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番外編2
デジレの恋(エリク5)
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結果的に、俺はアシルの策略に巻き込まれた。
そして、デジレと再開することが叶った。
母のことは、当然副長官の息子であるアシルも把握しており、顔合わせの際にデジレを同席させてくれたのだ。
デジレは、俺を覚えていなかった。
少しがっかりしたけれど、彼女との出会いは、あの一瞬だけだったので仕方がないとも言える。
再会した彼女は、相変わらず可憐で聡明な女性だった。
けれど、予想以上に控えめだ。
こんなに素敵なのに、デジレは自分に自信がないのだろうか。
それが不思議に思えた。
※
ある日、デジレの兄であるアシルが俺に言った。
デジレの件があってから、彼が俺に絡んでくる回数が増えた。
「厄介なことに……母が、妹の婚約の話を勝手に進めています。相手はウジェ男爵家の次男。男爵家は母がいつも金を借りている家です」
「ウジェ男爵家? あの家は、あまりいい噂を聞かないですが」
確か、一代で成り上がり、爵位を金で買った家である。
それだけなら問題ないのだが……
ウジェ男爵家は素行の悪さから、他の貴族達のひんしゅくを買っていることでも有名だ。
「強欲ババアにとっては、金さえあれば相手が誰であろうと関係ないのです。そこで、あなたにデジレの婚約者になっていただきたい」
「へ? 今、なんと?」
「ですから、あなたにデジレの婚約者になっていただきたいと言っています」
正気か!?
確かにウチは男爵家だけれど、ウジェ男爵家とは比べ物にならない貧乏貴族だ。
(そんなところに大事な妹を嫁がせる気なのか?)
念のため、アシルにきちんと確認を取ってみる。
「ご存じかと思いますが、ウチは貧乏貴族ですよ? いいのですか、妹君をそんな家に嫁がせて」
「妹の商才を、甘く見ないでください。お家復興くらいは数年でやってのけるでしょう。デジレはああ見えて面食いですから、きっと上手く行きます」
「……面食い?」
「父の方にはすでに話を通してありますので、今度家にでもデジレを招待してやってください。人助けだと思って、お願い出来ませんか?」
「……」
すでに副長官に話が通っているとは、どういうことだ?
とは思ったが、俺には、アシルの提案する魅力的な誘いを断る術はなかった。
家に帰ると、母が満面の笑みで出迎えてくれた。
副長官からデジレの話を聞いたらしい。
正直、アシルの良いように動かされている気もするけれど、俺はデジレとの婚約が嫌ではない……どころか、嬉しい。
もともと、貧乏貴族のボドワン男爵家に縁談の話は来ない。
ウジェ男爵家などに嫁がれるくらいなら、と思ってしまったのも事実である。
デジレの様子が気になっているのは、隠しようもないことだった。
別の日、偶然街でデジレに出会った俺は、勇気を出して彼女に声をかけてみた。
今度は俺を覚えてくれたらしいデジレは、突然の誘いに快く乗ってくれる。
親切な女性の鑑のような人だ。
残念なことに、彼女からの話は俺の母と副長官のやりとりがメインだったが……
確かに、父親の再婚相手のことは気になるのだろう。
アシル曰く、婚約の話は、まだデジレに知らせていないそうだ。
ウジェ男爵家との縁談を完全に破綻させるためらしい。
気に入らない相手は徹底的に潰すアシルの恐ろしさを垣間見た瞬間だった。
以前の舞踏会で、ウジェ男爵家の次男が、カミーユに手を出した事件を根に持っているのは明らかだ。
(彼は敵に回さないよう、気をつけないと。普通に接する分には常識もあるし、やりやすい相手だからな)
アシルの婚約者とは違って。
そして、デジレと再開することが叶った。
母のことは、当然副長官の息子であるアシルも把握しており、顔合わせの際にデジレを同席させてくれたのだ。
デジレは、俺を覚えていなかった。
少しがっかりしたけれど、彼女との出会いは、あの一瞬だけだったので仕方がないとも言える。
再会した彼女は、相変わらず可憐で聡明な女性だった。
けれど、予想以上に控えめだ。
こんなに素敵なのに、デジレは自分に自信がないのだろうか。
それが不思議に思えた。
※
ある日、デジレの兄であるアシルが俺に言った。
デジレの件があってから、彼が俺に絡んでくる回数が増えた。
「厄介なことに……母が、妹の婚約の話を勝手に進めています。相手はウジェ男爵家の次男。男爵家は母がいつも金を借りている家です」
「ウジェ男爵家? あの家は、あまりいい噂を聞かないですが」
確か、一代で成り上がり、爵位を金で買った家である。
それだけなら問題ないのだが……
ウジェ男爵家は素行の悪さから、他の貴族達のひんしゅくを買っていることでも有名だ。
「強欲ババアにとっては、金さえあれば相手が誰であろうと関係ないのです。そこで、あなたにデジレの婚約者になっていただきたい」
「へ? 今、なんと?」
「ですから、あなたにデジレの婚約者になっていただきたいと言っています」
正気か!?
確かにウチは男爵家だけれど、ウジェ男爵家とは比べ物にならない貧乏貴族だ。
(そんなところに大事な妹を嫁がせる気なのか?)
念のため、アシルにきちんと確認を取ってみる。
「ご存じかと思いますが、ウチは貧乏貴族ですよ? いいのですか、妹君をそんな家に嫁がせて」
「妹の商才を、甘く見ないでください。お家復興くらいは数年でやってのけるでしょう。デジレはああ見えて面食いですから、きっと上手く行きます」
「……面食い?」
「父の方にはすでに話を通してありますので、今度家にでもデジレを招待してやってください。人助けだと思って、お願い出来ませんか?」
「……」
すでに副長官に話が通っているとは、どういうことだ?
とは思ったが、俺には、アシルの提案する魅力的な誘いを断る術はなかった。
家に帰ると、母が満面の笑みで出迎えてくれた。
副長官からデジレの話を聞いたらしい。
正直、アシルの良いように動かされている気もするけれど、俺はデジレとの婚約が嫌ではない……どころか、嬉しい。
もともと、貧乏貴族のボドワン男爵家に縁談の話は来ない。
ウジェ男爵家などに嫁がれるくらいなら、と思ってしまったのも事実である。
デジレの様子が気になっているのは、隠しようもないことだった。
別の日、偶然街でデジレに出会った俺は、勇気を出して彼女に声をかけてみた。
今度は俺を覚えてくれたらしいデジレは、突然の誘いに快く乗ってくれる。
親切な女性の鑑のような人だ。
残念なことに、彼女からの話は俺の母と副長官のやりとりがメインだったが……
確かに、父親の再婚相手のことは気になるのだろう。
アシル曰く、婚約の話は、まだデジレに知らせていないそうだ。
ウジェ男爵家との縁談を完全に破綻させるためらしい。
気に入らない相手は徹底的に潰すアシルの恐ろしさを垣間見た瞬間だった。
以前の舞踏会で、ウジェ男爵家の次男が、カミーユに手を出した事件を根に持っているのは明らかだ。
(彼は敵に回さないよう、気をつけないと。普通に接する分には常識もあるし、やりやすい相手だからな)
アシルの婚約者とは違って。
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