40 / 47
9
9-3
しおりを挟む
コンプレッサー等の電気系統や、シンナー等の揮発性塗料も、東と同じように西にも置いてある。
今、東側で起こった火事は、そこら近辺から出火したらしいが?
しかし、騒ぎが起こっているのは全て東側――――?
ハッとして、竜真は顔を上げる。
「てめぇら!! 今すぐ西門に向かえ!! 」
竜真の号令一過、舎弟たちは西門へ駆けて行く。
これは誘導だ!
竜真は、そう直感した。
(今、この組に表立って戦争を仕掛けてくる可能性があるのは――)
思考は、そこで止まる。
闇の中から、数人の男が現れたからだ。
男たちは、この屋敷の構造を事前に頭に入れていたので、惑うことなく真っ直ぐに竜真の前に躍り出ることが出来た。
竜真の周囲に残っていた、舎弟たちが息をのむ。
男たちの中央には、底光りするような恐ろしい眼光の男がいたからだ。
普段の、鷹揚とした五十男の仮面をかなぐり捨てた天黄正弘が、そこに立っていた。
――――鬼人の、マサ。
それが、かつての、天黄組組長の男の異名だった。
「く、組長――」
思わず、そう声が漏れた。
すると、正弘はクッと口元を歪める。
「なんでぃなんでぃ? 幽霊でも見たような顔しやがってぇ? 」
「あ、いや――」
気圧された己を奮い立たせ、竜真はキッと顔を上げる。
「今夜は、何です? 来るなら来るで、事前に知らせてくださいよ」
「ふん? オレが来ちゃあマズイってのかい? 」
「――――いくら元組長でも、筋は通してもらわないと」
すると、正弘はギロリと竜真を睨んだ。
その凄まじい迫力に、舌が凍る。
「てめぇ、オレに隠れてロクでもねぇことしてやがんだろう? 」
「そ、そんな……」
言い淀むも、竜真はさり気なく舎弟に指で合図を送る。
相手は、正弘を入れて四人だ。
数は圧倒的にこちらが多い。取り囲んで、一気に制圧しろと。
だが、それを牽制するように、相手は口を開いた。
「御堂聖を、返してもらおうか」
「――」
やはり、それが目的か。
竜真はそう思うと、ククッと嗤った。
それを見咎め、正弘は眦に険を孕む。
「なんでぃ? 」
「いや親分、あんた――あいつとデキてんのかい?違うよなぁ? あんたは、あいつに指一本触れちゃあいない」
「それがどうした? 」
「なら、おかしいじゃねぇか? あいつはまだ盃も貰ってない、ただのガキだぜ。しかし、あんたはわざわざそいつを取り返しに来たんだろう? でも、別に色子じゃないときた」
「――」
「今の、天黄組の組長はオレのハズだ。なら、この組をどう動かすかはオレの裁量に任せられているってことだろう。そのオレが、組の発展のために、まだ盃も貰ってないチンピラのガキを利用するってのは、別に道理に反しちゃあいねぇだろうが? あいつはあんたのイロじゃないんだし、それをオレがどうしようと、文句を言われる筋合いはないだろうが」
「ふんっ」
「鬼人のマサの名が泣くぜ? 女子供も容赦なく制裁した悪名高い鬼が、五十になってボケちまったってな」
「言いてぇことは、それだけか? 」
「なに? 」
「てめぇ、関西の橋本会と、盃固めする段取りらしいな」
今、東側で起こった火事は、そこら近辺から出火したらしいが?
しかし、騒ぎが起こっているのは全て東側――――?
ハッとして、竜真は顔を上げる。
「てめぇら!! 今すぐ西門に向かえ!! 」
竜真の号令一過、舎弟たちは西門へ駆けて行く。
これは誘導だ!
竜真は、そう直感した。
(今、この組に表立って戦争を仕掛けてくる可能性があるのは――)
思考は、そこで止まる。
闇の中から、数人の男が現れたからだ。
男たちは、この屋敷の構造を事前に頭に入れていたので、惑うことなく真っ直ぐに竜真の前に躍り出ることが出来た。
竜真の周囲に残っていた、舎弟たちが息をのむ。
男たちの中央には、底光りするような恐ろしい眼光の男がいたからだ。
普段の、鷹揚とした五十男の仮面をかなぐり捨てた天黄正弘が、そこに立っていた。
――――鬼人の、マサ。
それが、かつての、天黄組組長の男の異名だった。
「く、組長――」
思わず、そう声が漏れた。
すると、正弘はクッと口元を歪める。
「なんでぃなんでぃ? 幽霊でも見たような顔しやがってぇ? 」
「あ、いや――」
気圧された己を奮い立たせ、竜真はキッと顔を上げる。
「今夜は、何です? 来るなら来るで、事前に知らせてくださいよ」
「ふん? オレが来ちゃあマズイってのかい? 」
「――――いくら元組長でも、筋は通してもらわないと」
すると、正弘はギロリと竜真を睨んだ。
その凄まじい迫力に、舌が凍る。
「てめぇ、オレに隠れてロクでもねぇことしてやがんだろう? 」
「そ、そんな……」
言い淀むも、竜真はさり気なく舎弟に指で合図を送る。
相手は、正弘を入れて四人だ。
数は圧倒的にこちらが多い。取り囲んで、一気に制圧しろと。
だが、それを牽制するように、相手は口を開いた。
「御堂聖を、返してもらおうか」
「――」
やはり、それが目的か。
竜真はそう思うと、ククッと嗤った。
それを見咎め、正弘は眦に険を孕む。
「なんでぃ? 」
「いや親分、あんた――あいつとデキてんのかい?違うよなぁ? あんたは、あいつに指一本触れちゃあいない」
「それがどうした? 」
「なら、おかしいじゃねぇか? あいつはまだ盃も貰ってない、ただのガキだぜ。しかし、あんたはわざわざそいつを取り返しに来たんだろう? でも、別に色子じゃないときた」
「――」
「今の、天黄組の組長はオレのハズだ。なら、この組をどう動かすかはオレの裁量に任せられているってことだろう。そのオレが、組の発展のために、まだ盃も貰ってないチンピラのガキを利用するってのは、別に道理に反しちゃあいねぇだろうが? あいつはあんたのイロじゃないんだし、それをオレがどうしようと、文句を言われる筋合いはないだろうが」
「ふんっ」
「鬼人のマサの名が泣くぜ? 女子供も容赦なく制裁した悪名高い鬼が、五十になってボケちまったってな」
「言いてぇことは、それだけか? 」
「なに? 」
「てめぇ、関西の橋本会と、盃固めする段取りらしいな」
1
あなたにおすすめの小説
ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために
ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話
※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる