把握して来いということか…」
やはり、この一家は頭の回転がすごい早い、1言えば10伝わる…さすがだ。
「そういうことだ。ダルデンヌ公爵領はヘルが潜伏している。そうだなできれば次のニケの結婚式までは帰ってくるな。」
ニケオスの結婚式は確か春先だったか…。3,4ヶ月潜伏しろということだろう。
「久しぶりに帰ってきたと思ったら…老人遣いの荒いこと…わかった。メルティのためだ。年明けから行って来よう。」
この日はそれだけ話してお開きになった。
途中から私がいる意味あったんだろうか…なんて思ったが誘われなかったらそれはそれで悲しかったので、誘ってくれてありがとうと思うことにした。
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