10 / 43
10話 息子の裏切り その1
しおりを挟む
(リグリット視点)
「今日もとても可愛いぞ、アミーナ。まるで、天使のようだな……!」
「ありがとう、リグリット! とても嬉しいわ。あなたがプレゼントしてくれた、この真珠のネックレスが私を輝かせているのかしら?」
アミーナは私が先日、プレゼントした真珠のネックレスを大切そうに首に掛けている。もちろん、そのネックレスがより一層、彼女を輝かせているのは間違いないが……。
「真珠のネックレスがアミーナの美しさを際立たたせているのは間違いない。しかし、君はそんな物がなくても十分に綺麗だ。私が保証するよ」
「まあ、ありがとうリグリット! あなたにそう言ってもらえて、とても自信になるわ!」
彼女は心の底から喜んでいるようだ……ついつい、アミーナを抱き寄せキスをしたくなるが、それは抑えないといけない。本日は同室に婚約者のエレナが居るからな。何やら無言で私達を見ているようだが……また、嫉妬でもしているのか? まったく……モテる男は辛いと巷では言われているようだが、その気持ちが良く分かる構図と言えそうだ。
「エレナ、紅茶を淹れてくれるか? アミーナの分もな」
「紅茶……ですか?」
「ああ、その通りだ」
いちいち聞き返すな、まったく……確実に聞こえるなのに、エレナはわざわざ聞き返していた。何かの嫌がらせのつもりか? いや、そんなはずはないな。私に逆らうことがどういうことに繋がるのか、エレナは分かっているはずだ。
下手をしたら、ランカスター家が没落してしまうかもしれんのだからな。流石に没落させるのは私でも困難ではあるが、まあ、ダメージを与えるだけなら容易だ。
「畏まりました、リグリット様……」
「ああ、頼んだぞ」
「私の分も淹れていただき、申し訳ありません。エレナ様」
「いえ、お気になさらずに……あなたはリグリット様の大切な幼馴染なのだから」
おやおや、随分と素直になったじゃないか、エレナめ。しばらく姿を見なかったが、その間に反省したと見えるな。まあ、私の妻になる存在なのだから、このくらいの従順さは当たり前だがな。
「アミーナ……」
「きゃあ、リグリット……ダメよ、もう……!」
気分を良くした私は、エレナが持ってきた紅茶を飲みながら、しばらくの間、アミーナとじゃれ合った。二人の女をキープできる立場というのは、非常に気分が良いものだ。今まではあまり気付いていなかったが。どうせ、エレナは私に逆らうことはできない。このまま、アミーナとの仲がどこまで進展しているのか、見せつけてやるのも良いかもしれんな。
「……」
「エレナ、どうかしたか?」
「いえ……なんでもありません。リグリット様」
声に抑揚がない……確実に嫉妬心が芽生えているのだろう。まあ、悔しいだろうな。アミーナとは既に隠し子を作る段階まで進んでいるのだから。自分は表向きの妻にしかなれないと悟っているだろうからな。もしかしたら、夜這いをしてくるかもしれんな。まあ、その時は可愛がってやるとするか。
「リグリット様、1つよろしいでしょうか?」
「なんだ、エレナ?」
私はアミーナとの仲をこれでもかと見せつけるように、彼女を抱いていた。エレナは表情を変えていないが、内心は涙で溢れかえっているだろう。そうだ、お前は私のことだけを考えていればいいんだよ。
「今後のイベント行事についてなのですが、リグリット様が主導で行うものをピックアップしておきました。ご覧いただいてもよろしいでしょうか?」
「なんだそんなことか……お前に任せる」
「えっ、私に任せるのですか……?」
またエレナは、聞こえているはずの距離で大きく言葉を反復していた。一体、何の真似だ?
「ああ、私は他にやることがあるからな。エレナ、お前は私の妻になる女なのだし、それらのイベントを完璧にこなせるはずだ。お前に任せる、しっかりとこなすのだぞ? いいな」
「しかし……これらはリグリット様がこなさなければ、筋が通りませんよ?」
バカな女だなこいつは……私の考えていることが理解出来ていないのか。いや、理解できていないから、こういう会話になってしまうんだったな。
「表向きは私がやったことにすれば、何の問題もないだろう? 裏でお前が働けばそれでいい」
「なっ……それはいくらなんでも……」
「いくらなんでも、なんだ? 何か文句でもあるのか? ん?」
「い、いえ……」
ふん、エレナは黙ってしまったようだな。まだ、私に逆らう余力が残っているか……もっと、徹底的に躾けた方が良いかもしれんな。
「しかし、書類を改竄することになりますし……」
「それに関しては心配するな。こちらで上手くやってやる。お前はとにかく、イベント進行を滞りなく行えばいいんだ。分かったな?」
「でも、リグリット様……」
「でも、も何もない! お前に逆らう権利なんてあると思うなよ!!」
「は、はい……! 逆らう権利なんてあるとは思いません!」
よ~し、良い子だ。すっかり脅えた顔になったな。しかし、この言葉の反復は一体何を意味するんだ……? と、そんな時だった……私の部屋がノックの音もなく開かれたのは。
「リグリット……」
「ち、父上……?」
入って来たのは、紛れもなく父上だ。馬鹿な……しばらくは屋敷には戻らないと聞いていたのに。一体、どうなっているんだ!? 私の額からは大量の汗が出始めていた……。
「今日もとても可愛いぞ、アミーナ。まるで、天使のようだな……!」
「ありがとう、リグリット! とても嬉しいわ。あなたがプレゼントしてくれた、この真珠のネックレスが私を輝かせているのかしら?」
アミーナは私が先日、プレゼントした真珠のネックレスを大切そうに首に掛けている。もちろん、そのネックレスがより一層、彼女を輝かせているのは間違いないが……。
「真珠のネックレスがアミーナの美しさを際立たたせているのは間違いない。しかし、君はそんな物がなくても十分に綺麗だ。私が保証するよ」
「まあ、ありがとうリグリット! あなたにそう言ってもらえて、とても自信になるわ!」
彼女は心の底から喜んでいるようだ……ついつい、アミーナを抱き寄せキスをしたくなるが、それは抑えないといけない。本日は同室に婚約者のエレナが居るからな。何やら無言で私達を見ているようだが……また、嫉妬でもしているのか? まったく……モテる男は辛いと巷では言われているようだが、その気持ちが良く分かる構図と言えそうだ。
「エレナ、紅茶を淹れてくれるか? アミーナの分もな」
「紅茶……ですか?」
「ああ、その通りだ」
いちいち聞き返すな、まったく……確実に聞こえるなのに、エレナはわざわざ聞き返していた。何かの嫌がらせのつもりか? いや、そんなはずはないな。私に逆らうことがどういうことに繋がるのか、エレナは分かっているはずだ。
下手をしたら、ランカスター家が没落してしまうかもしれんのだからな。流石に没落させるのは私でも困難ではあるが、まあ、ダメージを与えるだけなら容易だ。
「畏まりました、リグリット様……」
「ああ、頼んだぞ」
「私の分も淹れていただき、申し訳ありません。エレナ様」
「いえ、お気になさらずに……あなたはリグリット様の大切な幼馴染なのだから」
おやおや、随分と素直になったじゃないか、エレナめ。しばらく姿を見なかったが、その間に反省したと見えるな。まあ、私の妻になる存在なのだから、このくらいの従順さは当たり前だがな。
「アミーナ……」
「きゃあ、リグリット……ダメよ、もう……!」
気分を良くした私は、エレナが持ってきた紅茶を飲みながら、しばらくの間、アミーナとじゃれ合った。二人の女をキープできる立場というのは、非常に気分が良いものだ。今まではあまり気付いていなかったが。どうせ、エレナは私に逆らうことはできない。このまま、アミーナとの仲がどこまで進展しているのか、見せつけてやるのも良いかもしれんな。
「……」
「エレナ、どうかしたか?」
「いえ……なんでもありません。リグリット様」
声に抑揚がない……確実に嫉妬心が芽生えているのだろう。まあ、悔しいだろうな。アミーナとは既に隠し子を作る段階まで進んでいるのだから。自分は表向きの妻にしかなれないと悟っているだろうからな。もしかしたら、夜這いをしてくるかもしれんな。まあ、その時は可愛がってやるとするか。
「リグリット様、1つよろしいでしょうか?」
「なんだ、エレナ?」
私はアミーナとの仲をこれでもかと見せつけるように、彼女を抱いていた。エレナは表情を変えていないが、内心は涙で溢れかえっているだろう。そうだ、お前は私のことだけを考えていればいいんだよ。
「今後のイベント行事についてなのですが、リグリット様が主導で行うものをピックアップしておきました。ご覧いただいてもよろしいでしょうか?」
「なんだそんなことか……お前に任せる」
「えっ、私に任せるのですか……?」
またエレナは、聞こえているはずの距離で大きく言葉を反復していた。一体、何の真似だ?
「ああ、私は他にやることがあるからな。エレナ、お前は私の妻になる女なのだし、それらのイベントを完璧にこなせるはずだ。お前に任せる、しっかりとこなすのだぞ? いいな」
「しかし……これらはリグリット様がこなさなければ、筋が通りませんよ?」
バカな女だなこいつは……私の考えていることが理解出来ていないのか。いや、理解できていないから、こういう会話になってしまうんだったな。
「表向きは私がやったことにすれば、何の問題もないだろう? 裏でお前が働けばそれでいい」
「なっ……それはいくらなんでも……」
「いくらなんでも、なんだ? 何か文句でもあるのか? ん?」
「い、いえ……」
ふん、エレナは黙ってしまったようだな。まだ、私に逆らう余力が残っているか……もっと、徹底的に躾けた方が良いかもしれんな。
「しかし、書類を改竄することになりますし……」
「それに関しては心配するな。こちらで上手くやってやる。お前はとにかく、イベント進行を滞りなく行えばいいんだ。分かったな?」
「でも、リグリット様……」
「でも、も何もない! お前に逆らう権利なんてあると思うなよ!!」
「は、はい……! 逆らう権利なんてあるとは思いません!」
よ~し、良い子だ。すっかり脅えた顔になったな。しかし、この言葉の反復は一体何を意味するんだ……? と、そんな時だった……私の部屋がノックの音もなく開かれたのは。
「リグリット……」
「ち、父上……?」
入って来たのは、紛れもなく父上だ。馬鹿な……しばらくは屋敷には戻らないと聞いていたのに。一体、どうなっているんだ!? 私の額からは大量の汗が出始めていた……。
207
あなたにおすすめの小説
幼馴染を溺愛する婚約者を懇切丁寧に説得してみた。
ましろ
恋愛
この度、婚約が決まりました。
100%政略。一度もお会いしたことはございませんが、社交界ではチラホラと噂有りの難物でございます。
曰く、幼馴染を溺愛しているとか。
それならばそのお二人で結婚したらいいのに、とは思いますが、決まったものは仕方がありません。
さて、どうしましょうか?
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……
藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」
大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが……
ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。
「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」
エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。
エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話)
全44話で完結になります。
幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。
まりぃべる
恋愛
伯爵家の娘、クラーラ。彼女の婚約者は、いつも優しくエスコートしてくれる。そして蕩けるような甘い言葉をくれる。
少しだけ疑問に思う部分もあるけれど、彼が不器用なだけなのだと思っていた。
そんな甘い言葉に騙されて、きっと幸せな結婚生活が送れると思ったのに、それは偽りだった……。
そんな人と結婚生活を送りたくないと両親に相談すると、それに向けて動いてくれる。
人生を変える人にも出会い、学院生活を送りながら新しい一歩を踏み出していくお話。
☆※感想頂いたからからのご指摘により、この一文を追加します。
王道(?)の、世間にありふれたお話とは多分一味違います。
王道のお話がいい方は、引っ掛かるご様子ですので、申し訳ありませんが引き返して下さいませ。
☆現実にも似たような名前、言い回し、言葉、表現などがあると思いますが、作者の世界観の為、現実世界とは少し異なります。
作者の、緩い世界観だと思って頂けると幸いです。
☆以前投稿した作品の中に出てくる子がチラッと出てきます。分かる人は少ないと思いますが、万が一分かって下さった方がいましたら嬉しいです。(全く物語には響きませんので、読んでいなくても全く問題ありません。)
☆完結してますので、随時更新していきます。番外編も含めて全35話です。
★感想いただきまして、さすがにちょっと可哀想かなと最後の35話、文を少し付けたしました。私めの表現の力不足でした…それでも読んで下さいまして嬉しいです。
〖完結〗旦那様は私よりも愛人を選ぶそうです。
藍川みいな
恋愛
愛していると言った旦那様は、結婚して3年が経ったある日、愛人を連れて来ました。
旦那様が愛していたのは、私ではなく、聖女の力だったようです。3年間平和だった事から、私の力など必要ないと勘違いされたようで…
「もうお前は必要ない。出て行け。」と、言われたので出ていきます。
私がいなくなったら結界は消滅してしまいますけど、大丈夫なのですよね? それならば、二度と私を頼らないでください!
シャーロットの力のおかげで、子爵から伯爵になれたのに、あっけなく捨てるルーク。
結界が消滅しそうになり、街が魔物に囲まれた事でルークはシャーロットを連れ戻そうとするが…
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全15話で完結になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる