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16 私のことは嫌いですか?
しおりを挟む翼はご機嫌だった。
だって敵だと思っていたジオーネルは、弓弦君だったのだ。
だったら思いっきり貶めてもいいと思った。
向こうに置いて来た蒼矢は弓弦君が拾えばいい。
僕たちの後ろをトボトボと歩いてくるジオーネルの姿は、翼から見たら貧相な不細工だった。
弓弦とジオーネルがそっくりだと以前揶揄いはしたが、まさか同一人物になっていようとは思わなかった。
やけに邪魔が出来たのも教えたゲームをこっそりやっていたのだろう。
教えなければ良かった。
いや、教えていたからこそ敵が弓弦君になったのかも知れない。
本物のジオーネルだったらもっと狡猾に攻撃されていた可能性がある。
別の道から緑の泰子達がやって来た。
ジェセーゼはジオーネルの側に駆け寄り何か話しかけている。
緑の泰子は金の泰子と僕達を見て怪訝な顔をした。
「一緒だったのか?」
「ああ、翼に助けてもらったんだ。空の精霊に危うく取り込まれるところだった。」
「空の精霊に?」
「翼はこの天霊花綾になくてはならない存在だ。」
「?」
怪訝な顔のまま緑の泰子はジェセーゼ達の方へ行ってしまった。
最初のイベントで邪魔されて躓いたせいか、緑の泰子が僕に好意を見せる事は無い。
ほんと、冴えない人間のくせに忌々しい。そばかす顔を思い浮かべて毒づく。
でも良いんだ。
一推しの金の泰子が手に入った。
金の泰子と僕が番えれば、落ちるのはジオーネルこと弓弦君だ。
そしたらこの緩い世界を堪能しよう。
手始めに金の泰子を完全に僕のモノにしないと。
最初は思いっきり僕を見させる為に一本飲ませてしまったが、ちゃんと意識を保つ為に少しずつ飲ませよう。
本当に僕を心から好きになって貰わないと。
「はい、金の泰子!」
お茶を飲む度に少しずつ霊薬虹色の恋花を入れていく。
「金の泰子、だーい好き!」
ぎゅうっと抱きしめる。
金の髪に指を入れると、泰子の顔が近付きキスをした。
最初のイベントで月夜にキスをした時、子供の戯れだと思われた。
笑って部屋で寝なさいと子供扱いされたのだ。
でも今は深く深く舌を絡める。
涎を混ぜ合わせグチュグチュと音を立ててお互いにゴクリと飲む。
金の泰子の眼が輝き興奮しているのが分かった。
この世界の人間は淡白で童貞処女が殆どらしい。
だからきっと金の泰子も童貞だろうけど、僕の好きなように覚えて貰おう。
金の泰子の部屋で泰子の服を寛げていく。
現れるのは鍛えられた身体。
翼の好みは細身でもちゃんと鍛えられた筋肉の乗った身体だった。
鍛えすぎて赤の泰子の様に太いのは嫌だった。
ちゅうちゅうと泰子の肌に吸い付きながら、下着も全部脱がせてしまう。
うふふふ。
笑いが止まらない。
だって本当に自分好み。
自分もさっさと脱いで裸になり、金の泰子に覆い被さる。
「さあ、僕の言う通りに覚えるんだよ?」
キスの仕方、乳首の攻め方、陰茎の触り方。全部僕の言う通りやるんだ。
好きなとこを言われた通り触る金の泰子へ、よしよしとご褒美をやる。
「うーん、おっきい~。」
咥えた陰茎を飴のようにしゃぶり、先走りをちゅうと吸った。
呻いて眦を赤く染め、ギラギラと瞳をギラつかせる金の泰子に興奮する。
これからぜーんぶ僕のもの。
そう思うと興奮した。
後孔は毎日青の泰子と遊んでいたので、問題ない。
指で広げて金の泰子の熱い肉棒を入れていった。
「あ~~~、はぁはぁ……あ、あ、あっ。」
自分で動いて気持ちいいところに擦り付ける。
前立腺をコリコリと引っ掻き短い悲鳴を上げ、泰子の乳首を同じリズムでカリカリと引っ掻いた。
体重を乗せてグポッ行けるとこまで全てを飲み込めば、奥の奥まで届く長さに全身を震わせた。
「あああぁ~~~ぃぃ~~ねぇ……、下から突いてよっ……いっぱい、うぁ…気持ちよくして?」
翼の要求に僕のように言う事を聞く泰子。
ズブズブと動き激しく突く棒に、翼は悶えた。
青の泰子は言う事を聞き過ぎて自由に動かなくなった。
でも金の泰子は自分の欲求が出ているのか激しく突いてくる。
僕の意思ではなく、金の泰子が自ら求めてやるのだ。それがいい………!
手を伸ばすと身体を起こして抱き締めてくれる。
より深く繋がる部分をグリグリと動かせば、金の泰子の美しい顔が堪らないと苦しげに歪んだ。
それでも綺麗な顔だ。
この美しい顔が身体が全部僕のモノだと思うと興奮が止まらない。
後は弓弦君を招霊門から落とすシナリオを進めてあげよう。
翼は顔を歪めて笑った。
クスクスと言う笑い声に、耳を塞ぎたくなった。
ああ、また…………。
あの日から金の泰子は翼しか見ない。
ベッタリと引っ付いていた青の泰子は微笑ましいものを見る様に、側に控えている。なんなら二人の下僕の様だ。
明らかにおかしい二人の泰子に、周囲の人間は困惑した。
「気持ち悪い。」
元々好感度がなかった金の泰子の評価が、更に降下したらしいジェセーゼ兄上は、顔を顰めて言い放った。
「貴方にそんな事言われる筋合いは有りません。」
翼は堂々と言い放つ。
私は睨み合う二人をオロオロと見守っていた。
兄上は私の為に怒っている。
だから止めないと、と思いジェセーゼ兄上の袖を引っ張った。
兄上の小さな身体が猫の様に逆立っている。
「もう少し場所を選んでは?」
「選んだら構わないんだ。」
翼の目が三日月の様に笑う。
金の泰子が立ち上がった。
「翼を悪く言うのはやめないか。白家の子息ともあろう者が、黒の巫女を蔑ろにするのは看過出来ない。」
ゲームのシナリオにこんなセリフがあった気がする。
ジェセーゼ兄上は言われてないけど、本来これはジオーネルが言われる言葉だ。
同じ白家の子供だからおかしくは無いけど。
金泰家から見たら白家は格下だ。
逆らう事は出来ない。
この天霊花綾の世界は犯罪イコール落人決定だ。
優しい兄上を招霊門から落とすわけにはいかない。
代わりに私が前に出る。
「例え黒の巫女と言えども、礼儀は守らねばならないのでは?」
「貴様は事あるごとに翼を蔑む発言ばかりするのだな。以前にも言ったはずだ。次何か有れば招霊門から落ちるのは貴様だと。」
ジェセーゼ兄上が怒りで毛を逆立てているのが分かったが、なんとか背中で押さえ付けて一歩下がる。
ここで兄上を犠牲にする訳にはいかない。
ジェセーゼ兄上は緑の泰子と幸せになって欲しい。
「金の泰子はもう少し周りを見るべきです。」
きっともう金の泰子が私の事を銀玲だと気付く日はない。銀玲はそのうちこの世界から気付かれることなく消えてしまう。
「ジオーネル様!失礼ですよ?私にも金の泰子にも謝って下さい!」
翼が可愛らしく怒ってみせる。
金の泰子は庇ってくれた黒の巫女を愛おし気に見つめた。
あんな眼差しを私も貰っていた。
銀玲の時だけだったけど、ベール越しにだったけど、歌を褒めて綺麗だと言ってくれた。
霊薬を飲んだ金の泰子は銀玲を褒めた事を覚えているだろうか?
自分は翼にまた好きな人を盗られたのだ。
諦めた顔をしたジオーネルをジェセーゼは心配で見つめた。
「私は真面目で優しい貴方のことが好きだったのです。金の泰子は私の事を嫌いですか?」
金の泰子の表情が一瞬ピクリと動く。
何を突然言い出したんだとでも言うげに。
「私が貴様に好意を抱く訳ないだろう?」
知ってはいても心が凍りつく。
そうですよね、と言って立ち去ると、ジェセーゼ兄上が後ろから付いて来てくれていた。
うふふふ、クスクスと感高く聞こえる翼の笑い声が何時迄も耳に残る。
顔が醜くても、本当は鬱陶しいジオーネルでも、私が銀玲なのだと言えば良かったのか。
拒否されたとしても、めげずに頑張れば良かったのか。
ゲイだと気付いて身を縮こませていた弓弦と自分は何も変わらない。
負けてまたすごすごと退場しなければならないのか。
「すみません、ジェセーゼ兄上。せっかく頑張れと言って下さったのに、何も頑張れませんでした。」
兄上は私よりも泣きそうな顔をしていた。
「まだっ選霊の儀は終わってない!」
ええ、そうですね、と笑う。
せめてこの人が私の存在を苦い思い出にしない様に。
選霊の儀の前に最後のイベントがある。
ゲームの通りなら誰か泰子の好感度がMAXになると進むルートになる。
狂った銀の精霊王を復活させ、この世界を混乱に貶めたジオーネルは招霊門から落とされる。
ほぼ落ちるのが決定したも同然の状況に笑うしかない。
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