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10話 真相 その1
しおりを挟む「ふん……なぜお前がここに居るのだ、フェリス。場違いにも程があるだろう?」
ブンド様は私を見るなり、明らかに表情をしかめていた。自分が選ばれて王族の催し物に招待されたと思っているのだろうか……その為か、子爵令息であるフォルテ兄さまにも辛く当たっているようだったし。それに私の挨拶は完全に無視なようね。
まあ、別にどうでも良いんだけれど……。
「子爵令息のフォルテといいフェリスといい……随分と恥知らずなのだな。このような高貴な場所に当たり前のように立っているとは。王家のご厚意なのかもしれないが、もう少し自重して端の方へ立っているべきだろう。そう思うだろう、ルーザ?」
「え、ええと……確かにそうかもしれませんね……」
凄い酷い言われようだわ。フィルア姉さまが聞いていることを知っているのかしら? やっぱりこの二人は私の正体を知らないわけね。ルーザ様も知らないのだろうけど、ブンド様と比べると様子が違う。勘付いているのか、ブンド様の意見には合わせているだけに思えるわ。
「ブンド様」
「なんだ一体?」
「私は自分の立場をわきまえているつもりです。だからこうして立っているのです」
「はあ? 何を言っているんだ?」
ルーザ様の表情は少し驚きに満ちたものに変わっていたけれど、ブンド様はまったく変化がない。それどころか、私を馬鹿にする気満々といった表情になっている。無知ってこんなにも怖いものなのね……フィルア姉さまの方向を見るのが怖いわ。どんな形相になっているか……。
姉さまは昔から私のことを可愛がってくれる傾向にあったから。10年前の養子縁組の際も、一番悲しんでくれたのはフィルア姉さまだったはずだし……。あの時は互いの後ろ盾の関係上、王位継承争いでは敵対する立場だった。でもそれは、立場的なものであって姉妹という関係では非常に仲が良かったのだ。
そんな争いも沈静化し私が第二王女として戻った今となっては……。
「お前はバカなのか、フェリス? 立場を理解しているのだったら、端っこの方で大人しくしていないと駄目だろう? 何を堂々と私の前に立ちはだかっているのだ? ん?」
こんな人と私は婚約していたのね……例え、相手が子爵令嬢だったからと言っても、こんな態度が許されるはずがない。横柄すぎる態度……慰謝料を支払うからと言って、全てが許されたと思っていないだろうか?
「ブンド・マルカール侯爵」
「おお! これは、フィルア王女殿下! 相変わらずお美しいですな! お会い出来て光栄でございます」
「ありがとう。それよりも、少し気になるわね……貴方の態度が」
「私の態度でございますか……?」
このタイミングでフィルア姉さまが動き出した。ブンド様はチェックメイトの状態に入っているかもしれない。
「ど、どういうことでしょうか? フェリス嬢との話は元婚約者同士の戯れでございまして……不快に思われたのなら、謝罪いたします」
「不快なんてものじゃないわよ……実の妹を馬鹿にされて、怒らない姉が居ると思うの?」
「えっ……実の妹……?」
ブンド様はこの期に及んでも分かっていないようだった。フィルア姉さまは相当に怒っている。同時に、ブンド様の馬鹿さ加減に溜息も吐いていた。
「ブンド様! まだ分かっていないんですか!? フェリス様こそが秘密にされていた第二王女殿下なんですよ!」
「な、なに……ルーザ、それは一体……!」
「もう……! 察しが悪すぎですわ!」
急に焦り出す二人。見ていて滑稽だったけれど、話すのはルーザ様だけにしておいた方が良かったわね。それならフィルア姉さまがここまで怒ることもなかったと思うし。
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