不器用な大富豪社長は、闇オクで買った花嫁を寵愛する

獅月@体調不良

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全ての検査が行われた後、私は直々に一枚の書類にサインを書かされた。

その内容は、この世から死亡したと言う許可証だ。

臓器提供である内容は、検査の結果可能だった項目全てが記載されていた。

中には、好んで悪食をする大富豪も居るらしく、
彼等が食べても害が無いように、事細かな物を調べられた。

ここに来てから薄い布が一枚あるベッドと仮設トイレしかない、二畳程度の真っ白い部屋で、
まるで研究材料のラットみたいな生活を、
約一週間程過ごしたんだ。

時間の感覚が壊れそうな中で、月に二度行われるという闇オークションに出品される日が決まった。

「 毎回来るお客さんもいるから、サクラはいないんだ。だから…必ず売れる。安心するといいよ。もう二度と此処には戻ってこないから 」

黒い布で目隠しをされ、両手を拘束され、そのまま腕を掴まれ、半ば強引に歩かされ連れて行かれる。

別室らしい場所に行くと、簡易ベッドの様な物があり、それに座らせられると目隠しが解かれた。

「 …さて、商品らしく、良く魅せる事だ。そうすれば…人肉以外の道も、あるかも知れませんよ 」 

仮面を着けた若い男は、私の頬に触れると密かに口角を上げ、白いバスローブの紐を解き、肩からそっと脱がせた。

衣類を何一つ身に着けてない身体を見下げて、男は肩に触れ、ベッドに寝かせる様に指示をして来たのに合わせ、横たわる。

複数の監視カメラと一つのモニターが、天井付近にあり、気味悪い場所だと思った。

「 それては、No.306。オークションを開催します 」

男は耳元につけたマイクで告げると、モニターには依頼内容が、一気に表示された。

「 ほら、股を開いて 」

「 ッ……… 」

文字に書かれた通りのことを熟す為に、言われた通りにベッドに仰向けになって股を開くと、男は手元のカメラを近付けた。

「 見ての通り美しい桃色。膣口は狭く、この通り小指すら入りませんよ。どう調教するかは、落札者様次第。さぁ、100万からスタート致します 」

モニターの端に、どんどん金額が上がっていくのが見える。

其れと同時、どういった姿が見たいのか、どの部分が見たいのか、そう言った要望も受けなければならない。

マシなのは、" 処女 "と言う価値があるから
ここの者達に"されなかっただけ"、救いと思わなければならない。

例え、四つん這いになって尻を広げようとも、
この男とは別に入って来た、男の陰茎を咥えさせられても…。

全ては、私の値を上げる為の事…。

「 1億、1億7000万…… 」

何故、その辺に居そうな女に此れだけの値打ちが付くのか分からないけど…
死んだ者として扱っていい時点で、人権なんて存在しないのだろう。

「 じゅ、いや…ひゃ…100億!? 」

「 嘘だろ…100億って…。入力ミスじゃないか 」

「( なんだろ…如何でもいいけど )」

仮面を着けた男達がざわつき始めた事に、
然程、興味は持てなかった。

苦痛とも言える時間を終え、シャワールームに連れられ、仮面の男によって隅々まで洗われた。

肩書きは洗浄と言う、如何にも商品らしい。

髪を乾かせられ、丁寧に美容液やヘアオイルまでされ、白いレース付きのワンピースを着せられ、もう一度、目隠しをされた後にこの場を離れた。

「 主人の代わりに商品の受け取りに来ました。代金の半分は現金とのことで、既に御準備をさせて頂いております 」

「 ありがとうございます。では、此方が商品になります 」

裏売買らしい内容を間近で聞いては、
彼等の会話を他人事の様に受け流し、そして代わりにやって来た者に引き渡され、別の車へと乗り込んだ。

そして、どの位走ったのか分からないまま到着したらしく、エレベーターに乗った感覚の後に、とある部屋に辿り着いた。

「 永い移動でしたね。ご苦労様です。もう、気を休めて貰って大丈夫ですよ 」

「 ん…… 」

この後、夕食にでもなるかも知れないのに…
気を休めるはずがない。

目隠しを外され、暗い中から、急に明るい室内の明るさに眉を寄せ、徐々に視界がハッキリとして来ると、目の前に立っていたスーツ…いや、燕尾服を着た30代前半に見える若々しい男性は、笑みを零す。

「 今日から此処が、貴女様の御自宅になられます。必要な物は全て揃ってると思いますが、何か必要な物があれば、好きなように買い出ししてください。一時は私共がお連れしますが…後々は御自身御一人で… 」

「 え、待って下さい…。外に出ていいのですか? 」

今夜の晩餐では?
そう思っていたから、彼の言った言葉に疑問を抱くと、彼の笑みはより一層深くなった。

「 もちろんでございます。主人が居る時間帯以外は、ご自由に過ごされて構いません。もちろん、外に出ることも、ショッピングや映画を楽しむのも、好きにして宜しいのですよ 」

「 ……その後、殺されるってことですか? 」

「 おや、主人は悪食ではございませんよ。只、貴女様を買っただけです。殺す事は致しませんし、此処に来る関係者全て…貴女様を傷つける事もいたしません 」

きっぱりと言い放った男性に、私の思考は止まったままだった。

殺さない?傷つけない?

自由に外に出てもいい?

それなのに何故…買ったのだろうか。

「( そうか…、大富豪が夜の店の者達を呼べないから、都合のいい性処理か…。きっとそう… )」

あのオークションで買った人だ。

きっとそうに違いないと思っては目線を落としていると、彼は燕尾服の上着にある、内ポケットから白い封筒を取り出す。

「 これは、主人から貴女様に、今日の分のお小遣いを渡して欲しいと言われていたので、お渡しします 」

「 え…… 」

「 主人からの言伝で、毎日30万程度は渡すから…それで身なりを整えろ。と言うことです。では、もう一つ…この部屋のカードキーになります。既に貴女様の指紋は、此方に移動中の車内にて登録させて頂いたので、カードキーを差して、指紋認証での解除を終えると入れます 」

「 えっ、待って…下さい… 」

ほぼ、強引に封筒とカードキーを渡され、
マシンガントークの様に淡々と告げられた内容が理解出来ないまま、彼は軽く会釈をした。

「 では、困った事がありましたら玄関付近にあるカメラに向かって話し掛けてください。別の階にいる使用人の誰かが伺います。この部屋はご自由にお使いください。食べ物も好きに飲み食いして構いません。それでは… 」

「 えっ…… 」

言うだけ言って、玄関から出て行った男性を追い掛けようとするも、目の前で扉はしまった。

「 え…………なんで? 」

私は闇オークションで売られ、買われたはず。

それなのに、此の状況に理解できない。

視線を右側にやると、インターホンみたいなカメラがあった。

ONとOFF程度しかない事に、本当に此方から一方的に話すだけのものなんだと察した。

「 これから……どうしたら…… 」

一人きりになり、握ったお札の入った封筒は、簡単に稼げる金額でないのは知っている。

けれど…簡単に渡せる人であるのも、知った。

「 ひゃく、おく…だっけ……。そんな価値…私には、無いよ…… 」

泣く事も出来ず、只は一人その場で肩を落とすしか無かった。

生きる希望もない…。

どうやって生きていけばいいのか…。

ずっと、母の為だけに働いてきたのに…。

その母だと思った人に売られたけど、
其れでも…あの人が笑って暮らせるなら…

……それでいい。

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