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34話 スザンヌの動向 その1
しおりを挟む(スザンヌ王妃視点)
「ウィンスタート、居るかしら?」
「はっ、こちらに」
「ありがとう」
私は専属の護衛であるウィンスタート・ドルチェを呼び出した。彼は影のような素早さで音もなく、私の前に現れる。スパイ活動などもこなせる、自慢の護衛の一人だ。
「陛下……ネプトのことは聞いているわね?」
「はい、伺っております。2日前に幼馴染であるアーチェ・ノーム伯爵令嬢に告白をされたとか……」
「ええ、そのようね。貴方はこの話を聞いてどのように思ったかしら?」
「わ、私でございますか?」
「ええ、貴方の意見は頼りになるから」
ウィンスタートは戸惑った様子を見せていた。質問の内容的には仕方ないかもしれないけれど、彼の意見は是非とも参考にしたいわ。
「僭越ながら申し上げます……」
「ええ、よろしくお願いするわ」
「国王陛下の考えには賛同できません。スザンヌ様というお方がいらっしゃるにも関わらず、側室になられるお方に愛の告白というのは……如何なものかと」
「なるほど、貴方はそういう意見を持っているのね」
「はい」
ウィンスタートの意見は正論にはなるだろう。ただし、国王と王妃が恋愛関係にならないのは、この国では通例だ。現に今までの歴史を振り返れば、側室を一番に愛した国王陛下は多かったはず。そう考えれば、今回の件は特に問題のある話ではないのだけれど……。
「ウィンスタートはこの国の歴史については知っているわよね?」
「もちろんでございます、スザンヌ様。通例を重んじる場合であれば、問題はないのかもしれませんが……ネプト国王陛下とスザンヌ様の間には愛情があると認識しております。それは、周囲の貴族達にも広まっているでしょう」
「そうだったわね」
私とネプトは年齢は22歳で同じ歳になる。正式な国王、王妃になる年齢としては若い方だけれど、それが災いしたのか、私達は愛を語ってしまったのだ。この時点で通例とは違う道を進んでいることになる。
「ウィンスタートが言ってくれた意見は正論だと思うわ。ネプトがアーチェ嬢に対して行った告白は、本来であれば間違っている。おそらくは正論でしょう」
「ありがとうございます、スザンヌ様。しかし……スザンヌ様は何か引っ掛かっておられるのでしょうか?」
流石は専属の護衛なだけあるわね、私の表情を上手く読み取っている。そこから私が、納得がいっていないことを想像したのでしょうね。
「正論を破るのがいけないのであれば、既に私とネプトの間で破られているわ。私達は一時的な感情を優先し、一緒になってしまった。つまり、ネプトが真実の愛としてアーチェ嬢を選ぶのは悪いことではないのよ」
「スザンヌ様……?」
私とネプトの関係とは違い、アーチェ嬢との関係はより本物に近いはず。もしも二人の愛情が本物なのであれば……私は何も言うことは出来ないわね。なぜなら私も、通例を破っている身なのだから。
「アーチェ嬢に会うことは出来るかしら? 一度、話しをしてみたいわ」
「畏まりました。早急に準備を致します」
「ありがとう、ウィンスタート」
まずはお互いに会ってみることが重要ね。相手の雰囲気などを見極める必要があるわ。私は彼女に会えることが密かに楽しみであった。ネプトが選んだ女性……興味が尽きないわね。
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