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12話 生贄にされるアミーナ その1
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「ち、父上……まずは、冷静になって話し合いましょう」
「私は冷静だ。お前に心配されることはない」
「そうですか……。それから、ヨハン王子殿下もいらっしゃるとは……これは、大変失礼いたしました」
ヨハン様の存在にようやく気付いたリグリット様は、慌てて挨拶をしていた。ヨハン様は、どうでも良いといった態度をしている。
「私に対する礼儀は不要だ、リグリット殿。今回、私は傍観者に過ぎないからな。話を進めてくれ」
「さ、左様でございましたか。それでは……」
「お席をご用意いたします。それで良いんですよね? リグリット様」
「あ、ああ……そうだな。ありがとう、エレナ。気が利くな」
「とんでもないですわ。私は、リグリット様の婚約者ですので……」
とりあえず、皮肉たっぷりにリグリット様に言葉を掛ける。「婚約者」という言葉は彼の心の中に大きな楔として打ち付けられたことだろう。さっきまでの私への扱いは明らかに婚約者に対するそれではなかったからね。
私はすぐにヨハン様とガイア様、それから私の分の椅子を用意した。申し訳ないと感じたのか、ヨハン様も手伝ってくれたのが嬉しかった。
「すみません、ヨハン殿下」
「なに、気にすることはない」
-----------------------------
それから……私達が椅子に座り、話し合いが始まった。ヨハン様の背後には相変わらず、例の忍者護衛が待機している。そして、なぜか私の後ろにも一人の女性が待機していた。くノ一と言うらしい。
「先ほどのエレナ嬢への態度のことだがな、リグリット」
「は、はい……父上」
「なんだったのだ、あれは? まるで、使用人か何かのように扱っていなかったか? それに加えて、そちらに居るアミーナ嬢との恋人同を思わせるやり取り……逢瀬ですらなく、完全にエレナ嬢に見せつけているようにしか見えなかったが? この部分に誤解はないわけか?」
「え、えと……それはですね……!」
「それは?」
リグリット様は完全にガイア様の睨みに押し負けている。言い訳なんて出来る状況ではないけれど、なんて言うつもりなのかしら?
「実は……私も本当はこんなことはしたくないのです。エレナという婚約者が居る身で……」
「なに……? それはどういうことだ?」
私から見れば、リグリット様の言葉は明らかに演技くさいけれど、息子を信じたいという思いが強いガイア様は、必死で彼の言葉の続きを聞こうとしていた。もちろん、その気持ちは分かるし咎める気なんてこれっぽっちもない。でも、あんまり期待し過ぎない方がいいような気がするけれど……。
「これは出来れば言いたくはなかったのですが……私がエレナにつらく当たっていた理由には、アミーナの存在があります」
「うむ、それは先ほどのやり取りで分かっている。そこにどんな誤解があるというのだ?」
「アミーナは……私と一緒になることを願っていました。彼女が私のことを想う力は想像以上に強く……今回の事態が起きてしまった原因と言えるでしょう」
「えっ?」
「えっ?」
予想外のリグリット様の発言に、私とアミーナ様は同時に声を上げてしまった。私はともかくアミーナ様にとっては、寝耳に水状態かもしれない。どういう話が続くのかは分からないけれど、アミーナ様にとって、不名誉なことになるのは確定なのだから……。
「リグリット、つまりはお前のエレナ嬢に対する態度は、アミーナ嬢が原因になっているということだな? その部分が誤解という解釈で良いのか?」
「さ、左様でございます、父上!」
「えっ、え……? リグリット……? どういうこと……?」
「アミーナ、何も言う必要はないさ。全て、私が話すから……心配するな」
アミーナ様はまったく話の内容が分かっていないのか、ひたすらに戸惑ってた。それはそうだろう、これから自分は不名誉な立場に立たされてしまうと悟っているのだから。アミーナ様は比較的賢いので、その辺りはすぐに分かるのだと思う。
生贄にされるアミーナ様という構図。リグリット様はそれでなんとか現状を乗り越えようとしているらしいけど……私から見ると、言い訳にすらなっていないように思える。ヨハン様もその辺りは分かっているのか、大きく溜息を吐いていた。
ガイア様は納得し始めているようで、少し怖かった……大丈夫かなこの人。というより、バークス公爵家の未来が心配になるわ。
「私は冷静だ。お前に心配されることはない」
「そうですか……。それから、ヨハン王子殿下もいらっしゃるとは……これは、大変失礼いたしました」
ヨハン様の存在にようやく気付いたリグリット様は、慌てて挨拶をしていた。ヨハン様は、どうでも良いといった態度をしている。
「私に対する礼儀は不要だ、リグリット殿。今回、私は傍観者に過ぎないからな。話を進めてくれ」
「さ、左様でございましたか。それでは……」
「お席をご用意いたします。それで良いんですよね? リグリット様」
「あ、ああ……そうだな。ありがとう、エレナ。気が利くな」
「とんでもないですわ。私は、リグリット様の婚約者ですので……」
とりあえず、皮肉たっぷりにリグリット様に言葉を掛ける。「婚約者」という言葉は彼の心の中に大きな楔として打ち付けられたことだろう。さっきまでの私への扱いは明らかに婚約者に対するそれではなかったからね。
私はすぐにヨハン様とガイア様、それから私の分の椅子を用意した。申し訳ないと感じたのか、ヨハン様も手伝ってくれたのが嬉しかった。
「すみません、ヨハン殿下」
「なに、気にすることはない」
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それから……私達が椅子に座り、話し合いが始まった。ヨハン様の背後には相変わらず、例の忍者護衛が待機している。そして、なぜか私の後ろにも一人の女性が待機していた。くノ一と言うらしい。
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「は、はい……父上」
「なんだったのだ、あれは? まるで、使用人か何かのように扱っていなかったか? それに加えて、そちらに居るアミーナ嬢との恋人同を思わせるやり取り……逢瀬ですらなく、完全にエレナ嬢に見せつけているようにしか見えなかったが? この部分に誤解はないわけか?」
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「それは?」
リグリット様は完全にガイア様の睨みに押し負けている。言い訳なんて出来る状況ではないけれど、なんて言うつもりなのかしら?
「実は……私も本当はこんなことはしたくないのです。エレナという婚約者が居る身で……」
「なに……? それはどういうことだ?」
私から見れば、リグリット様の言葉は明らかに演技くさいけれど、息子を信じたいという思いが強いガイア様は、必死で彼の言葉の続きを聞こうとしていた。もちろん、その気持ちは分かるし咎める気なんてこれっぽっちもない。でも、あんまり期待し過ぎない方がいいような気がするけれど……。
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「えっ?」
「えっ?」
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