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5話 ヨハン王子殿下 その2
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「ヨハン王子殿下、ようこそいらつしゃいました。大したおもてなしが出来ず、非常に申し訳ないことでございます」
「いえ、気にしないでいただきたい、グリフィス殿。元々、私が訪問する予定はなかったのだから、当然のことです」
私とお父様のグリフィス・ランカスターは、ヨハン様を客室へと案内し急ごしらえで作った軽食と飲み物を用意した。メイドに用意してもらったのだけれど、急すぎる依頼に苦笑いになっていたわね。
まあ、いきなり「王子殿下が訪問されたから、何かご用意できる物はない?」と聞かれれば、苦笑いにもなるだろう。それでも、なんとか用意してくれたメイドのみんなには感謝しか出来なかった。流石はプロといったところね。
でも、おかしいわね……ヨハン様は訪問の予定がないと言っていたけれど、私に声を掛けてきたので、屋敷の近くには居たことになる。ランカスター家の屋敷の前を通りかかったのは偶然なのかしら?
「急な訪問に対する手厚いもてなし、感謝いたします」
「勿体ないお言葉ありがとうございます、ヨハン王子殿下」
ヨハン様とお父様は互いに深々と頭を下げていた。そもそもの地位で考えればヨハン様が頭を下げる必要はないのだけれど、彼はお父様とも面識が深く、幼かった当時も敬語を使って話していたわね。その時の名残りが18歳になった今でも残っているようだ。
私は初心を忘れていないというか、王子殿下の地位を鼻にかけないヨハン様を好意的に見ていた。なんだか、とても安心したわ。
---------------------------
その後、お父様は私に気を使ってくれたのか、ヨハン様と二人きりにしてくれる。客室に待機していたメイド達にも出て行くように促して。いえ、私には婚約者が居るんだけれど……その気遣いは本来なら、駄目な気がする。
まあ、今の私の場合は違うのだけれど……それと、お父様にリグリット様に一件を伝えることが出来なかった。今からお父様を呼び戻したり、私が向かうのも不自然だし。
私がそんなことを考えていると、対面に座っていたヨハン様が口を開いた。私の顔を真剣な眼差しで見つめながら。
「どうしたんだ、エレナ? 先ほどからソワソワしているし……何かあったのか?」
「えっ? い、いえ……別になにもありませんけれど……変に見えますか?」
「そうだな……」
「や、やだな……私達は久しぶりに会ったんですから。私もこういう冗談をするようになったんですよ?」
私はヨハン様風に身振り手振りを使って冗談めいた空気を再現してみた。しかし、今の彼にはそれは通じなかった。一緒に笑ってはくれていないから。
「話したくないことならば、無理に聞こうとは思わないが……私は知りたいと思っている。後は君次第だな」
「ヨハン様……」
凄い確信だった。ヨハン様は自分の勘違いだとおそらく微塵も思っていないはず。どうしてそこまで確信が持てるのかは不明だけれど、これも幼馴染としての絆なのかしら?
幼馴染……リグリット様とアミーナ様もそういえば幼馴染同士だったっけ。今日の一件に関して、ヨハン様には知られたくないと思っていたけれど、出会って早々に元気がないことを見破られた以上は、黙っているのも失礼な気がした。
話してみよう……それで私の心も晴れるかもしれないから。このモヤモヤとした心の状態で、ヨハン様と会話するのは嫌だしね。
「いえ、気にしないでいただきたい、グリフィス殿。元々、私が訪問する予定はなかったのだから、当然のことです」
私とお父様のグリフィス・ランカスターは、ヨハン様を客室へと案内し急ごしらえで作った軽食と飲み物を用意した。メイドに用意してもらったのだけれど、急すぎる依頼に苦笑いになっていたわね。
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でも、おかしいわね……ヨハン様は訪問の予定がないと言っていたけれど、私に声を掛けてきたので、屋敷の近くには居たことになる。ランカスター家の屋敷の前を通りかかったのは偶然なのかしら?
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「勿体ないお言葉ありがとうございます、ヨハン王子殿下」
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まあ、今の私の場合は違うのだけれど……それと、お父様にリグリット様に一件を伝えることが出来なかった。今からお父様を呼び戻したり、私が向かうのも不自然だし。
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「どうしたんだ、エレナ? 先ほどからソワソワしているし……何かあったのか?」
「えっ? い、いえ……別になにもありませんけれど……変に見えますか?」
「そうだな……」
「や、やだな……私達は久しぶりに会ったんですから。私もこういう冗談をするようになったんですよ?」
私はヨハン様風に身振り手振りを使って冗談めいた空気を再現してみた。しかし、今の彼にはそれは通じなかった。一緒に笑ってはくれていないから。
「話したくないことならば、無理に聞こうとは思わないが……私は知りたいと思っている。後は君次第だな」
「ヨハン様……」
凄い確信だった。ヨハン様は自分の勘違いだとおそらく微塵も思っていないはず。どうしてそこまで確信が持てるのかは不明だけれど、これも幼馴染としての絆なのかしら?
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