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58話 ウォーレスとニーナのその後 その1
しおりを挟む「どうして私達は貴族街を歩けているのかしらね……」
「本当だね……罰が軽くなったのが原因だけどね……君のおかげか、アーチェ」
「……ウォーレス、ニーナ……」
私はウォーレスとニーナの二人と会っていた。あの時は二度と会いたくないと思っていたけれど、こうして会うと懐かしい気持ちが芽生えてくる。私は心の底では二人のことを憎めていなかったのかもしれない。
「罰が軽くなったのはどういうことかしら?」
私達3人は現在、貴族街を歩いていた。護衛を付けてはいるけれど、ネプト様は居ない。ただ、弟のフォルセが後ろから付いて来ているけれど……。何か暴力沙汰になることは考えられない。
「ネプト様の温情よ……ありがたく思えばいいじゃない」
「それはありがたいけれど……不気味でもあるのよ。ネプト様は国王陛下を退位されるのでしょう?」
ニーナはやはり気味が悪いと考えているようだ。まあ、家から追い出されるところだったしね。彼らへの罰は実質、慰謝料の増額に留まることになった。まあ、二人が次期当主になることはなさそうだけどね。
「色々あったのよ、ニーナ。私も考えさせられることがね……」
「まあ、想像はつくけれどね」
ニーナはやはり察しが良いわね……スザンヌ様が居なくなった件も既に伝わっているはず。その辺りからの推理は容易ということなんでしょうね。
「ネプト様との愛を貫くつもりなんでしょう?」
「う……分かってるんじゃない」
「そりゃあ、あなたのことは何度も影から見て来たし。考えていることくらい分かるわ。裏方の離宮とかで生活するわけ?」
「いえ、まだ決定じゃないけど、要職には就けるみたい。ただ、かなり苦労するとは思うけど」
「まあ、あなたって甘ちゃんだしね」
「うるさいわね……誰のせいよ」
「私のせいにしないで欲しいわ」
そんなことは分かっている……私が甘い考えの持ち主なのは自分のせいだ。ニーナのせいにするつもりはない。そうでなければ、二人への罰を軽くして欲しいなんて言えなかったしね。二人には伝えてないけど直接打診したのは私なのだ。
「しかし……ネプト国王陛下が退位するとなると、今後は大変になるかもしれないな」
「そうね……表向きはともかく、裏ではイザコザが生まれるでしょうね」
「……」
ウォーレスとニーナの言葉はもっともだった。それらを乗り越えて行かなければならない。
「な~んか憑き物が取れたって感じ……アーチェ」
「なに、ニーナ?」
「あんたにその気があるかは分からないけれど、悩みとかあれば私達のところへ来なさいよ。話くらい聞いてあげるわ」
「そうだな……まあ、あんなことがあった関係だから、難しいかもしれないが。今のアーチェはとても悩んでいるように見えるしな」
「ウォーレス……ニーナ……」
おかしい……目頭が熱いわ。それに悩んでいるのも看破されているし。やっぱり、この二人には敵わないかもしれない……。
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