恋愛小説に踊らされている婚約者様へ。悪役令嬢になりますので早めの婚約破棄を所望します

ゆずこしょう

文字の大きさ
8 / 24
編入生。

お兄様からの呼び出しは何か起きそうで怖いです

しおりを挟む
鉄扇も軽々と振り回せるようになった頃、トーマスお兄様からあるものができたから取りに来て欲しいと呼び出しを受けた。


「トーマスお兄様。それでご要件はなんでしょうか?」


10m以上離れたところから声をかける。


「なんでそんな離れたところにいるんだ?大丈夫だ。爆発したりなどしない…はずだ…」


お兄様の発明品は確かにすごいものばかりだけど、それを作り出すには…それはそれは沢山の失敗を積み重ねてきている。

お兄様の研究室が何度爆発した事か…

家に何度も被害が出たこともあり、今では家から少し離れたところにポツンと研究室が建てられている。


「ほ、本当ですか?」


「あぁ、爆発なら数日前にしているからな。安心しなさい!」


爆発は数日前にしている!?

それは安心できるのですか…お兄様…。

お兄様が近づかなければ話さないと言うような顔でこちらを見ているので恐る恐る近づくことにした。


そして、机の上にお兄様が作った物を置いた。



「こ、これは…?」



「ふむ…。名前は決まっていないが…んーそうだな。動くものを撮影する機械だから…まぁ、いいか。その辺はイザベラに任せれば良いだろう。」

悩むこと10分…。


結局名前決められないのか!!


と言わなかっただけ褒めて欲しい…


「取り敢えず、カメラは知っているだろう?貴族の中で最近流行っているものだ。」


それは知っている。なんて言ったってお兄様が作って売り出し始めたものだからだ。中々手に入らないからと何人もの人に譲って欲しいと声をかけられたことか。

「それは知っています。今凄い人気ですからね。それでそのカメラがどうしたのです?」


「そのカメラで同じところをずっと撮影し続けるとそれがコマ送りになって最後は動くようになるんだ。」


えっと…なんか色々端折っているような気がするけど…



「書いた絵をパラパラめくって行くと動くみたいな感じですか?」



確かブランディーヌがやっていたのを思い出す。教科書の端にすぐ怒る先生の顔をコマ送りで書いて遊んでいたっけ。


あとで本人に見つかって怒られてたわね…


でも小さい絵なのにすごく似ていて、その先生がそこだけ破いて持って帰ったんだった。

あれにはみんな笑いを堪えるのに必死だったわ!





「なんとなくお兄様の言いたいことは分かりました!私はこのカメラで写真を撮ればいいのですね。」


「そういうことだ…。まぁお前の友人に任せたら、綺麗に撮ってくれるだろう。あぁ、でもジャンリーネだけはやめとけよ?」


ジャンリーネには昔から何度も発明した物を壊されているからだろう。

2人は婚約者同士だから、昔からお兄様が泣かされている姿をよく見たものだ…


まぁ、私もつい先日、鉄扇の稽古で泣かされた訳だけど…。


「分かっています。頼むならブランディーヌに頼みますわ!絵の芸術家と言うだけあって、写真を撮るのも上手そうですし。」


アンネマリーに頼んでもいいけどシャッター撮るのやめて違うこと考えていそうなのよね。ここであの登場シーンの音楽を流す…とか、ここからは戦闘シーンのような迫力が欲しいわ…とか…



「あぁ、いい人選だろう。とりあえずシャッターは押し続けてくれればいいから。それを持って帰ってきたらどんな風になったか見せてやろう…。」



「分かりました。その時爆発だけはしないように気をつけてくださいね。」


それだけ伝えると私はカメラを貰って自室へと戻った。


写真を撮ること自体は簡単そうだけど、一体どのくらい必要なのか、全く検討もつかない。




「ハンナ…これ…爆発したりしないかしら…」



「大丈夫だと思いますよ…恐らくですが…」


すすすすすと距離をとるハンナ。


その行動は、危ないって言っているようなものよ!!
とりあえず売り出しているものではたるのだからきっと…


「あぁ、すまないがカメラを作るぶひんがたりなくてなあ。一番初めに作った試作品だから。」


急にお兄様が扉を開いたかと思えば爆弾を投下して言った。


そしてハンナは更に後ろへ下がる。


「ちょ、ちょ、ちょっとぉぉぉおおお!!ハンナァァァ!!!」



「ヴェロニカお嬢様…申し訳ございませんが…私まだ死にたくありませんので…」


それだけ言うとハンナは踵を返して自室へと帰って行った。


邸の廊下には私の声だけが木霊する。


「ハンナの薄情者ぉぉぉおお!!!」


しかしハンナは振り向くことなくバタンと部屋の扉を閉めたのである。


私は仕方なく1人部屋に戻った…


そしてそこには大きな箱が置いてあった。



「これはもしかして…」


カメラに続きなんだか嫌な予感がする。こういう時に示した合わせたかのようなタイミングで贈り物を送って来るのは…


「イザベラお姉様だわ…」




しかもご丁寧に手紙付きだ…。


ーーーーー

ヴェロニカ


そろそろお兄様の発明品が出来上がる頃だと思うわ。


貴方は明日からこれを着なさい。


「悪役令嬢セット2」よ!!


大丈夫。キット貴方ならに会うわ!!



イザベラ

ーーーー



手紙を読んだあと、恐る恐る箱の中を見ると今度はピンク色のドレスと、ピンク色の大きなリボンが着いた縦巻きロールのかつらが入っていた。


「こ、これは悪役令嬢が着るのかしら…?」

ピンクも薄いピンクではなく濃いピンクだ。

正直だれも着ているのを見たことがない…。

せめて寒色系だったら嬉しいんだけど、本当に子の色のドレス…どこで探してくるのだろうか…


「ここまで来たら開き直った方が楽しいかもしれないわね…。」

遠い目をしながらピンクのドレスを出した…。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ

鍛高譚
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢 ロザリー・フォン・アーデン は、王太子 エドワード・カミル・レグノード の婚約者として誰もが認める完璧な貴族令嬢だった。 しかしある日、王太子は突如 “聖女” を名乗る平民の少女 セシリア・ブランシュ に夢中になり、ロザリーに無情な婚約破棄を言い渡す。 「これは神の導きだ! 私の本当の運命の相手はセシリアなんだ!」 「ロザリー様、あなたは王太子妃にふさわしくありませんわ」 ──ふたりの言葉を前に、ロザリーは静かに微笑んだ。 「……そうですか。では、私も自由に生きさせていただきますわね?」 だが、これがロザリーの “ざまぁ” 逆転劇の幕開けだった! 神託と称して王太子を操る “聖女” の正体は、なんと偽者!? さらに王室財政を私物化する 汚職貴族との黒い繋がり も発覚!? 次々と暴かれる陰謀の数々に、王宮は大混乱。 そして、すべての証拠が王の手に渡ったとき──王太子 エドワードは王太子の地位を剥奪され、偽の聖女と共に国外追放 となる! 「ロザリー様を捨てた王太子は大馬鹿者だ!」 「やっぱり王妃にふさわしかったのはロザリー様だったのよ!」 社交界ではロザリーへの称賛が止まらない。 そしてそんな彼女のもとに、なんと隣国の 若き王クラウス・アレクサンドル から正式な求婚が──!? 「私はあなたの聡明さと誇り高き心に惹かれました。私の王妃になっていただけませんか?」 かつての婚約破棄が嘘のように、今度は 本物の愛と自由を手にするチャンス が巡ってくる。 しかし、ロザリーはすぐに頷かない。 「私はもう、誰かに振り回されるだけの人生は選びません」 王妃となる道を選ぶのか、それとも公爵家の令嬢として新たな未来を切り開くのか──?

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

《完結》戦利品にされた公爵令嬢

ヴァンドール
恋愛
戦いの《戦利品》として公爵邸に連れて行かれた公爵令嬢の運命は?

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

処理中です...