29 / 35
永久就職!?
久しぶりの再会。
しおりを挟む
何を仕事にしようか考えているとあっという間に3ヶ月が過ぎていた。
その間は特に仕事をしていなかったが、今まで稼いだお金があったので何とかなった。
実家でこのまま暮らし続けるなら、魔物討伐出もらった銀貨があれば仕事をしなくても全然生きていけるが、それはそれでアドルフ達と同じようになってしまうのが何となく嫌だった。
10年間はアドルフからお金が帰ってくる予定だけど、戻ってこない可能性も大いにあるだろう。あくまでも予定であって、生き残れなければ意味が無いからだ。
傭兵団に入ることも考えたが、入ってしまえばなかなか戻って来れないだろう。
で、あれば衛兵の仕事をするか…だが、衛兵は男性のみの職場だ…
仕事について考えていると、マウロが部屋にきた。
「エル姉。今いい?」
「どうしたんだ?」
「ちょっとお店に顔出して欲しいんだけど…」
今考えることで忙しいのに、なんで店に顔を出さなきゃ行けないんだ。
「今考え事で忙しいから無理。」
「どうせ考えても答えの出ないことをぐるぐると考え続けているんだろ。ここの所ずっとそうなんだから分かるよ。とりあえず気分転換だと思って出て。待ってるからね!絶対だよ!」
それだけ言うとわざと大きな足音を立てながら階段を降りていった。
「仕方ない…降りていくか。」
私は寝間着から着替えて、髪をポニーテールに結んでから階段をおりていくと、洋食屋にしては珍しい大きな笑い声が沢山響いていた。
「今日はなんだかうるさい…え…?」
厨房から店内へ向かって歩くと、知っている面々が貸切にして集まっていたらしい。
「た、た、た、たいちょぉぉぉぉ!!!」
「エル大隊長!お久しぶりです!」
「お前ら、帰ってきたのか…?あれからもう半年も経ったのか…?」
「「「はい!!任期を終えてただいま戻りました!!!」」」
皆が声を揃えて言う姿をたった半年見ていなかっただけなのに、どこか懐かしく感じた。
「そ、そうか。無事帰還してくれて良かった。今日はゆっくりしてけよ!」
「隊長にも話したいことがいっぱいあるんです!一緒に飲みましょう!今日は、団長の奢りで貸切ですよ!」
団長がこんなところに来るなんて珍しい感じもするが、兄さんとも友人なくらいだ。それにダックワーズ辺境伯家の人だ。
ダックワーズ。最近どこかで聞いたような…
ダックワーズ…
「ダックワーズぅぅぅ!?兄さん、もしかして…。」
私が急に大声を出したからか皆が一斉にこっちを向く。
「あぁ、オディたち辺境伯家は俺たちの雇い主だ。」
何年も聞いていたのにすっかり忘れていた。しかもダックワーズ家が辺境伯家だと知っていたのにだ。
昔から、兄さんと喧嘩ばかりしていたし、まさかそこまでの関係だとは思っていなかった…
「だっていつも喧嘩ばかりしていたじゃないか。」
「それはそれだ。なっ!オディ。」
「あぁ、そうだな。今は喧嘩もほとんどしない。」
兄さんは陽気に団長と肩を組んでいるが、団長は若干煩わしそうだ。何度も肩に乗せていた手を振り払っている。
2人を見て本当に仲良くなったんだなとしんみりしているとルエルに呼ばれた。
「エル隊長!こっちきて一緒に飲みましょぉー!!」
ルエルの所に行くと、ヘッディー、ヤーコフ、それにバルコ副団長が1つのテーブルを囲んで飲んでいた。ルエルが隣を開けてくれたのでそこに座りながら私も飲み始めた。
「そう言えば、アドルフはどうなった?」
「全然使えませんでしたね…そもそもウチらの知ってるアドルフくんはかなりの猛者だったんで、まさかって感じでした。」
バルコ副団長は酒を片手にすごい勢いで話し出す。普段はそんなに話すイメージがなかったが…酒が入るとすごい話上戸になるらしい。
「俺たちの知っているアドルフは、お前だからよォ。正直見た目がナヨナヨしていても戦うと人が変わるんじゃないかって思って楽しみにしてたんだがな。」
「確かに初めて会った時は皆にバカにされてたな…」
会ったばかりの頃のことを思い出す。ヘッディーは心配してくれていたがヤーコフなんかは笑っていたもんな。
「僕は初めからいなかったのが残念ですよ。」
実際、この中で国から初徴集を受けたのは私とルエルでヘッディーやヤーコフは自己志願者だ。自己志願者の場合は自分で魔物討伐に行く期間を決められるため、最後までいたという感じだ。
「そうか?見ても何も変わらないと思うがな。」
「いや、お前は知らないだろうがノッラっていう隊長いたろ?」
確か、初めだけ見かけ他がその後見かけなくなったような…私はこくりと頷くと、代わりにヤーコフが話し出した。
「あぁ、あの時は面白かったよなー。こいつが武器にレイピアを選んだらよ女男とめちゃくちゃ笑ってやがったんだよ。本当に戦えるのかってな。」
確かに、初めの頃はレイピアを持っているだけで笑われていたな。いつの間にか何も言われなくなったが。
「へぇー、隊長笑う奴なんているんすね。」
「見た目こんなだからよ。それでいざ戦闘が始まるとさ、陣形なんか関係なしに突っ込んでいくしよ、なんならCランクの魔物までなら素手で倒していくからよぉ。あの時の皆の顔は、見ていて傑作だったわ。」
ケラケラ笑いながら話すヤーコフも大分酒が回っているようだ。
「でもノッラ隊長は次の日に居なかったよな。」
「それはですね、「自分にはあいつを制御することは出来ません」って魔物討伐から足を洗ったからですよ。」
まさかのそんなことがあったんで知らなかった。バルコ副団長もあの時のノッラの顔は忘れられないですねーって笑っている。そんなにやばかったのだろうか。
「話が脱線したが、それを見ていたから本物のアドルフにも期待していたんだがな…まさかだったよな…半年いて、スライムすら倒せなかったんだぜ。」
確かにスライムは打撃攻撃は有効では無いが、投擲や剣などがあればすぐ倒すとができる。
私はまさかと思い、ルエルを見ると…ヘラりと笑いながら、
「いやぁ、半年間武器も使えるようにならないし投擲もやっとスライムに届くようになったくらいで…石のひとつも当たらない人始めてみましたよ。ちなみに半年間で倒した魔物討伐数は……ある意味で歴史に残るんじゃないですかね……0でした…。」
「「「「もしかしたらもう生きていないかもな…」」」」と笑う4人はなんだか遠い目を見ていた。
その間は特に仕事をしていなかったが、今まで稼いだお金があったので何とかなった。
実家でこのまま暮らし続けるなら、魔物討伐出もらった銀貨があれば仕事をしなくても全然生きていけるが、それはそれでアドルフ達と同じようになってしまうのが何となく嫌だった。
10年間はアドルフからお金が帰ってくる予定だけど、戻ってこない可能性も大いにあるだろう。あくまでも予定であって、生き残れなければ意味が無いからだ。
傭兵団に入ることも考えたが、入ってしまえばなかなか戻って来れないだろう。
で、あれば衛兵の仕事をするか…だが、衛兵は男性のみの職場だ…
仕事について考えていると、マウロが部屋にきた。
「エル姉。今いい?」
「どうしたんだ?」
「ちょっとお店に顔出して欲しいんだけど…」
今考えることで忙しいのに、なんで店に顔を出さなきゃ行けないんだ。
「今考え事で忙しいから無理。」
「どうせ考えても答えの出ないことをぐるぐると考え続けているんだろ。ここの所ずっとそうなんだから分かるよ。とりあえず気分転換だと思って出て。待ってるからね!絶対だよ!」
それだけ言うとわざと大きな足音を立てながら階段を降りていった。
「仕方ない…降りていくか。」
私は寝間着から着替えて、髪をポニーテールに結んでから階段をおりていくと、洋食屋にしては珍しい大きな笑い声が沢山響いていた。
「今日はなんだかうるさい…え…?」
厨房から店内へ向かって歩くと、知っている面々が貸切にして集まっていたらしい。
「た、た、た、たいちょぉぉぉぉ!!!」
「エル大隊長!お久しぶりです!」
「お前ら、帰ってきたのか…?あれからもう半年も経ったのか…?」
「「「はい!!任期を終えてただいま戻りました!!!」」」
皆が声を揃えて言う姿をたった半年見ていなかっただけなのに、どこか懐かしく感じた。
「そ、そうか。無事帰還してくれて良かった。今日はゆっくりしてけよ!」
「隊長にも話したいことがいっぱいあるんです!一緒に飲みましょう!今日は、団長の奢りで貸切ですよ!」
団長がこんなところに来るなんて珍しい感じもするが、兄さんとも友人なくらいだ。それにダックワーズ辺境伯家の人だ。
ダックワーズ。最近どこかで聞いたような…
ダックワーズ…
「ダックワーズぅぅぅ!?兄さん、もしかして…。」
私が急に大声を出したからか皆が一斉にこっちを向く。
「あぁ、オディたち辺境伯家は俺たちの雇い主だ。」
何年も聞いていたのにすっかり忘れていた。しかもダックワーズ家が辺境伯家だと知っていたのにだ。
昔から、兄さんと喧嘩ばかりしていたし、まさかそこまでの関係だとは思っていなかった…
「だっていつも喧嘩ばかりしていたじゃないか。」
「それはそれだ。なっ!オディ。」
「あぁ、そうだな。今は喧嘩もほとんどしない。」
兄さんは陽気に団長と肩を組んでいるが、団長は若干煩わしそうだ。何度も肩に乗せていた手を振り払っている。
2人を見て本当に仲良くなったんだなとしんみりしているとルエルに呼ばれた。
「エル隊長!こっちきて一緒に飲みましょぉー!!」
ルエルの所に行くと、ヘッディー、ヤーコフ、それにバルコ副団長が1つのテーブルを囲んで飲んでいた。ルエルが隣を開けてくれたのでそこに座りながら私も飲み始めた。
「そう言えば、アドルフはどうなった?」
「全然使えませんでしたね…そもそもウチらの知ってるアドルフくんはかなりの猛者だったんで、まさかって感じでした。」
バルコ副団長は酒を片手にすごい勢いで話し出す。普段はそんなに話すイメージがなかったが…酒が入るとすごい話上戸になるらしい。
「俺たちの知っているアドルフは、お前だからよォ。正直見た目がナヨナヨしていても戦うと人が変わるんじゃないかって思って楽しみにしてたんだがな。」
「確かに初めて会った時は皆にバカにされてたな…」
会ったばかりの頃のことを思い出す。ヘッディーは心配してくれていたがヤーコフなんかは笑っていたもんな。
「僕は初めからいなかったのが残念ですよ。」
実際、この中で国から初徴集を受けたのは私とルエルでヘッディーやヤーコフは自己志願者だ。自己志願者の場合は自分で魔物討伐に行く期間を決められるため、最後までいたという感じだ。
「そうか?見ても何も変わらないと思うがな。」
「いや、お前は知らないだろうがノッラっていう隊長いたろ?」
確か、初めだけ見かけ他がその後見かけなくなったような…私はこくりと頷くと、代わりにヤーコフが話し出した。
「あぁ、あの時は面白かったよなー。こいつが武器にレイピアを選んだらよ女男とめちゃくちゃ笑ってやがったんだよ。本当に戦えるのかってな。」
確かに、初めの頃はレイピアを持っているだけで笑われていたな。いつの間にか何も言われなくなったが。
「へぇー、隊長笑う奴なんているんすね。」
「見た目こんなだからよ。それでいざ戦闘が始まるとさ、陣形なんか関係なしに突っ込んでいくしよ、なんならCランクの魔物までなら素手で倒していくからよぉ。あの時の皆の顔は、見ていて傑作だったわ。」
ケラケラ笑いながら話すヤーコフも大分酒が回っているようだ。
「でもノッラ隊長は次の日に居なかったよな。」
「それはですね、「自分にはあいつを制御することは出来ません」って魔物討伐から足を洗ったからですよ。」
まさかのそんなことがあったんで知らなかった。バルコ副団長もあの時のノッラの顔は忘れられないですねーって笑っている。そんなにやばかったのだろうか。
「話が脱線したが、それを見ていたから本物のアドルフにも期待していたんだがな…まさかだったよな…半年いて、スライムすら倒せなかったんだぜ。」
確かにスライムは打撃攻撃は有効では無いが、投擲や剣などがあればすぐ倒すとができる。
私はまさかと思い、ルエルを見ると…ヘラりと笑いながら、
「いやぁ、半年間武器も使えるようにならないし投擲もやっとスライムに届くようになったくらいで…石のひとつも当たらない人始めてみましたよ。ちなみに半年間で倒した魔物討伐数は……ある意味で歴史に残るんじゃないですかね……0でした…。」
「「「「もしかしたらもう生きていないかもな…」」」」と笑う4人はなんだか遠い目を見ていた。
560
あなたにおすすめの小説
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
石女を理由に離縁されましたが、実家に出戻って幸せになりました
お好み焼き
恋愛
ゼネラル侯爵家に嫁いで三年、私は子が出来ないことを理由に冷遇されていて、とうとう離縁されてしまいました。なのにその後、ゼネラル家に嫁として戻って来いと手紙と書類が届きました。息子は種無しだったと、だから石女として私に叩き付けた離縁状は無効だと。
その他にも色々ありましたが、今となっては心は落ち着いています。私には優しい弟がいて、頼れるお祖父様がいて、可愛い妹もいるのですから。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる