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6.赦しの光と、新たな絆
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オルカス帝国とグラスト王国の合併後、皇后イザベラはかつての居城であったグラストの王宮を訪れた。
そこには、捕らえられ王城の1室に幽閉されていたカミラ前王太子妃と、その幼い息子リオンの姿があった。リオンはバーストンの異母弟にあたる少年である。
カミラはイザベラを激しく睨みつけ、震える声で言った。
「イザベラ様……。あなたは、私から何もかも奪ったくせに、まだ何かするつもりなのですか?」
イザベラは静かに微笑んだ。その瞳に、もはや濁った憎しみはない。
「私はあなたから何も奪ってなどいませんわ。あなたの愛したバースト様が、自らの行いによって全てを失っただけです」
そして、イザベラはリオンへと視線を移した。怯えた顔をしているが、バーストンと同じくどこか利発な面影がある。
「この子は、次期皇帝であるバーストンの弟です。罪はありません」
イザベラはリオンに歩み寄り、その柔らかな頭を優しく撫でた。
「リオン、もう怖がらなくていいのですよ。これからは、あなたも私たちの家族なのですから」
その慈悲深い言葉に、カミラの目から力が抜け、絶望の中にわずかな安堵が混じった。
❖
バーストンは、母イザベラから弟リオンの存在を聞かされていた。かつて父バーストが、自分の代わりにリオンを後継者に据えようとしていたことも。しかし、バーストンに敵意はなかった。
「お父様は、僕のことも、リオンのことも、本当の意味では愛していなかったのだ」
養父エドワードから教えられたその言葉を、彼は「だからこそ僕たちが手を取り合わねばならない」という信念に変えていた。
ある日、バーストンが庭園で剣の稽古をしていると、遠くからリオンが見つめていた。バーストンは稽古の手を止め、リオンのもとへ駆け寄った。
「リオン、おいで。一緒に遊ぼう」
警戒し、一歩後ずさるリオン。しかし、バーストンは太陽のような笑顔で手を差し伸べた。
「大丈夫だ。僕は君の兄さんだよ」
その言葉に、リオンの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。兄の温かな掌が、少年の長きにわたる孤独を溶かしていった。
❖
15年後、リオンはバーストンの右腕として、政治や軍事の要職を担うまでに成長した。彼らの固い絆は、二つの王国を真に一つにまとめ上げ、新たな時代の礎となった。
イザベラは、かつての裏切りから生まれた二人の息子が、今、互いに支え合い、希望の光となっていることに深い安堵を感じていた。
❖
一方、カミラの処遇は王城の1室から解放され、森の奥深くにある閑静な屋敷へと移されていた。そこは監視下にあったが、ある日、カミラは別の屋敷に幽閉されていたバーストと再会を果たす。
「バースト様!」
「カミラ……。無事だったのか」
「ええ、あなたも……」
そこまで言って、バーストは声を詰まらせた。二人は権力争いやイザベラの影に怯えることなく、ようやく二人きりで、静かな時を過ごすことが許された。
バーストは王太子としての責任や罪悪感から解放され、カミラもまた、焦燥から解き放たれていた。共に本を読み、庭を散策し、静かに寄り添う日々。その中で、二人はようやく本来の穏やかな愛を取り戻していった。
バーストは、かつてイザベラに告げた残酷な言い訳が、実は自分たちの未来を守りたいがための弱さであったことを、静かに悟るのだった。
❖
数年後、バーストンの即位が近づくにつれ、バーストとカミラへの監視はさらに緩やかになった。
二人が穏やかに愛を育んでいることを知ったイザベラは、彼らがバーストンとリオンというかけがえのない宝物を授けてくれたことに、心の中で感謝を捧げた。その慈悲深い決定に対し、エドワードもまた「君が選んだ道なら、それが一番正しい」と優しく微笑んで支えていた。
悲しみと裏切りから始まった物語は、愛と家族の絆によって、静かで穏やかな結末を迎えた。イザベラの隣には、いつもと変わらぬエドワードが、優しく微笑んでいた。
そこには、捕らえられ王城の1室に幽閉されていたカミラ前王太子妃と、その幼い息子リオンの姿があった。リオンはバーストンの異母弟にあたる少年である。
カミラはイザベラを激しく睨みつけ、震える声で言った。
「イザベラ様……。あなたは、私から何もかも奪ったくせに、まだ何かするつもりなのですか?」
イザベラは静かに微笑んだ。その瞳に、もはや濁った憎しみはない。
「私はあなたから何も奪ってなどいませんわ。あなたの愛したバースト様が、自らの行いによって全てを失っただけです」
そして、イザベラはリオンへと視線を移した。怯えた顔をしているが、バーストンと同じくどこか利発な面影がある。
「この子は、次期皇帝であるバーストンの弟です。罪はありません」
イザベラはリオンに歩み寄り、その柔らかな頭を優しく撫でた。
「リオン、もう怖がらなくていいのですよ。これからは、あなたも私たちの家族なのですから」
その慈悲深い言葉に、カミラの目から力が抜け、絶望の中にわずかな安堵が混じった。
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バーストンは、母イザベラから弟リオンの存在を聞かされていた。かつて父バーストが、自分の代わりにリオンを後継者に据えようとしていたことも。しかし、バーストンに敵意はなかった。
「お父様は、僕のことも、リオンのことも、本当の意味では愛していなかったのだ」
養父エドワードから教えられたその言葉を、彼は「だからこそ僕たちが手を取り合わねばならない」という信念に変えていた。
ある日、バーストンが庭園で剣の稽古をしていると、遠くからリオンが見つめていた。バーストンは稽古の手を止め、リオンのもとへ駆け寄った。
「リオン、おいで。一緒に遊ぼう」
警戒し、一歩後ずさるリオン。しかし、バーストンは太陽のような笑顔で手を差し伸べた。
「大丈夫だ。僕は君の兄さんだよ」
その言葉に、リオンの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。兄の温かな掌が、少年の長きにわたる孤独を溶かしていった。
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15年後、リオンはバーストンの右腕として、政治や軍事の要職を担うまでに成長した。彼らの固い絆は、二つの王国を真に一つにまとめ上げ、新たな時代の礎となった。
イザベラは、かつての裏切りから生まれた二人の息子が、今、互いに支え合い、希望の光となっていることに深い安堵を感じていた。
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一方、カミラの処遇は王城の1室から解放され、森の奥深くにある閑静な屋敷へと移されていた。そこは監視下にあったが、ある日、カミラは別の屋敷に幽閉されていたバーストと再会を果たす。
「バースト様!」
「カミラ……。無事だったのか」
「ええ、あなたも……」
そこまで言って、バーストは声を詰まらせた。二人は権力争いやイザベラの影に怯えることなく、ようやく二人きりで、静かな時を過ごすことが許された。
バーストは王太子としての責任や罪悪感から解放され、カミラもまた、焦燥から解き放たれていた。共に本を読み、庭を散策し、静かに寄り添う日々。その中で、二人はようやく本来の穏やかな愛を取り戻していった。
バーストは、かつてイザベラに告げた残酷な言い訳が、実は自分たちの未来を守りたいがための弱さであったことを、静かに悟るのだった。
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数年後、バーストンの即位が近づくにつれ、バーストとカミラへの監視はさらに緩やかになった。
二人が穏やかに愛を育んでいることを知ったイザベラは、彼らがバーストンとリオンというかけがえのない宝物を授けてくれたことに、心の中で感謝を捧げた。その慈悲深い決定に対し、エドワードもまた「君が選んだ道なら、それが一番正しい」と優しく微笑んで支えていた。
悲しみと裏切りから始まった物語は、愛と家族の絆によって、静かで穏やかな結末を迎えた。イザベラの隣には、いつもと変わらぬエドワードが、優しく微笑んでいた。
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