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衝撃
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セドリックは、賢吾に対して急に距離をつめるのではなく、ちょっとずつ近づいて行くことにした。
まずは、賢吾が疲れてそうなタイミングで、お茶の差し入れをすることにした。
15時ごろ、セドリックは、お盆に紅茶をのせて、賢吾の部屋に近づいた。
「入りなさい」
そう告げられ入ると、賢吾は、読んでいた本から顔をあげた。
「お疲れ様です、先生」
「体調の方は、どうですか?」
「おかげさまで、すごく調子がいいです。よかったら、紅茶を飲んでください。お疲れでしょう」
「ありがとうございます」
賢吾は、セドリックから渡された紅茶を飲みだした。紅茶は、ダージリンで、レモンとはちみつが入っていて、飲むと元気が出るだろう。
「先生。本当にありがとうございました。先生のおかげで、命が助かりました」
「どういたしまして」
「体調がよくなって、父親と兄からも祝福されました」
「そうか……」
セドリックから家族の話を聞いた賢吾は、日本にいる家族のことを思い出す。
日本では、両親と賢吾と弟の4人家族だった。しかし、両親は賢吾のことをあまりかわいく思っていなかった。理由もなく嫌われていた……とかではなく、その原因は、賢吾の性格にあったのだ。
例えば、母親に向かって『母さん、最近太ったね。肥満は、痛風、関節障害、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、がん、糖尿病、高血圧とかになりやすいから、あと20キロは痩せた方がいい』と言ったり、父親に向かって『父さんは、老けてきたね。スタンフォード大学の研究では、44歳と60歳で体内の分子レベルで劇的な変化が起こり、この時期に特に老化が加速するらしい。父さんは、ちょうど44歳だからちょうど老化が進む時期だ』と言ったりしていたのだ。
両親は、意地悪な姑みたいなことを言っている賢吾にうんざりして、弟ばかりかわいがっていた。賢吾も通学の効率性を求めて大学に入ると同時に、家を出た。両親は、賢吾がいなくなり、しばらく落ち込むかもしれないが、弟じゃなくてよかったと安心しているだろう。
「何か俺にできることは、ありませんか。先生の役に立ちたいんです」
「…...思いついたら言いますね」
賢吾は、とにかく手術がしたかった。手術がしたくて、右手が無意識にうずいてしまうくらいだった。けれども、セドリックをもう一度手術するわけにはいかない。
手頃な死体とか、外科手術を要する患者とかが欲しかったが、トムから怪しげな噂が立っているためしばらく大人しくするように言われていたのだ。
紅茶を飲み終わり、お盆に乗せ終わると、セドリックが上目遣いで聞いてきた。
「あの……。先生は、どういう人が好きなんですか」
彼の頬は、ほんのりと赤くなっていた。
「そうだな......」
賢吾は、顎に手を当てながら、彼女のことを思い出す。
日本で賢吾は、愛華のことを誰よりも大事にしていた。愛華は、何も言わず賢吾の傍にいてくれた。そして、賢吾に大切な医学の知識を教えてくれた。引き締まった完璧なボディ、つぶらな瞳、肉付きのいい体……。愛華がいたから、賢吾は医者になることができたのだ。
そう人体模型の愛華のことを賢吾は、大切に思っていた。
「うーん。自分の皮膚をはがして筋肉のつき方を見せてくれる人が好きです」
「っ……!!!」
セドリックは、恐怖のあまり絶句してお盆ごと紅茶のカップを床に落とした。
まずは、賢吾が疲れてそうなタイミングで、お茶の差し入れをすることにした。
15時ごろ、セドリックは、お盆に紅茶をのせて、賢吾の部屋に近づいた。
「入りなさい」
そう告げられ入ると、賢吾は、読んでいた本から顔をあげた。
「お疲れ様です、先生」
「体調の方は、どうですか?」
「おかげさまで、すごく調子がいいです。よかったら、紅茶を飲んでください。お疲れでしょう」
「ありがとうございます」
賢吾は、セドリックから渡された紅茶を飲みだした。紅茶は、ダージリンで、レモンとはちみつが入っていて、飲むと元気が出るだろう。
「先生。本当にありがとうございました。先生のおかげで、命が助かりました」
「どういたしまして」
「体調がよくなって、父親と兄からも祝福されました」
「そうか……」
セドリックから家族の話を聞いた賢吾は、日本にいる家族のことを思い出す。
日本では、両親と賢吾と弟の4人家族だった。しかし、両親は賢吾のことをあまりかわいく思っていなかった。理由もなく嫌われていた……とかではなく、その原因は、賢吾の性格にあったのだ。
例えば、母親に向かって『母さん、最近太ったね。肥満は、痛風、関節障害、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、がん、糖尿病、高血圧とかになりやすいから、あと20キロは痩せた方がいい』と言ったり、父親に向かって『父さんは、老けてきたね。スタンフォード大学の研究では、44歳と60歳で体内の分子レベルで劇的な変化が起こり、この時期に特に老化が加速するらしい。父さんは、ちょうど44歳だからちょうど老化が進む時期だ』と言ったりしていたのだ。
両親は、意地悪な姑みたいなことを言っている賢吾にうんざりして、弟ばかりかわいがっていた。賢吾も通学の効率性を求めて大学に入ると同時に、家を出た。両親は、賢吾がいなくなり、しばらく落ち込むかもしれないが、弟じゃなくてよかったと安心しているだろう。
「何か俺にできることは、ありませんか。先生の役に立ちたいんです」
「…...思いついたら言いますね」
賢吾は、とにかく手術がしたかった。手術がしたくて、右手が無意識にうずいてしまうくらいだった。けれども、セドリックをもう一度手術するわけにはいかない。
手頃な死体とか、外科手術を要する患者とかが欲しかったが、トムから怪しげな噂が立っているためしばらく大人しくするように言われていたのだ。
紅茶を飲み終わり、お盆に乗せ終わると、セドリックが上目遣いで聞いてきた。
「あの……。先生は、どういう人が好きなんですか」
彼の頬は、ほんのりと赤くなっていた。
「そうだな......」
賢吾は、顎に手を当てながら、彼女のことを思い出す。
日本で賢吾は、愛華のことを誰よりも大事にしていた。愛華は、何も言わず賢吾の傍にいてくれた。そして、賢吾に大切な医学の知識を教えてくれた。引き締まった完璧なボディ、つぶらな瞳、肉付きのいい体……。愛華がいたから、賢吾は医者になることができたのだ。
そう人体模型の愛華のことを賢吾は、大切に思っていた。
「うーん。自分の皮膚をはがして筋肉のつき方を見せてくれる人が好きです」
「っ……!!!」
セドリックは、恐怖のあまり絶句してお盆ごと紅茶のカップを床に落とした。
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