【短編BL┊︎完結】世話焼き未神さんは恋がしたい

三葉秋

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 まちの繁華街で飲んでいたのだ。店の近くにホテルは五万とある。手近なところを選び、部屋に入るなり佑は屋島に告げる。
「俺はゲイだよ」
 驚いた表情を見せる屋島に、佑はたたみ掛けるように話しだす。
「さっきも言ったが、恋愛はしないと決めているんだ。ましてや会社の奴と体の関係をもつつもりはないし、今からセックスをするつもりもない。でも、……口でならしてやってもいいと思っている。ただし、今日一回きりだ。それでもいいなら続きをするが、どうする?」
 慈悲の心が優った。
 悩んでいる屋島のためになるなら、でも……体は繋げられない。それは、自分の心まですべて持っていかれそうで、怖いから。
 屋島から生唾を飲み込む音が聞こえた。
「お願い……します」
「わかった。ジャケット脱いで、そこ座れ」
 屋島は佑に従い、ベッドに座った。
 佑もジャケットを脱ぎ、ワイシャツの袖をめくりながら洗面台へと向かう。
「ベルト外したほうがいいですか?」
 手持ち無沙汰だと思ったのだろう、後ろから屋島がぎこちなく問いかけた。
「俺の楽しみを奪うなよ」
 振り返りながら笑って見せる佑の表情に、屋島の顔面は一気に紅潮していった。
 丁寧に手を洗いベッドへと戻った佑は、腰掛ける屋島の表情に目を見張る。
 先ほどまでの緊張感はどこへやら、たったの数分で屋島はどこか吹っ切れたようだ。真剣な面持ちで外の景色を眺めている。
「屋島、待たせた」
「いいえ」
 佑は屋島の前に跪き、屋島の股間を見つめた。
「ね、勃ってるでしょ」
 触らなくてもわかる、完全にとはいかないまでも屋島の股間は明らかに張り詰めていた。
 佑はベルトのバックル、ボタン、ホックと外していき、ジッパーを下ろした。
「腰、あげて」
 最後にズボンとパンツを掴み、一気に太もも辺りまでズリ落とす。
「本当にしてくれるんですか」
 ここまで来てその質問かよ。
「二言はないよ」
 佑は完勃ちしていない屋島の昂りを付け根から軽く握り込んだ。
「先輩の手、…冷たくて、気持ちいい」
 屋島は佑の手が冷たいというけれど、実際には屋島の昂りが熱いのだ。
 俺の体温は至って平常だと、佑は思う。
 でも、屋島から発せられるこの熱で、佑の淫猥な気持ちが高められていることは確かで、だから、夢中で舐めた。
 裏筋の先端辺りから舌を這わし、付け根までも何度も何度も、行ったり来たりを繰り返す。鈴口に舌をチロチロと這わしていくと、ピクっと反応する屋島が面白くて、舌の動きを止められない。
 ーーー存外、佑はこの行為が好きなのだ。
 どんどんと質量を増していく屋島の昂りを、佑は先端から一気に口の中に咥え込んだ。
「あっ!  ……み、かみせん、ぱっ……だめです。……ああ、き、もちい……から…」
 それまで歯を食いしばり声を我慢していた屋島も、口に含んだ瞬間に何か弾け飛んだようだった。
「ねぇ、先輩……。頭、触っていい、ですか?」
「いちいち……聞く、なっ…」
 屋島は両の手で佑の頭に触れてきた。
 片方は耳元から、もう片方はおでこから髪を掻き上げられ、咥え込む佑の顔があらわになる。
「先輩、エロすぎ……」
 そう言った瞬間、口に含んでいた屋島の昂りが一段と膨らんだ。
「んぅっ……!」
 屋島の昂りで口の中が容赦なく広げられる。先程触れられた頭は完全にホールドされ、口許を離すことは許されない。
 屋島の終わりが近い。
 佑は唇での前後の動きに合わせ、舌先で鈴口とクリクリと舐め回す。付け根部分に添えた指は揉むように動かして、どんどんと射精を促していく。
「はぁっ……!イ、クっ、せんぱっ……もう、イ…クっ……」
 屋島は自らの腰を動かして、快楽に近くなる衝動を抑えることができない。
「中で……出して……いい、で、すか……」
 咥えていたら返事なんかできるわけがない。離れないのを肯定と捉えたのか、屋島の腰の動きが少しだけ激しくなった。
 苦しい。喉奥を昂りの先端でノックされてる。でも、……離したくない。
 パンパンに張った屋島の昂りを懸命にしゃぶった。
 さらに射精を促すために、佑は軽く鈴口部分を舌先でつついた。
 すると、ビクッと大きく反応した屋島は次の瞬間、
「あぁあ……んぅっ! ………。はぁ、はぁ、はぁ……」
 口の中に放たれた生温かなそれを、佑は残すことなく嚥下した。
 喉を通っていく雄の香りに、佑は久々に心が沸いた。
 屋島は髪を撫で、指に絡めながら佑に囁く。
「ねぇ、未神先輩……。キスしたい。だめ?」
 その言葉に反論などできるはずもなく、佑は小さく頷いた。
 頭上からそっと、触れるだけのキスが落ちてきた。
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