婚約者を交換ですか?いいですよ。ただし返品はできませんので悪しからず…

ゆずこしょう

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建国祭

謁見の間。

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「アポロ様は一体どこにいるかしらね。」

「国王代理をしているなら…謁見の間じゃないか?」

確かに国王代理をしているなら謁見の間に居そうなものだがあのアポロ様だ。
大人しく椅子に座っていることなんかできるだろうか。

いや、無理だろう…


「とりあえず、謁見の間に行ってみましょう。今日は挨拶に来る貴族が沢山いるし上手く紛れ込めるはず。バネッサ…ドレス他のものに変えられるかしら。あと化粧も少し変えたいわ。」


「可能ですがなにかご注文は…?」


アポロ様に気にいられるのは勘弁して欲しいので、出来れば周りにとけ込めるような感じがいい。女性に囲まれてちやほやされるのが好きな人だから、その中の1人として紛れ込めるとしたら…


「そうね…地味な令嬢に見えるようにしてちょうだい。」


バネッサは少し残念な顔をしながら「承知しました」と準備を始めた。

水色のドレスに、化粧も薄め。さらに化粧でそばかすを付け足してくれており、髪は後ろで一つにまとめている。

いかにも田舎からでてきた令嬢という感じだ。


「いかがでしょうか…。」


「バッチリよ!ありがとう。私のことは…そうね…ヘスティアと呼んでちょうだい…。バネッサのことは、レアリーと呼ぶけどいいかしら?」


バネッサも理解してくれたようで、いつもより地味目の化粧をしていた。

「承知しました。ヘスティアお嬢様。レアリーとしてお傍におります。」

準備を終えて謁見の間に向かうと、謁見の間の外には人だかりができていた。
建国祭の時は貴族の方たちがたくさん訪れるということで謁見の間は扉が開いていることが多いのだが…いったい何が起きたのだろうか。

「すみません。一体何があったのでしょうか…」

「国王が急に若い娘以外入れるなとか言い出したみたいで…私たちは中には入れない状態なの…。」


若い娘のみって…


アポロ様、いえ、もうアポロでいいわ。アポロのおバカなら考えそうなことだ。


「若い娘っていうのは何か条件があるのでしょうか…その見た目とか…」

アポロ自分より見目がよくなければいいというタイプなので恐らく地味な見た目なら中に入れるだろう…


「そうね…先ほどから見るに地味な子ばかり中に入っていってるわね…」

やはり…自分が目立ちたいために引き立て役として地味な子を隣に置く。いかにもアポロが考えそうなことだ。そして恋愛になれてないような女の子ばかりに声をかけてその気にさせる。

本当にいつか刺されてしまえばいいのにと思うのは私だけだろうか…。


「ありがとうございます!私も一度入れるか挑戦してみます。」

衛兵に声をかけるとやはりというべきか、ジロジロ私を見てくる。嘗め回すような目で見てくるから気持ちが悪い…。

「うむ。お前なら入っていいだろう。」

そういうと扉が開いた。


扉の中にはたくさんの若い貴族女性たちがおり、中心にはアポロがふんぞり返りながら座っている。

「はっはっは!我が国王のアポロだ。お前たち全員僕の妃にしてやろう。」


もはや目が点である…。以前は一夫多妻制だった国もあったが、今は一夫多妻制の国などほとんど残っていない。アーノルド国も100年以上前に撤廃している制度だ。だから後宮なんてものも存在していないのだが…


「きゃぁぁぁ素敵ですぅぅぅ!!アポロ様ぁぁぁ!!!」

ここにいる女性たちは教養があまりないのか、アポロをおだてるばかりだ…
周りを見渡してみるとアーテリアもいないので、恐らくアーテリアはアーテリアで似たようなことを他のところでやっているのだろう…「花園」とか名前を付けていそうだなとおもうと少しげんなりした。

それにしても本当にここにいるのは貴族のご息女だろうか…
もう少し貴族のご息女であれば慎みある行動をとってもいいものだと思うのだが…それに見たところ私の知っている女性はいない…。

ボーっとアポロたちを眺めていると後ろから小さい声で声をかけられた。

「メルティちゃん…後ろを向かないでアポロの方だけ見ていて頂戴。」


「デメーテルお義姉様…」


「ヘルとお会いできていなかったからこちらに来たら、ここに連れてこられたの…きっとこのことでヘルは走り回っているのよね…」

私はデメーテルお義姉様の声に小さく頷く。


「ここを出たいのだけれど、何故か一度入ると兵士が扉を開けてくれないのよ。アポロの周りにいる女性以外で壁側に寄っている人たちは皆同じね。それにここ少しおかしくて…私の知っている女性は壁に寄っている人くらいで、アポロの周りにいる人は知らない女性ばかりなのよ。」

やはり、思っていた通りあの真ん中にいる女性たちは貴族ではないのだろう…民衆の女性を連れてきたのか…アポロのことだから娼婦を連れてきたなんてこともありそうだ…


「デメーテルお義姉様の言う通り、私も知らない方ばかりですね…それに何か先程から変なにおいがしませんか…?」

少し甘いような…頭がボーっとしてくるような…そんな匂いだ。吸ってはいけないと頭が警報を鳴らしている。


「そうなの…壁側にいるとまだ隙間から空気が入ってくるからいいんだけど中央にいる人たちはあまりよくない状態だと思うわ…」

私はあまり話して空気を吸い込みすぎるのもよくないと思い、デメーテルお義姉様の隣で壁に徹した。
ニケお兄様が外から異変に気付いてくれればいいのだけれど…。


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