幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!

ルイス

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10話 息子の裏切り その1

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(リグリット視点)


「今日もとても可愛いぞ、アミーナ。まるで、天使のようだな……!」

「ありがとう、リグリット! とても嬉しいわ。あなたがプレゼントしてくれた、この真珠のネックレスが私を輝かせているのかしら?」


 アミーナは私が先日、プレゼントした真珠のネックレスを大切そうに首に掛けている。もちろん、そのネックレスがより一層、彼女を輝かせているのは間違いないが……。


「真珠のネックレスがアミーナの美しさを際立たたせているのは間違いない。しかし、君はそんな物がなくても十分に綺麗だ。私が保証するよ」

「まあ、ありがとうリグリット! あなたにそう言ってもらえて、とても自信になるわ!」


 彼女は心の底から喜んでいるようだ……ついつい、アミーナを抱き寄せキスをしたくなるが、それは抑えないといけない。本日は同室に婚約者のエレナが居るからな。何やら無言で私達を見ているようだが……また、嫉妬でもしているのか? まったく……モテる男は辛いと巷では言われているようだが、その気持ちが良く分かる構図と言えそうだ。


「エレナ、紅茶を淹れてくれるか? アミーナの分もな」

「紅茶……ですか?」

「ああ、その通りだ」

 いちいち聞き返すな、まったく……確実に聞こえるなのに、エレナはわざわざ聞き返していた。何かの嫌がらせのつもりか? いや、そんなはずはないな。私に逆らうことがどういうことに繋がるのか、エレナは分かっているはずだ。

 下手をしたら、ランカスター家が没落してしまうかもしれんのだからな。流石に没落させるのは私でも困難ではあるが、まあ、ダメージを与えるだけなら容易だ。

「畏まりました、リグリット様……」

「ああ、頼んだぞ」

「私の分も淹れていただき、申し訳ありません。エレナ様」


「いえ、お気になさらずに……あなたはリグリット様の大切な幼馴染なのだから」


 おやおや、随分と素直になったじゃないか、エレナめ。しばらく姿を見なかったが、その間に反省したと見えるな。まあ、私の妻になる存在なのだから、このくらいの従順さは当たり前だがな。


「アミーナ……」

「きゃあ、リグリット……ダメよ、もう……!」


 気分を良くした私は、エレナが持ってきた紅茶を飲みながら、しばらくの間、アミーナとじゃれ合った。二人の女をキープできる立場というのは、非常に気分が良いものだ。今まではあまり気付いていなかったが。どうせ、エレナは私に逆らうことはできない。このまま、アミーナとの仲がどこまで進展しているのか、見せつけてやるのも良いかもしれんな。

「……」

「エレナ、どうかしたか?」

「いえ……なんでもありません。リグリット様」


 声に抑揚がない……確実に嫉妬心が芽生えているのだろう。まあ、悔しいだろうな。アミーナとは既に隠し子を作る段階まで進んでいるのだから。自分は表向きの妻にしかなれないと悟っているだろうからな。もしかしたら、夜這いをしてくるかもしれんな。まあ、その時は可愛がってやるとするか。

「リグリット様、1つよろしいでしょうか?」

「なんだ、エレナ?」


 私はアミーナとの仲をこれでもかと見せつけるように、彼女を抱いていた。エレナは表情を変えていないが、内心は涙で溢れかえっているだろう。そうだ、お前は私のことだけを考えていればいいんだよ。


「今後のイベント行事についてなのですが、リグリット様が主導で行うものをピックアップしておきました。ご覧いただいてもよろしいでしょうか?」

「なんだそんなことか……お前に任せる」

「えっ、私に任せるのですか……?」

 またエレナは、聞こえているはずの距離で大きく言葉を反復していた。一体、何の真似だ?


「ああ、私は他にやることがあるからな。エレナ、お前は私の妻になる女なのだし、それらのイベントを完璧にこなせるはずだ。お前に任せる、しっかりとこなすのだぞ? いいな」

「しかし……これらはリグリット様がこなさなければ、筋が通りませんよ?」


 バカな女だなこいつは……私の考えていることが理解出来ていないのか。いや、理解できていないから、こういう会話になってしまうんだったな。


「表向きは私がやったことにすれば、何の問題もないだろう? 裏でお前が働けばそれでいい」

「なっ……それはいくらなんでも……」

「いくらなんでも、なんだ? 何か文句でもあるのか? ん?」

「い、いえ……」


 ふん、エレナは黙ってしまったようだな。まだ、私に逆らう余力が残っているか……もっと、徹底的に躾けた方が良いかもしれんな。

「しかし、書類を改竄することになりますし……」

「それに関しては心配するな。こちらで上手くやってやる。お前はとにかく、イベント進行を滞りなく行えばいいんだ。分かったな?」

「でも、リグリット様……」

「でも、も何もない! お前に逆らう権利なんてあると思うなよ!!」

「は、はい……! 逆らう権利なんてあるとは思いません!」


 よ~し、良い子だ。すっかり脅えた顔になったな。しかし、この言葉の反復は一体何を意味するんだ……? と、そんな時だった……私の部屋がノックの音もなく開かれたのは。


「リグリット……」

「ち、父上……?」


 入って来たのは、紛れもなく父上だ。馬鹿な……しばらくは屋敷には戻らないと聞いていたのに。一体、どうなっているんだ!? 私の額からは大量の汗が出始めていた……。
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