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第27話 激突、元上司との最終決戦
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黒竜アデュロスの滅亡と共に、帝都は崩れ去った。
炎と灰の海の中で、俺は金色の竜の姿を保ったまま空に佇んでいた。
だが、その光景を見ても胸の奥は晴れない。
この破壊の終わりが、本当の終焉ではないことを知っていたからだ。
「ベニアス……まだ生きているな。」
空の裂け目に残る暗い気配。
アデュロスの魂を利用し、自身を“神”へ昇華させようとした男――かつての王国宰相。
あの男を倒さなければ、本当の再生は訪れない。
『人の子、汝が言う通りだ。彼は竜王の力を奪おうとしてまだ息をしておる。
奴が目指すのは、統一でも破壊でもない。“永遠の支配”だ。
あの愚か者は魂の理すら操ろうとしている。』
アルディネアの声が響く。
風の中、リーナとレオンの姿が見えた。
彼らは崩壊した城跡から避難民を導いている。
リーナの目が俺を見上げ、息を呑んだ。
「……アレン様、まだ……人の心は残っているのですか?」
竜の口からでは答えにくい。
俺は静かに頷いた。
「今は竜王の姿でも、心までは呑まれちゃいない。」
「それなら……約束を。必ず帰ってきてください。」
その声が胸の奥を温めた。
俺は翼を広げ、空の暗闇へと向かう。
そこに、奴が待っている。
***
浮遊瓦礫の中央、異様な霧が渦を巻いていた。
黒い雷が走り、亡者の叫びが響く。
その中心で、ベニアスが立っていた。
だがそれはもう人ではなかった。
肉体は半ば竜に変じ、腕は鋼鉄の鱗に覆われ、背に膨大な魔力の翼が生えている。
彼の顔は、かつて王宮で冷笑を浮かべていた老宰相ではなく、狂気そのものだった。
「来たか、グランディアの血よ。」
ベニアスの声は低く、空気を震わせる。
「見よ、この世界の醜さを。
王も民も竜も神も、同じ過ちを繰り返す。
だから私は新しい秩序を造る。“死”という平等でな。」
「それが理想のつもりか?」
金の竜の瞳で睨みつけながら俺は言った。
「理想など不要だ。人が生まれる限り争いは終わらぬ。
ならば、すべて止めるまでだ。人も竜も“同じ静寂”へ導く……
これが真の安寧だよ、アレン。」
「違うな、ベニアス。
お前は世界を救いたいんじゃない。“自分が神になりたい”だけだ。」
その刹那、暗闇が動いた。
ベニアスの腕から放たれた黒い魔力が蛇のようにのたうち、俺の体を貫く。
痛みはなかった。だが、胸の奥が締めつけられるような圧迫感が走る。
「これが“終焉の魔結界”……魂を絡め取り、竜すら永遠に閉ざす呪文だ。」
ベニアスが高笑いした。
「お前の力、その輝きは永遠に私のものとなる!」
『アレン! 意識を保て! 奴はお前の竜核に侵入している!』
アルディネアの声が遠くなっていく。
視界が歪み、記憶が砕けた破片のように浮かんでは消えていく。
幼い日の森。
母の笑顔。
追放された日の雪。
そして――仲間たちの笑い声。
「……そんな……もの……奪わせるかよ。」
俺の叫びとともに、胸の奥で金色の光が再び燃え上がる。
「はん? まだ動くか!」
ベニアスが腕を振る。闇がさらに濃くなる。
その瞬間、世界を震わすような咆哮が鳴り響いた。
アルディネアだ。
『“魂の楔”は我も共に裂こう。汝の心に同調せよ、アレン!』
「行くぞ、アルディネア!」
二つの意識が一つになる。
黄金と紅の光が重なり、体内から湧き上がる圧倒的な力が世界を満たす。
ベニアスの闇が押し戻されていく。
「馬鹿な……! 神竜の力を発動できるはずが……!」
「お前が神を名乗るなら、俺は“生を選んだ人”として神と戦う!」
光が爆ぜた。
巨大な翼が闇を裂き、竜王アレンと化した俺は突進する。
ベニアスの身に幾重もの結界が張り巡らされるが、
それを炎の渦と化した爪が貫いた。
「終わらせてやる……人の欲と、竜の呪い、両方まとめて!」
黄金の炎が噴き上がる。
空の黒雲を突き抜け、そのまま天まで届くような光の柱となる。
ベニアスの体が裂け、魂がむき出しになる。
それはもはや人の形をなしていなかった――無数の顔、嘆き、憎しみ。
「見ろ! これが人の本性だ! 貴様もその一部だろう!」
「違う!」
俺は吠える。
「俺は人だ。そして竜だ。でも“絶望”にはならない!」
怒りよりも悲しみの力が湧く。
それが光に変わり、魂を包み込む。
炎ではなく、あたたかい光だ。
ベニアスの顔が苦悶に歪む。
「これは……滅びでは……ない……赦しか……?」
「そうだ。お前の罪も俺の罪も、同じ時代の闇だ。
だが、もう終わりにする。」
金の翼を広げ、光を放つ。
魂の渦が消え、静かな風だけが流れた。
ベニアスの影がゆっくりと溶けていく。
最後に、彼の唇が微かに動く。
「……お前なら……導けるかもしれんな……この世界を……」
そして、完全に消え去った。
***
戦いのあと。
俺は再び人の姿を取り戻していた。
周囲は崩壊と再生の狭間にあったが、空はどこまでも透き通っている。
リーナとレオンが近づき、俺を抱き起こした。
「終わったんですね……」
「ああ。だが、ちょっと疲れた。」
そう言って笑うと、リーナが泣き笑いの顔をした。
「お帰りなさい、アレン様。」
「……ただいま。」
アルディネアの声が優しく響く。
『よくやった。我が子孫よ。お前の選択は、竜と人の未来を分けるものとなる。
だがまだ、果たすべきものが残っておる。
崩れた秩序の後、新たな王国を築け。人の意思で、竜の守護のもとに。』
「分かってる。
今度こそ、争いのない国を作る。
力で支配するんじゃなく、支え合う国を。」
夜が明ける。
瓦礫の間から、太陽が顔を出す。
新しい一日が始まった。
人も竜も、再びこの大地に立ち上がる。
空には、黄金の光条が一筋走っていた。
それはまるで、滅びの向こうに灯る希望の道だった。
俺は拳を胸に当て、静かに誓う。
「これで終わりじゃない。
ここからが、本当の“始まり”だ。」
その言葉を、風が運ぶ。
雲の向こうでアルディネアが穏やかに微笑んでいるのが見えた。
竜と人との長い戦いの時代は、ここに幕を下ろした。
だが、彼らが築く新しい世界の物語は、まだ続いていくのだった。
炎と灰の海の中で、俺は金色の竜の姿を保ったまま空に佇んでいた。
だが、その光景を見ても胸の奥は晴れない。
この破壊の終わりが、本当の終焉ではないことを知っていたからだ。
「ベニアス……まだ生きているな。」
空の裂け目に残る暗い気配。
アデュロスの魂を利用し、自身を“神”へ昇華させようとした男――かつての王国宰相。
あの男を倒さなければ、本当の再生は訪れない。
『人の子、汝が言う通りだ。彼は竜王の力を奪おうとしてまだ息をしておる。
奴が目指すのは、統一でも破壊でもない。“永遠の支配”だ。
あの愚か者は魂の理すら操ろうとしている。』
アルディネアの声が響く。
風の中、リーナとレオンの姿が見えた。
彼らは崩壊した城跡から避難民を導いている。
リーナの目が俺を見上げ、息を呑んだ。
「……アレン様、まだ……人の心は残っているのですか?」
竜の口からでは答えにくい。
俺は静かに頷いた。
「今は竜王の姿でも、心までは呑まれちゃいない。」
「それなら……約束を。必ず帰ってきてください。」
その声が胸の奥を温めた。
俺は翼を広げ、空の暗闇へと向かう。
そこに、奴が待っている。
***
浮遊瓦礫の中央、異様な霧が渦を巻いていた。
黒い雷が走り、亡者の叫びが響く。
その中心で、ベニアスが立っていた。
だがそれはもう人ではなかった。
肉体は半ば竜に変じ、腕は鋼鉄の鱗に覆われ、背に膨大な魔力の翼が生えている。
彼の顔は、かつて王宮で冷笑を浮かべていた老宰相ではなく、狂気そのものだった。
「来たか、グランディアの血よ。」
ベニアスの声は低く、空気を震わせる。
「見よ、この世界の醜さを。
王も民も竜も神も、同じ過ちを繰り返す。
だから私は新しい秩序を造る。“死”という平等でな。」
「それが理想のつもりか?」
金の竜の瞳で睨みつけながら俺は言った。
「理想など不要だ。人が生まれる限り争いは終わらぬ。
ならば、すべて止めるまでだ。人も竜も“同じ静寂”へ導く……
これが真の安寧だよ、アレン。」
「違うな、ベニアス。
お前は世界を救いたいんじゃない。“自分が神になりたい”だけだ。」
その刹那、暗闇が動いた。
ベニアスの腕から放たれた黒い魔力が蛇のようにのたうち、俺の体を貫く。
痛みはなかった。だが、胸の奥が締めつけられるような圧迫感が走る。
「これが“終焉の魔結界”……魂を絡め取り、竜すら永遠に閉ざす呪文だ。」
ベニアスが高笑いした。
「お前の力、その輝きは永遠に私のものとなる!」
『アレン! 意識を保て! 奴はお前の竜核に侵入している!』
アルディネアの声が遠くなっていく。
視界が歪み、記憶が砕けた破片のように浮かんでは消えていく。
幼い日の森。
母の笑顔。
追放された日の雪。
そして――仲間たちの笑い声。
「……そんな……もの……奪わせるかよ。」
俺の叫びとともに、胸の奥で金色の光が再び燃え上がる。
「はん? まだ動くか!」
ベニアスが腕を振る。闇がさらに濃くなる。
その瞬間、世界を震わすような咆哮が鳴り響いた。
アルディネアだ。
『“魂の楔”は我も共に裂こう。汝の心に同調せよ、アレン!』
「行くぞ、アルディネア!」
二つの意識が一つになる。
黄金と紅の光が重なり、体内から湧き上がる圧倒的な力が世界を満たす。
ベニアスの闇が押し戻されていく。
「馬鹿な……! 神竜の力を発動できるはずが……!」
「お前が神を名乗るなら、俺は“生を選んだ人”として神と戦う!」
光が爆ぜた。
巨大な翼が闇を裂き、竜王アレンと化した俺は突進する。
ベニアスの身に幾重もの結界が張り巡らされるが、
それを炎の渦と化した爪が貫いた。
「終わらせてやる……人の欲と、竜の呪い、両方まとめて!」
黄金の炎が噴き上がる。
空の黒雲を突き抜け、そのまま天まで届くような光の柱となる。
ベニアスの体が裂け、魂がむき出しになる。
それはもはや人の形をなしていなかった――無数の顔、嘆き、憎しみ。
「見ろ! これが人の本性だ! 貴様もその一部だろう!」
「違う!」
俺は吠える。
「俺は人だ。そして竜だ。でも“絶望”にはならない!」
怒りよりも悲しみの力が湧く。
それが光に変わり、魂を包み込む。
炎ではなく、あたたかい光だ。
ベニアスの顔が苦悶に歪む。
「これは……滅びでは……ない……赦しか……?」
「そうだ。お前の罪も俺の罪も、同じ時代の闇だ。
だが、もう終わりにする。」
金の翼を広げ、光を放つ。
魂の渦が消え、静かな風だけが流れた。
ベニアスの影がゆっくりと溶けていく。
最後に、彼の唇が微かに動く。
「……お前なら……導けるかもしれんな……この世界を……」
そして、完全に消え去った。
***
戦いのあと。
俺は再び人の姿を取り戻していた。
周囲は崩壊と再生の狭間にあったが、空はどこまでも透き通っている。
リーナとレオンが近づき、俺を抱き起こした。
「終わったんですね……」
「ああ。だが、ちょっと疲れた。」
そう言って笑うと、リーナが泣き笑いの顔をした。
「お帰りなさい、アレン様。」
「……ただいま。」
アルディネアの声が優しく響く。
『よくやった。我が子孫よ。お前の選択は、竜と人の未来を分けるものとなる。
だがまだ、果たすべきものが残っておる。
崩れた秩序の後、新たな王国を築け。人の意思で、竜の守護のもとに。』
「分かってる。
今度こそ、争いのない国を作る。
力で支配するんじゃなく、支え合う国を。」
夜が明ける。
瓦礫の間から、太陽が顔を出す。
新しい一日が始まった。
人も竜も、再びこの大地に立ち上がる。
空には、黄金の光条が一筋走っていた。
それはまるで、滅びの向こうに灯る希望の道だった。
俺は拳を胸に当て、静かに誓う。
「これで終わりじゃない。
ここからが、本当の“始まり”だ。」
その言葉を、風が運ぶ。
雲の向こうでアルディネアが穏やかに微笑んでいるのが見えた。
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