46 / 54
第46話 風の名を持つ者
しおりを挟む
夜明けの光が、デールの上空を金色に染めていた。
風譜の館の鐘楼がひときわ高く鳴り響く。
それはこの街で一年に一度だけ開かれる「風名(ふうめい)の儀」の合図だった。
風に名を与える祭り。十年前にリィナが始めた風譜の記録が、今では人々の暮らしの中心となっている。
人々は空を見上げ、各々が思う風の名を考える。
誰かへの想い、願い、あるいは日々の祈り。
それを風綴りにしたため、空へ放つ日である。
リィナは館の屋上の欄干に立ち、街のざわめきを見下ろした。
あの頃と比べるとデールはずいぶん賑やかになった。
風車は数を増し、屋根の上には色とりどりの布がはためいている。
風を記録する仕組みが完全に定着した今、人々は自らの言葉を風に乗せて送り、他の土地と語り合うようになった。
「自分たちがこんなことを始めるなんて、当時は思ってもいなかったのに。」
呟く声は心からの笑みを含んでいた。
その背後から声がした。
「お待たせしました、主任。」
現れたのは若い女性の「風記者」で、リィナの後継者候補と呼ばれる人物――メイルだった。
リィナが子どもの頃に見た“風の学徒”たちが、今はこうして次の世代を担うようになっている。
「準備は整った?」
「はい。東の丘で風を測る装置も稼働を始めました。今回の風は南からの『春耀(しゅんよう)』と名付けられています。」
「春の耀き、か。いい名前ね。」
メイルは微笑み、リィナに一枚の紙を差し出した。
「これが本日の“初風録”です。世界各地から届いた風の名と、その由来の一覧。」
リィナは紙を受け取り、目を通す。
北の地方では“共(とも)”という名。西では“生声(せいせい)”。海沿いの港からは“潮(うしお)”と呼ばれる風が報告されていた。
人々はそれぞれに、風へ自分の生き方を重ねている。
リィナは静かに目を細めた。
――風たちが、一人ひとりに顔を持ち始めた。
アレンならこの光景を見て、どんな言葉を紡ぐだろう。
◇
式が始まった。
空は明るく、風はどこまでも透明だった。
中央広場には王都からの来賓や記録院の使者も並んでいる。
リリアは今は記録院の長老として、世界各地の記録を束ねる立場となっていた。
白い衣の裾を風に揺らしながら、リィナに微笑む。
「立派になったわね。あなたが描いた“風の理”が、こうして人々を動かしている。」
「私は、たまたま書いたものを拾ってもらっただけです。」
「謙遜しなくてもいいのよ。あなたの言葉がなければ、世界はまだ沈黙のままだった。」
リリアの声は、母のようにやわらかかった。
十年前あれほど遠く感じた王都の人々との距離が、いまでは笑い合えるほど近い。
風がその距離を、ゆるやかに縮めてきたのだ。
祭の第一の儀、「名の放ち」が始まる。
リィナは肩にかけた布の端を取る。そこには一行の文字が縫い込まれていた。
――『風よ、名を持ち、記憶を運べ。』
それはアレンが生前書き残した最後の祈りの言葉だった。
リィナはそれをもう一度読む。心の中で、声にするように。
合図の鐘が鳴る。
市民たちが一斉に空へ紙片を放った。
無数の小さな紙が舞い上がり、太陽の光を受けて金の粒のように輝く。
リィナも手元の羽根を掲げた。
「行きなさい。」
その羽根は風に乗り、幾重もの青い光を描いて昇っていく。
青の軌跡はまるで、生きているように脈を打ち、街全体を包んだ。
一瞬の静寂。
そののち、足元から暖かな風が吹き抜けた。
「名が……応えた?」
誰かが呟く。
風が確かに“返事”をしている。
音ではなく、心の奥に伝わる感覚。
人々の胸に、それぞれの風の名が響いた。
リィナには、その中に一つだけ、はっきりした声があった。
――リィナ。
その声は懐かしく、優しかった。
「アレンさん……!」
彼女は空を仰ぐ。
青い風が輪を描くように回り、光の雨となって彼女の足元へ降り注ぐ。
アレンの声が風を通して響いた。
――この風は君たちの声だ。
――僕はもう形を持たないけれど、君が呼ぶ限り、何度でも答える。
――人が生きるかぎり、理も風も続いていく。
リィナは涙を拭わずに笑った。
「あなたの言葉はもう、みんなのものです。世界中が“風の記録者”です。」
――そうだ。それでいい。もう僕は、語る必要がなくなった。
――人が風と話せるようになった。それこそが、理の完成だよ。
風が穏やかに街を撫でる。
子どもたちは手を取り合って踊り、老人たちは目を閉じて風を聞いた。
誰もがそれぞれの思い出と語りを風に託し、この地はひとつの大きな物語となっていく。
◇
祭が終わる頃、夕刻の空は茜に染まっていた。
街の灯がともると、リィナはリリアと並んで丘の上を歩いた。
「あなたは、これからどうするの?」リリアが尋ねた。
「そうですね……しばらく旅に出たいと思います。」
「旅?」
「ええ。各地の風の名を直接聞いて回りたいんです。名前を持った風たちが、どんな物語を運んでいるのか確かめたい。」
「まるで彼のようね。」
リリアの言葉に、リィナは微笑んだ。
「彼はもう、風になって旅を続けてる。なら私も、地上からその続きを歩こうと思って。」
風が頬を撫でた。
風の匂いに混じって、青い香草の香りがする。かつてアレンが好んで持っていた乾いた薬草だ。
リィナは立ち止まり、小さく告げた。
「見ていますね、アレンさん。ほら、世界はあなたの願い通りになりましたよ。」
風が答えるように、花びらを舞い上げた。
◇
その夜、風譜の館の書庫では新しい巻が生まれた。
『風譜録 第六章 風が語る名の記』。
冒頭の一文は、アレンの理の継承者として、リィナが初めて自身の名を記した文章だった。
――『私は風に名を与える者。
理と祈りの境をなくし、語りをつなぐ者。
この時代に吹く全ての風を私は記録する。
それが“風の名を持つ者”としての、最初の誓い。』
筆を置いた瞬間、窓から春の風が吹き込む。
灯火が揺れ、青い光が彼女の机を包んだ。
それはまるで、かつての師が笑って頷く合図のようだった。
リィナは風に顔を向け、そっと囁く。
「あなたの物語は終わりません。
この世界がある限り、誰かが語り続けます。」
風がゆっくりと彼女の頬を撫で、外の森へと抜けていく。
夜空の星々がその軌跡を照らした。
青く、暖かく、永遠に続いていく光。
その夜、デールの街の風車は誰も触れずに一斉に回りだしたという。
人々はそれを、新しい時代の幕開けの証と呼んだ。
風が名を持った日。
そして、語る者が風と共に歩き始めた日だった。
風譜の館の鐘楼がひときわ高く鳴り響く。
それはこの街で一年に一度だけ開かれる「風名(ふうめい)の儀」の合図だった。
風に名を与える祭り。十年前にリィナが始めた風譜の記録が、今では人々の暮らしの中心となっている。
人々は空を見上げ、各々が思う風の名を考える。
誰かへの想い、願い、あるいは日々の祈り。
それを風綴りにしたため、空へ放つ日である。
リィナは館の屋上の欄干に立ち、街のざわめきを見下ろした。
あの頃と比べるとデールはずいぶん賑やかになった。
風車は数を増し、屋根の上には色とりどりの布がはためいている。
風を記録する仕組みが完全に定着した今、人々は自らの言葉を風に乗せて送り、他の土地と語り合うようになった。
「自分たちがこんなことを始めるなんて、当時は思ってもいなかったのに。」
呟く声は心からの笑みを含んでいた。
その背後から声がした。
「お待たせしました、主任。」
現れたのは若い女性の「風記者」で、リィナの後継者候補と呼ばれる人物――メイルだった。
リィナが子どもの頃に見た“風の学徒”たちが、今はこうして次の世代を担うようになっている。
「準備は整った?」
「はい。東の丘で風を測る装置も稼働を始めました。今回の風は南からの『春耀(しゅんよう)』と名付けられています。」
「春の耀き、か。いい名前ね。」
メイルは微笑み、リィナに一枚の紙を差し出した。
「これが本日の“初風録”です。世界各地から届いた風の名と、その由来の一覧。」
リィナは紙を受け取り、目を通す。
北の地方では“共(とも)”という名。西では“生声(せいせい)”。海沿いの港からは“潮(うしお)”と呼ばれる風が報告されていた。
人々はそれぞれに、風へ自分の生き方を重ねている。
リィナは静かに目を細めた。
――風たちが、一人ひとりに顔を持ち始めた。
アレンならこの光景を見て、どんな言葉を紡ぐだろう。
◇
式が始まった。
空は明るく、風はどこまでも透明だった。
中央広場には王都からの来賓や記録院の使者も並んでいる。
リリアは今は記録院の長老として、世界各地の記録を束ねる立場となっていた。
白い衣の裾を風に揺らしながら、リィナに微笑む。
「立派になったわね。あなたが描いた“風の理”が、こうして人々を動かしている。」
「私は、たまたま書いたものを拾ってもらっただけです。」
「謙遜しなくてもいいのよ。あなたの言葉がなければ、世界はまだ沈黙のままだった。」
リリアの声は、母のようにやわらかかった。
十年前あれほど遠く感じた王都の人々との距離が、いまでは笑い合えるほど近い。
風がその距離を、ゆるやかに縮めてきたのだ。
祭の第一の儀、「名の放ち」が始まる。
リィナは肩にかけた布の端を取る。そこには一行の文字が縫い込まれていた。
――『風よ、名を持ち、記憶を運べ。』
それはアレンが生前書き残した最後の祈りの言葉だった。
リィナはそれをもう一度読む。心の中で、声にするように。
合図の鐘が鳴る。
市民たちが一斉に空へ紙片を放った。
無数の小さな紙が舞い上がり、太陽の光を受けて金の粒のように輝く。
リィナも手元の羽根を掲げた。
「行きなさい。」
その羽根は風に乗り、幾重もの青い光を描いて昇っていく。
青の軌跡はまるで、生きているように脈を打ち、街全体を包んだ。
一瞬の静寂。
そののち、足元から暖かな風が吹き抜けた。
「名が……応えた?」
誰かが呟く。
風が確かに“返事”をしている。
音ではなく、心の奥に伝わる感覚。
人々の胸に、それぞれの風の名が響いた。
リィナには、その中に一つだけ、はっきりした声があった。
――リィナ。
その声は懐かしく、優しかった。
「アレンさん……!」
彼女は空を仰ぐ。
青い風が輪を描くように回り、光の雨となって彼女の足元へ降り注ぐ。
アレンの声が風を通して響いた。
――この風は君たちの声だ。
――僕はもう形を持たないけれど、君が呼ぶ限り、何度でも答える。
――人が生きるかぎり、理も風も続いていく。
リィナは涙を拭わずに笑った。
「あなたの言葉はもう、みんなのものです。世界中が“風の記録者”です。」
――そうだ。それでいい。もう僕は、語る必要がなくなった。
――人が風と話せるようになった。それこそが、理の完成だよ。
風が穏やかに街を撫でる。
子どもたちは手を取り合って踊り、老人たちは目を閉じて風を聞いた。
誰もがそれぞれの思い出と語りを風に託し、この地はひとつの大きな物語となっていく。
◇
祭が終わる頃、夕刻の空は茜に染まっていた。
街の灯がともると、リィナはリリアと並んで丘の上を歩いた。
「あなたは、これからどうするの?」リリアが尋ねた。
「そうですね……しばらく旅に出たいと思います。」
「旅?」
「ええ。各地の風の名を直接聞いて回りたいんです。名前を持った風たちが、どんな物語を運んでいるのか確かめたい。」
「まるで彼のようね。」
リリアの言葉に、リィナは微笑んだ。
「彼はもう、風になって旅を続けてる。なら私も、地上からその続きを歩こうと思って。」
風が頬を撫でた。
風の匂いに混じって、青い香草の香りがする。かつてアレンが好んで持っていた乾いた薬草だ。
リィナは立ち止まり、小さく告げた。
「見ていますね、アレンさん。ほら、世界はあなたの願い通りになりましたよ。」
風が答えるように、花びらを舞い上げた。
◇
その夜、風譜の館の書庫では新しい巻が生まれた。
『風譜録 第六章 風が語る名の記』。
冒頭の一文は、アレンの理の継承者として、リィナが初めて自身の名を記した文章だった。
――『私は風に名を与える者。
理と祈りの境をなくし、語りをつなぐ者。
この時代に吹く全ての風を私は記録する。
それが“風の名を持つ者”としての、最初の誓い。』
筆を置いた瞬間、窓から春の風が吹き込む。
灯火が揺れ、青い光が彼女の机を包んだ。
それはまるで、かつての師が笑って頷く合図のようだった。
リィナは風に顔を向け、そっと囁く。
「あなたの物語は終わりません。
この世界がある限り、誰かが語り続けます。」
風がゆっくりと彼女の頬を撫で、外の森へと抜けていく。
夜空の星々がその軌跡を照らした。
青く、暖かく、永遠に続いていく光。
その夜、デールの街の風車は誰も触れずに一斉に回りだしたという。
人々はそれを、新しい時代の幕開けの証と呼んだ。
風が名を持った日。
そして、語る者が風と共に歩き始めた日だった。
0
あなたにおすすめの小説
転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜
ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。
その一員であるケイド。
スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。
戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。
それでも彼はこのパーティでやって来ていた。
彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。
ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。
途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。
だが、彼自身が気付いていない能力があった。
ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。
その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。
自分は戦闘もできる。
もう荷物持ちだけではないのだと。
見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。
むしろもう自分を卑下する必要もない。
我慢しなくていいのだ。
ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。
※小説家になろう様でも連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる