双子の妹の保護者として、今年から共学になった女子高へ通う兄の話

東岡忠良

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【10】竜馬。瀬川薫のIカップを触り、先生に知られる。

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──1──

 小夏が下着専門店の店の前を眺めていると、新屋敷兄妹の姿を見つけた。 
「あ。帰ってきた。遅いよ~」
 と手を振った。
「ごめん、ごめん」
 と竜馬。
「待たせたわね」
 と和葉は試着室に近づき、
「優子、あなた随分、大胆な画像をお兄ちゃんに送ってくれるじゃない」
 と問い詰めるように言った。
「ごめんなさい。悪かったわ。でも間違えただけなの……。許して」
「優子さん」
「り、竜馬君!」
「僕は怒ってないから。気にしなくていいよ」
「竜馬君……」
 と感動しているようだった。
「ところでお兄ちゃん」
「何だ?」
「優子のおっぱい飛び出し画像って、まだお兄ちゃんのスマホの中だよね」
 竜馬は『マズい』と思い、身体がピクリと反応した。
「お兄ちゃん。後でゆっくり見るつもりでしょう?」
「いやその、なんというか……?」
「あんな卑猥ひわいなもの、消してちょうたい!」
「ちょっと私の画像が卑猥ってどういうことよ!」
「今、優子が出てくるとややこしくなるから黙ってて!」
「あの、出来たら永久に残したいんだけど……」
 和葉は竜馬に近づき、見上げた。
「ダメよ! あんなドエッチヘンタイ画像は今すぐ消して!」
「ちょっと! 何で私の画像が『ドエッチヘンタイ』なのよ!」
 和葉は優子が入っている試着室に向かって、
「優子もあんな画像をお兄ちゃんに持たれて嫌じゃないの? もしネットにでもあの画像をばら撒かれたりしたらどうするの?」
「そんな! 僕は絶対にそんな事はしないよ!」
「竜ちゃん、信用ないねえ~」
 と小夏。
「ダメよ、絶対。お兄ちゃん、早く消しなさいな!」
 と強く言った時だった。
「竜馬さん、私の画像を変なことに使わないわよね?」
 と優子は試着室から顔を出して言った。
 だが、
「え? 変なこと!」
 と言って竜馬は止まってしまった。
「竜馬さん、もしかしてネットに拡散するつもりなの……?」
 と悲しそうに言った。
「しない! 絶対にしない! それは誓うよ!」
「なら何で『変なこと』で止まっちゃうの?」
 と不思議がる優子。
「そんなの決まっているじゃない。オカズに使いたいんでしょう」
 とはっきりと和葉は言った。
「な! 何を言い出すんだよ!」
 と竜馬は焦り、顔が真っ赤である。
 すると、
「ねえ。オカズってなに?」
 と優子と小夏が同時に言った。
「え? 二人共、オカズを知らないの?」
「だから何のこと? オカズって、ご飯を食べる時に一緒に食べるものだよね」
 と小夏。
「竜馬さん、私の画像を見ながら、食事をするってこと? それくらいいいわよ。竜馬さん、持ってていいわよ」
 と優子。
「本当に! じゃあ、お言葉に甘えて」
「ダメに決まっているでしょうが!」
 と和葉が声を上げた。
「二人共、スマホを持っているんでしょう。なら『男』『オカズ』『画像』で検索してみなさいよ!」
 と言ったので、小夏と優子はスマホで検索した。
「な! ななな! なによ、これ!」
 と小夏は赤面して、
「竜ちゃんのエッチ……」
 と竜馬を見つめて呟いた。
「いや、違うんだ。勘違いしないで」
 と慌てていると、
「なるほど。別にいいわよ。竜馬さんが一人で見るだけなら。ただし、変ないたずらとかしないでね」
「しない、しない。絶対にしない」
「私を見ながらだと食事が進むなら嬉しいわ」
 と言った。
「ちょっと優子! 何を言っているの! あなたのスマホ、見せてみなさいよ」
「いいわよ、ほら」
 と和葉が優子のスマホを見ると、彼氏のために作るおかずのレシピがずらりと並んでいた。
 和葉はそれを見て、
「優子。あなたのスマホって十八禁フィルターをかけられているわよ」
 と言った。
「じゅうはちきんフィルター? って何? まあ、そんな事よりも」
「そんな事って。あなた、それ、構わないの? まあ、いいわ」
 と和葉。
「ねえねえ、みんな見て」
 と試着室から顔だけを出して、
「かなり恥ずかしいけど。どうかしら。ジャン!」
 と頬を赤くしながら、あの茶色いブラジャーとスカートを履いた姿を見せた。
「落ち着いて考えたんだけど、この茶色ブラを買ってから、かわいいのを注文しようと思うの。しばらくはこの茶色のお世話になるんだけど、どう?」
 と少しモジモジしながら言った。
 一瞬、皆から「ほお~」とため息と感心が漏れた。やっぱり相生優子は整った顔立ちと豊かな胸、そして一六五センチの長身で何を着ても似合いそうである。
「うん。いいと思うよ」
 と小夏。
「私もそれに賛成」
 と和葉。
 竜馬は恥ずかしいのか目線を反らした。
「竜馬君」
「は、はい」
「こっち、見てくれないの? そんなにおかしい?」
 と優子は不安そうに大きな胸に手を当て訊いた。
「いや……その……。とてもいいと思います……」
 と照れながら言った。
「ホントに! やった!」
 と小さくガッツポーズをして、
「私、これを買うわ!」
 と値札を確認した。
 すると、
「これ、一万六千八百円もするの!」
 と優子は一瞬、固まってしまった。
「こんなに変な色なのに! こんなにオバサンデザインなのに! こんなにドテッとしているのに!」
「ドテッとしているのは優子の胸に合わせたからじゃないの?」
 と和葉。
「何よ!」
 と睨む優子。
「サイズの大きなブラって物によっては高くつくよね~」
 と小夏。
「今、手持ちで一万円しか持っていない……」
 と悲しそうな顔をしている。
「明日、必ず返すから誰か貸してくれない?」
 と涙ぐみながら三人を見た。
「私も、手持ちで三千円ちょっとしかないわ」
 と和葉。
「私は千円くらいしかないな~」
 と小夏。
「四月が始まったばかりなのに、小夏はどうやって今月生きていくつもり?」
 と和葉。
「高校生になって欲しい物がいっぱいあって、つい買っちゃうんだよね~」
 と後ろ頭を掻いた。
「どうせ、また無駄遣いじゃないの?」
「それを言われるとちょっとツライな~」
 と小夏は天井を見上げた。
「僕、今一万円を持っているから優子さん、使いなよ」
 と竜馬は財布から一万円を取り出した。
「悪いけど明日、返してね。どうしても欲しいゲームがあるから」
「うん。ありがとう」
 と茶色ブラジャーで制服スカートのまま、竜馬から優子は一万円を受け取った。
 優子の頬が微かに赤い。
 そこでスマホのシャッター音が聞こえた。
「いい絵が撮れたわ。一万円で下着姿の女子高生を買う男子生徒」
「ちょ! 何を撮ってんのよ!」
「和葉! おい!」
「お兄ちゃん、これを消して欲しかったら、優子のおっぱい飛び出し画像を消して。いくらなんでも、あれはダメよ」
「えっ。でもあれは」
「私、これをお父さんとお母さんに見せるわよ」
 竜馬は泣く泣く画像を消した。和葉も約束通り、一万円を渡す画像を消した。
 優子は無事に茶色ブラを購入し、自分に合ったブラジャーを数枚注文した。
「優子。なかなか凄い金額だけどお金はあるの?」
 と和葉は心配したが、
「え? あ。う、うん。一生懸命に頼み込むから大丈夫!」
 と慌てながら言った。

 竜馬はがっかりしながら帰ったその日の夜、自分のゲーミングパソコンで、ゲーム『ドラゴンアルティメット』をプレイした。
「そう言えば、和葉のやつ、こんなことを言っていたな?」
『ヒントをあげるわ。お兄ちゃんはラッキーよ。なんせFじゃなくてHのステージになったから』
 と言っていたのを思い出した。
「ボーナスステージ選びでFは思い切って捨てて、Hを丹念に探索してみるか」
 とプレイしたところ、超レアな盾を手に入れたのだった。
 寝る前、寝間着に着替えた和葉とリビングで会った竜馬は、
「和葉、お前はさすがだな。思い切ってHステージを探したら超レアな盾を手に入れたよ。ありがとうな」
 と礼を言った。
 和葉は、
「は? なんのこと?」
 と不思議がった。

──2──

 小夏と別れて「お早う」と言いながら、新屋敷兄妹は自分達のクラス三組に入った。
 みんなが「お早う」と返してくれる。
 すると相生優子が、
「和葉と竜馬君、お早う」
 と近づいてきた。
「竜馬君、昨日は一万円をありがとう。ちゃんとあの茶色のブラをして来ているからね」
 と言ったから、クラスの女子生徒らから、
 ちょっとそれ、どういうこと!
 相生さん、說明して!
 竜馬君、何があったの?
 と大騒ぎになった。
「優子……。あなた、バカなの……」
 と和葉は大きくため息をついた。
「みんな、今から說明するから騒がないでよ」
 と優子は説明した。
 今日の体育に合わせて、優子のサイズに合ったブラを買いに行き、お金が足らなかったから竜馬から一万円を借りたことを話した。ただし、おっぱい飛び出しブラのことはカットだった。
 な~んだ。そういうこと。
 でもさ。男子の竜馬君が女性下着専門店について行くなんておかしくない?
「私が一生懸命についてきてってお願いしたのよ」
 と優子。
「じゃあさ。私が下着を買いに行く時、竜馬君はついてきてくれる?」
 と言い出す女子生徒が現れ、ちょっとしたお祭り騒ぎになった。
「ちょ、それは困るよ」
 と竜馬が焦っていると、
「……おはよう」
 と小さな声で挨拶をする小柄な女子が教室に入ってきた。
 身長は一五〇センチは切っていそうで、見た目はどう見ても中学生にしか見えない。童顔で綺麗な顔立ちをしているが、本人の大人しい性格もあって目立たない存在ではある。だが見た目にも不自然なくらいに胸が大きく、本人はそこを悪い方に気にしているようであった。
「……おはよう」
 と小声のせいか、きちんと返してくれるクラスメイトは少ない。
 瀬川薫せがわかおるは竜馬から見て後ろへ二番目の席だった。
 本当は教室の後ろの出入り口からの方が席は近いのだが、前の出入り口からだとほのかに憧れている竜馬の顔が見られるし、何より竜馬が「お早う」と「さようなら」と必ず返してくれるのが嬉しくて、前の出入り口を使っていた。
「……おはよう」
 と和葉に挨拶をする。
「お早う」
 と普通に返してくれる。
 そして、
「……おはよう」
 と竜馬に言った。
 だが今日は、
「やあ、瀬川さん、お早う。騒がしくてごめんね」
 と竜馬が返した。
 いつもとは少し違う返事に、瀬川薫は動揺してしまい、竜馬の近くで足がもつれてしまい、けそうになった。
「危ない!」
 と竜馬は腕を伸ばして薫を支えたが、ちょうど竜馬の左手が薫のIカップの胸の右を掴み、腕が胸の左に当たってしまった。
 クラス内から一斉に、
「あ!」
 と言う声が響いた。
 竜馬はどうしていいか分からないのか、動かなくなってしまったが、薫はゆっくりと身体を起こして無言のまま、慌てて自分の席に着いた。
「お兄ちゃん今、瀬川さんのおっぱいを触らなかった?」
「えっ! あっ! そうだけど、あれは事故だよ、事故!」
 と竜馬は焦っている。
 薫は心の中で、
 倒れそうになったところを助けてくれたのだから、ちゃんとお礼を言わないと……。
 と思えば思うほど、顔が熱くなり竜馬を見ることができない。
 大きくたくましい男子の手と腕が、大きくてコンプレックスの胸を掴んだことが、正直恥ずかしくて仕方がないはずなのだが、それが憧れの竜馬だったので心の奥では嬉しい気持ちになっている。
「瀬川さん、おっぱいを触られたから、怒っているじゃない」
 と竜馬の妹の和葉が言う。
 私、怒ってない。怒るどころか助けてくれて竜馬さんに感謝しているのに……。
 今、言わなきゃと思っていると、相生優子が竜馬の方に近づいて来て、
「昨日はありがとう。はい、一万円を返すわ」
「あ。ああ、うん」
 と受け取った。
 すると、
「竜馬さん!」
 と相生さん。
「な、何かな?」
 と竜馬。
「今から私も倒れるから、支えてくれる?」
「えっ!」
 とわざと倒れる相生さんの胸の下辺りに腕を入れて支えた。
「ちょっと! 瀬川さんはおっぱいで支えたのに、何で私はおっぱいの下なのよ! ちゃんとここを触ってよ!」
 と胸を右手親指で指している。
「そんなの出来る訳ないだろ!」
「どうして! 瀬川さんには出来たのに!」
「だからあれは事故だって!」
 と二人は言い合いをしている。
 いいな……。二人は仲が良くて……。
 と思い、薫はため息をつき、
 中一から同じクラスで、何とか仲良くなりたくて、同じ高校にも入ったのに……。
 それなのに先日から知り合ったはずの相生さんはもうあんなに仲が良いのに……。
 薫は顔を隠すように机へうつ伏せになり、
 私、何をやっているんだろう……。
 どうして仲良くなれないんだろう……。
 やっぱり、相生さんが美人だからかな?    
 それに比べたら私なんて……。
 と思うと泣きそうになり、肩を震わせた。
「あ! 瀬川さん、泣いているんじゃない!」
 と和葉。
「あ! 竜馬さん、まずは瀬川さんに謝りなさいよ。そして私はもう一回倒れるから、胸で支えなさいよ!」
 と優子。
「優子はまず落ち着こう」
 と和葉は立ち上がって言うと、竜馬も立ち上がり、瀬川薫の机の前までやって来て、
「ごめんよ、瀬川さん」
 と謝った。
「そんな……。私……」
 と顔を上げたら、
「ほら! 瀬川さん、泣いてるじゃない!」
 と優子。
「瀬川さん、大丈夫?」
 と瀬川薫の側に座る女子生徒が言う。
「違うの!」
 と大声を出してしまった。
 自分でも動揺しているのが分かった。ほとんどパニック状態になっていた。
 薫は慌ててしまい、
「私、竜馬君におっぱいを触ってもらって嬉しいの!」
 と思わず本音が漏れてしまった。
 クラス全員から、
 ええ~! 
 と言う悲鳴に近い叫びが出た時、教室の前から、
「ええ~!」
 と声がした。
 前田千恵先生だった。

──3──

 結局、昼休みに竜馬と瀬川薫は職員室に呼ばれた。
 薫が転倒した時に竜馬が受け止め、たまたま胸を触ってしまったこと。薫は生まれて初めて男の人に胸を触られて動揺してしまい、
「私、竜馬君におっぱいを触ってもらって嬉しいの!」
 と言ってしまい、実際は助けてもらったことが嬉しかったのだと言うことを伝えたかったのだと話した。
 前田先生と生徒指導の男性教師は納得してくれたようだった。ちなみに生徒指導の男性教師は毎朝、校門で挨拶をしてくれる先生である。
「新屋敷君。君はクラスで唯一の男子生徒だから、くれぐれも問題を起こさないようにしてくれたまえ。一組の園田君を見習うように」
 と男性教師は釘を差した。
「はい。分かりました」
 と二人は生徒指導室を出た。
「ごめんなさい。竜馬君……。私が変なことを言ってしまったために……」
 と薫は俯きながら、竜馬と並んで歩いている。
「大丈夫だよ。それに瀬川さん、一生懸命に僕が悪くないことをきちんと説明してくれたじゃないか。だから気にしないで」
 と微笑んだ。
「……うん……」
「それよりも、瀬川さんは弁当かい?」
「はい……」
「僕もだよ。早く弁当を食べてしまおうよ。今日の最後は体育だから、しっかり食べないとね」
「うん……」
 教室に帰ると、和葉と優子が弁当を食べずに待っていた。
「お兄ちゃん、思ったよりも早かったね」
「ほら、急いで食べるわよ」
「二人共、悪いな」
 三人が机をくっつけて、食事の準備をしようとした時、竜馬はもう一つの机つまり四人分を用意した。
「瀬川さん、よかったら一緒に食べない?」
 と竜馬。
「え……。でも私……」
「ほら。早く早く。急がないと時間がないわよ」
 と和葉。
「瀬川さん、遠慮はいらないから。ほらほら」
 と優子。
「……じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて」
 と竜馬の向かい、そして優子の隣りに座った。
「では、頂きます」
 と四人は手を合わせて食べ始めた。
「今回はタイミングが悪かったわよね」
 と優子。
「それは仕方がないんじゃないかな。あんなセリフを聞いたら、どう見たってお兄ちゃんが瀬川さんのおっぱいを無理矢理触ったように聞こえるもの」
 と和葉。
「おいおい。もうその話題はしてくれよ。明らかに僕が悪者だし、瀬川さんに迷惑をかけるからさ」
「確かにそうよね」
 と優子。
「本当にごめんなさいね。竜馬さん……」
 と薫。
「もう、瀬川さん、本当に気にしないでいいよ」
「そうよ。なんだかんだ言ってもお兄ちゃんは瀬川さんのおっぱいを揉みまくったんだからね」
 竜馬は食べ物が詰まりそうになった。
「あ! アホか! 揉んでない! 当たっただけだから!」
「そうです……。当たっただけです。倒れそうなところを助けてくれたんですから。それに私、身長が一四八センチしかないから、受け止めようとしたら、竜馬さんの身長だとちょうど胸の辺りになっちゃうんだと思うんです」
「瀬川さん。お兄ちゃんを庇ってくれるのは嬉しいけど、今度はお兄ちゃんが倒れた拍子に、おっぱいやお尻を触られるかもしれないわよ」
「そうなの。竜馬さん?」
 と言う薫。
 竜馬は呆れ顔で、
「あのさぁ、漫画やアニメじゃないんだから。今まで僕が転けてさ。近くの女子の身体を触ったことってあったかい?」
「分かっているわよ。一度もないわよ」
 と和葉。
「言われてみたら確かにそうよね」
 と優子。
「まあ、こういう話題って実際にはお兄ちゃんが意外と紳士的だから出来るのであって、女子にいたずらしまくりの痴漢男だったら、ヤバくて話題にあげられないわ」
「その『意外と』は余計だ」
「ウフフっ」
 と瀬川薫は笑った。
「瀬川さん、やっと笑ったわね」
 と優子も嬉しそうである。
「うちのお兄ちゃんは真面目なゲームオタクだから、からかうと面白いのよ。瀬川さんも仲良くしてあげてね」
「は、はい。和葉さん。相生さん」
「その相生さんって何だかしっくりこないわね。よかったら私のことは優子って呼んでくれる? 私も瀬川さんの名前で呼ぶわ。で下の名前は?」
 和葉は軽蔑するように、
「優子、あなた、瀬川さんの下の名前を知らないの?」
「だ! だって席は遠いし、瀬川さん、目立たないし」
「は? 何言っているの?」
「な、何よ?」
「瀬川薫さんは目立っているわよ!」
「あ。薫っていうんだ。薫さんかあ~」
 と竜馬。
「お兄ちゃんも、今助かったって思ったでしょう!」
「あ。実は……。瀬川さん、ごめん」
「いえ。いいんです。私、目立たないから」
「いいえ! 瀬川薫。あなたは目立っているわ!」
 と和葉は薫を指さした。
「え? 私が?」
「いきなり呼び捨てって」
 と竜馬。
「瀬川薫! あなたは目立っているわ。少なくともお兄ちゃんに取ってはね」
「え? 僕かい?」
「そう。それはこれよ!」
 と和葉は箸で薫の豊かな胸を指した。
「こら! 和葉! 箸でどこを指しているんだよ!」
「凄い大きさだわ! その上、小柄だからより大きく感じるわ」
「おい、和葉その辺で!」
「薫。胸のサイズを教えてちょうだい? ちなみに私はGカップ。こっちの優子はHカップ」
「ちょっと! どさくさに紛れて私のサイズを言わないでよ!」
「で! あなたは何カップ?」
「あのう……。それって言わないといけないのかな?」
 と困惑気味の薫。
「私達、もうお友達じゃない。胸のサイズくらいはお互いに知っておいた方がいいのよ」
 と和葉。
「そのセリフ、前にも聞いたことあるわ」
 と複雑な表情の優子。
「おい。そんなの初耳だぞ」
 と竜馬。
「えっと……。私は……」
「わ・た・しは?」
 凄く小さく聞き取れない声で、
「……カップです……」と恥ずかしそうに言ったが、
「なるほど。Zカップね」
 と和葉が言うと、
「アイです! Iカップです!」
 とクラス中に聞こえるほどの声で言った。
「Iカップですって!」
 と驚く和葉。
「凄~い。私よりも大きな子、初めて会ったかも」
 と嬉しそうな優子。
「な! この私がついにおっぱいピラミッドの三番目に! それも最も稀少きしょうと言われている伝説のロリ巨乳って!」
 と大声で言った。
「伝説って、和葉……」
 と竜馬。
「ザクとは違う小夏のグフと、私のゲルググ。そしててっきり頂点は優子のジオングだと思っていたけど、すでに時代はゼータだったのね」
「だから、何なの、その例え?」
 と優子。
「おい。ちょっとまて。以前まで小夏が赤いズゴックじゃなかったか?」
 と竜馬。
「お兄ちゃん! 細かいことはどうでもいいのよ」
「何だよ。一貫性はナシかよ」
 と呆れる竜馬。
 そして箸を持ったまま、和葉は立ち上がり、
「ついにガンダムマークツーが現われるなんて!」
「ガンダム? マーク?」
 と薫は全く理解していない。
「和葉。その例え、僕にしか分からないからやめろ」
 と頬を赤らめる竜馬。
「じゃあ、お弁当を食べながら聞きましょう。お兄ちゃんによるガンダムのモビルスーツの性能に例えた、おっぱいのサイズの話を」
「それは許してくれよ~!」
 話が盛り上がったせいか、昼休みが終わる時間ギリギリに四人は食べ終わった。
 ガンダムのモビルスーツの性能の話とバストサイズの例えについては、また後日となったのである。

2022年7月16日
2025年5月8日 修正

※当サイトの内容、テキスト等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
 また、まとめサイト等への引用をする場合は無断ではなく、こちらへお知らせ下さい。許可するかを判断致します。
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