ワルモノ

亜衣藍

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「っ! 」

「オレは、それだけは我慢ならねぇんだ。女房とガキを殺されたんだからな。聖のこともあるが、オレがここに来たのはそれだけじゃあねぇんだぜ」

 そう言うと、正弘はこわい笑みを浮かべた。

「上野の地回り天黄組は、この度、関東連合青菱会と盃固めをした! よって、裏で橋本会と通じようとしていた元組長・・・肥後竜真は背信行為によって天黄組から破門する!! 」

「っな――? 」

 青菱会は、関東広域を統括する指定暴力団の名である。

 竜真は、元々その一角を崩すべく、関西連合の橋本会と通じようとしたのだが。

「あんた――正気か? 」

「ああ、もちろん。オレもまだまだ五十になったばかりだからな。引退するにゃあ早ぇって、誘われたのさ」

 関東最大の大組織の傘下へ入れば、それだけしがらみが増える。

 かせが嵌められる。

 決して良い事ばかりではない。

 これまでのように、上野の地頭として、悠々と立ち回る事などできなくなる。

「……」

「分かったな? てめぇは破門だ。だが、これまで天黄に支えてくれたことは考慮してやるぜ。おめぇに付いて行くって忠義モンがいたら、そいつらを連れて橋本会に行くがいいさ。今回ばかりは見逃してやろうじゃねぇか」

 それは否とは言わせない、最後通告だった。

 竜真は無念そうに表情を歪めるが、それも一瞬。

 こうなったら、あの橋本会の幹部東堂三郎を最大限利用して、向こうの組織へ好条件で移らねばならない。それしか、もう、竜真の生きる道はない。

 だが、それを制するように、正弘は鋭く言い捨てる。

「聖は、元々オレんとこで盃事をするはずだったんだ。だが、おめぇに預けた方があいつのこれからの為になると思って奉公に出した。それが、このザマだ。あいつは返ぇしてもらうぜ」

「うっ――わ、分かった……」

 そう釘を刺されては、もはや竜真には何も言い返せない。

(仕方ねぇ。東堂には、聖の事は諦めてもらうしかない。とりあえず、この急転直下の展開に対抗するには――)

 そこで、思考が止まった。

 竜真の胸に、大穴が空いたからだ。

 同時に、発砲音が重なる。

「親分っ! 」



 絶叫と、衝撃が起こった。


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