13 / 34
13
しおりを挟む
あー…… 花が可哀想に。
あれ一つ作るにも仕立屋の手間がかかるのですよ。
材料は絹地の端切れであったとしても、綺麗に組み合わせるのは難しいのですから。
私が出て行くきっかけになった取り付けの時だって、いちいちあの一つ一つを汚さない様に気をつけながらなんですから。
もし針を刺して血が出て汚したら、まず殴られたでしょうに。
ですが本人からするとあれですからね。
「お父様もっとドレスを作って! あんなぽっと出に話題をさらわれるなんてあんまりよ!」
「うん、まあそれはそうかもしれんが、一体それは何処のどういう令嬢だったんだ? 踊っていたなら、その相手は?」
「ん? えー…… と…… 」
アリシアは首を傾げます。
まあギルバート様は普段夜会に出ないと言うし、私など言わずもがなでしょう。
「そうそう出てくることのない令嬢…… もしかしたら、好みの高級娼婦を着飾らせただけかもしれないじゃないか。それとデビューしたばかりの初々しいお前を一緒にしてはいけないよ!」
「そ、そうねお父様! 若さと美しさが私にはあるんですもの!」
「そうよ貴女はこれからよ。ねえ貴方、だから新しいドレスは仕立ててやりましょうよ。あと何着か」
「む、しかし……」
「いけないとおっしゃるの~?」
くいくい、としなを作りつつロゼマリアは父に迫ります。
「そ、そうだな…… 判ったよ」
呆れた。
ドレス一枚どれだけかかると思ってるんですか。
夜会用なんて特に。
……でも、新調するというなら、それなりにちょっと思うことはあります。
あとは……
ちょっと移動しましょうか。
この天井裏は、膝での移動か、膝を曲げて歩くか、くらいの高さがあります。
小さな頃でしたら、本当に立って歩けたくらいでした。
そのまま天井裏から一階上の天井裏へとつながる梯子を上ると、今度はそれぞれの部屋を見下ろせる位置に出ます。
この階には、父とロゼマリアとアリシアの私室と、夫婦の寝室があります。
灯りは点いています。
このそれぞれの部屋を見下ろすことができるのぞき窓は幾つかあるのですが、そこからできることは果たして。
寝ている父の顔の上に何か書いてやりたい、という気持ちにもさせられますが、残念ながら天蓋がありますので、それは無理です。
しかし顔を何とかするというのはなかなか面白そうです。
ふむ。
この位置からでしたら、ちょっと思いつくことがあります。
よし、ととりあえず私は移動することにしました。
目的地は、薬の部屋です。
あれ一つ作るにも仕立屋の手間がかかるのですよ。
材料は絹地の端切れであったとしても、綺麗に組み合わせるのは難しいのですから。
私が出て行くきっかけになった取り付けの時だって、いちいちあの一つ一つを汚さない様に気をつけながらなんですから。
もし針を刺して血が出て汚したら、まず殴られたでしょうに。
ですが本人からするとあれですからね。
「お父様もっとドレスを作って! あんなぽっと出に話題をさらわれるなんてあんまりよ!」
「うん、まあそれはそうかもしれんが、一体それは何処のどういう令嬢だったんだ? 踊っていたなら、その相手は?」
「ん? えー…… と…… 」
アリシアは首を傾げます。
まあギルバート様は普段夜会に出ないと言うし、私など言わずもがなでしょう。
「そうそう出てくることのない令嬢…… もしかしたら、好みの高級娼婦を着飾らせただけかもしれないじゃないか。それとデビューしたばかりの初々しいお前を一緒にしてはいけないよ!」
「そ、そうねお父様! 若さと美しさが私にはあるんですもの!」
「そうよ貴女はこれからよ。ねえ貴方、だから新しいドレスは仕立ててやりましょうよ。あと何着か」
「む、しかし……」
「いけないとおっしゃるの~?」
くいくい、としなを作りつつロゼマリアは父に迫ります。
「そ、そうだな…… 判ったよ」
呆れた。
ドレス一枚どれだけかかると思ってるんですか。
夜会用なんて特に。
……でも、新調するというなら、それなりにちょっと思うことはあります。
あとは……
ちょっと移動しましょうか。
この天井裏は、膝での移動か、膝を曲げて歩くか、くらいの高さがあります。
小さな頃でしたら、本当に立って歩けたくらいでした。
そのまま天井裏から一階上の天井裏へとつながる梯子を上ると、今度はそれぞれの部屋を見下ろせる位置に出ます。
この階には、父とロゼマリアとアリシアの私室と、夫婦の寝室があります。
灯りは点いています。
このそれぞれの部屋を見下ろすことができるのぞき窓は幾つかあるのですが、そこからできることは果たして。
寝ている父の顔の上に何か書いてやりたい、という気持ちにもさせられますが、残念ながら天蓋がありますので、それは無理です。
しかし顔を何とかするというのはなかなか面白そうです。
ふむ。
この位置からでしたら、ちょっと思いつくことがあります。
よし、ととりあえず私は移動することにしました。
目的地は、薬の部屋です。
132
あなたにおすすめの小説
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
【完結】傲慢にも程がある~淑女は愛と誇りを賭けて勘違い夫に復讐する~
Ao
恋愛
由緒ある伯爵家の令嬢エレノアは、愛する夫アルベールと結婚して三年。幸せな日々を送る彼女だったが、ある日、夫に長年の愛人セシルがいることを知ってしまう。
さらに、アルベールは自身が伯爵位を継いだことで傲慢になり、愛人を邸宅に迎え入れ、エレノアの部屋を与える暴挙に出る。
挙句の果てに、エレノアには「お飾り」として伯爵家の実務をこなさせ、愛人のセシルを実質の伯爵夫人として扱おうとする始末。
深い悲しみと激しい屈辱に震えるエレノアだが、淑女としての誇りが彼女を立ち上がらせる。
彼女は社交界での人脈と、持ち前の知略を駆使し、アルベールとセシルを追い詰める貴族らしい復讐を誓うのであった。
殿下、妃殿下。貴方がたに言われた通り、前世の怨みを晴らしに来ましたよ
柚木ゆず
恋愛
「そんなに許せないのなら、復讐しに来るといいですわ。来世で」
「その日を楽しみに待っているぞ、はははははははははっ!」
濡れ衣をかけられ婚約者ヴィクトルと共に処刑されてしまった、ミリヤ・アリネス。
やがてミリヤは伯爵家令嬢サーヤとして生まれ変わり、自分達を嵌めた2人への復讐を始めるのでした。
とある侯爵令息の婚約と結婚
ふじよし
恋愛
ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。
今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……
魔の森に捨てられた伯爵令嬢は、幸福になって復讐を果たす
三谷朱花
恋愛
ルーナ・メソフィスは、あの冷たく悲しい日のことを忘れはしない。
ルーナの信じてきた世界そのものが否定された日。
伯爵令嬢としての身分も、温かい我が家も奪われた。そして信じていた人たちも、それが幻想だったのだと知った。
そして、告げられた両親の死の真相。
家督を継ぐために父の異母弟である叔父が、両親の死に関わっていた。そして、メソフィス家の財産を独占するために、ルーナの存在を不要とした。
絶望しかなかった。
涙すら出なかった。人間は本当の絶望の前では涙がでないのだとルーナは初めて知った。
雪が積もる冷たい森の中で、この命が果ててしまった方がよほど幸福だとすら感じていた。
そもそも魔の森と呼ばれ恐れられている森だ。誰の助けも期待はできないし、ここに放置した人間たちは、見たこともない魔獣にルーナが食い殺されるのを期待していた。
ルーナは死を待つしか他になかった。
途切れそうになる意識の中で、ルーナは温かい温もりに包まれた夢を見ていた。
そして、ルーナがその温もりを感じた日。
ルーナ・メソフィス伯爵令嬢は亡くなったと公式に発表された。
はずれのわたしで、ごめんなさい。
ふまさ
恋愛
姉のベティは、学園でも有名になるほど綺麗で聡明な当たりのマイヤー伯爵令嬢。妹のアリシアは、ガリで陰気なはずれのマイヤー伯爵令嬢。そう学園のみなが陰であだ名していることは、アリシアも承知していた。傷付きはするが、もう慣れた。いちいち泣いてもいられない。
婚約者のマイクも、アリシアのことを幽霊のようだの暗いだのと陰口をたたいている。マイクは伯爵家の令息だが、家は没落の危機だと聞く。嫁の貰い手がないと家の名に傷がつくという理由で、アリシアの父親は持参金を多めに出すという条件でマイクとの婚約を成立させた。いわば政略結婚だ。
こんなわたしと結婚なんて、気の毒に。と、逆にマイクに同情するアリシア。
そんな諦めにも似たアリシアの日常を壊し、救ってくれたのは──。
完 これが何か、お分かりになりますか?〜リスカ令嬢の華麗なる復讐劇〜
水鳥楓椛
恋愛
バージンロード、それは花嫁が通る美しき華道。
しかし、本日行われる王太子夫妻の結婚式は、どうやら少し異なっている様子。
「ジュリアンヌ・ネモフィエラ!王太子妃にあるまじき陰湿な女め!今この瞬間を以て、僕、いいや、王太子レアンドル・ハイリーの名に誓い、貴様との婚約を破棄する!!」
不穏な言葉から始まる結婚式の行き着く先は———?
妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。
昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。
しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。
両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。
「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」
父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた
ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。
だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる