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3話 大勢の味方 その2
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「忘れるな、フェリス。お前にはたくさんの味方がいるということをな」
「はい、お父さま……」
お父様とお母様に婚約破棄の事実を話してから数日、私は兄さま達に会いに行く準備をしていた。
「フェリス、入っても大丈夫かい?」
「えっ、兄さま……?」
フォルテ兄さまの声が聞こえて来た。私の方から訪ねようと思っていたのに……向こうから来てくれるなんて。
「あ、はい! 大丈夫です!」
「ありがとう、失礼するよ」
「フォルテ兄さま、如何なされたのでしょうか? 私の方から出向こうと考えていたのですが」
それだけに驚きを隠せなかった。
「父上から話を聞いたからね。心配になってすぐに会いに来たんだ。ブンド様からの婚約破棄……さぞや気分を害しただろう?」
「は、はい……それは確かに。自分の存在を否定されたような気がしましたから……」
「そうだろうな。まあ、婚約破棄に関わる案件については、父上に任せるのが一番良いだろう。既に話は通っていると聞いているが」
「そうですね、お父様もそう言ってくれました」
「それにしても、ブンド・マルカール……妹をこんな目にあわせて、タダで済むと思うなよ!」
フォルテ兄さまは相当怒っているように見える。私の為に怒ってくれるのは本当に嬉しいけれど、決して無理はしてほしくなかった。
フォルテ兄さまにも婚約者がいる。ブンド様を敵に回した場合、そちらの縁談にも影響が出そうだからだ。
「兄さま、お気持ちはとても嬉しいです。ありがとうございます。ただ、決して危険な行動には移らないで欲しいのです」
「フェリス……」
「兄さまには大切な婚約者がいらっしゃいますし、将来はシネスタ家の当主になるんですから」
フォルテ兄さまは無言で聞いてくれていた。ブンド・マルカール様は侯爵になる。子爵家では太刀打ちが難しい。私はシネスタ家を守りたかったのだ。私のせいで存続の危機になるようなことは避けたかった。
「幸いにも、ブンド様は慰謝料を支払うと言っていました。それでなんとか終わらせるのが良いかと思います」
「……済まない、フェリス。無力な兄を許してくれ」
「とんでもないことでございます」
良かった、兄さまも分かってくれたようだ。いつもの雰囲気に戻っていたし。私には多くの味方がいる。お父様が言っていたけれど、それを実感出来ただけでも十分だった。
そう、十分だったのだけれど……それからしばらくして、予想外のことが起きる。王家の方が屋敷を訪れたのだ。
「はい、お父さま……」
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「フェリス、入っても大丈夫かい?」
「えっ、兄さま……?」
フォルテ兄さまの声が聞こえて来た。私の方から訪ねようと思っていたのに……向こうから来てくれるなんて。
「あ、はい! 大丈夫です!」
「ありがとう、失礼するよ」
「フォルテ兄さま、如何なされたのでしょうか? 私の方から出向こうと考えていたのですが」
それだけに驚きを隠せなかった。
「父上から話を聞いたからね。心配になってすぐに会いに来たんだ。ブンド様からの婚約破棄……さぞや気分を害しただろう?」
「は、はい……それは確かに。自分の存在を否定されたような気がしましたから……」
「そうだろうな。まあ、婚約破棄に関わる案件については、父上に任せるのが一番良いだろう。既に話は通っていると聞いているが」
「そうですね、お父様もそう言ってくれました」
「それにしても、ブンド・マルカール……妹をこんな目にあわせて、タダで済むと思うなよ!」
フォルテ兄さまは相当怒っているように見える。私の為に怒ってくれるのは本当に嬉しいけれど、決して無理はしてほしくなかった。
フォルテ兄さまにも婚約者がいる。ブンド様を敵に回した場合、そちらの縁談にも影響が出そうだからだ。
「兄さま、お気持ちはとても嬉しいです。ありがとうございます。ただ、決して危険な行動には移らないで欲しいのです」
「フェリス……」
「兄さまには大切な婚約者がいらっしゃいますし、将来はシネスタ家の当主になるんですから」
フォルテ兄さまは無言で聞いてくれていた。ブンド・マルカール様は侯爵になる。子爵家では太刀打ちが難しい。私はシネスタ家を守りたかったのだ。私のせいで存続の危機になるようなことは避けたかった。
「幸いにも、ブンド様は慰謝料を支払うと言っていました。それでなんとか終わらせるのが良いかと思います」
「……済まない、フェリス。無力な兄を許してくれ」
「とんでもないことでございます」
良かった、兄さまも分かってくれたようだ。いつもの雰囲気に戻っていたし。私には多くの味方がいる。お父様が言っていたけれど、それを実感出来ただけでも十分だった。
そう、十分だったのだけれど……それからしばらくして、予想外のことが起きる。王家の方が屋敷を訪れたのだ。
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