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第三章
異世界で噂の
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結界が張られているので通常は入ってこられない。ということは、リルが結界を張った際、許した人物ということになる。
「ルッツ様、アミル様、ロンズさんの誰か。もしくは全員」
結界に引っかかって追い出された人間はいないので、多くても三人だ。知らないわけではないので、そのくらいなら構わない。これもスローライフのイベントの一つだと思えば楽しい。買い物という一大イベントを終了させたリルは少々楽観視していた。
「ええと、誰だろう」
目を強化して結界付近を探す。しばらく森の中を探していると、男性二人の頭が見えた。ルッツとロンズだ。
「何か用事があるってことだよね」
登山する二人を観察していたら、ふいにロンズが上を向き会釈した。
「わ!」
思わず強化魔法を解除する。まるで、こちらが見ていることに気が付いているようだった。まだドキドキしている胸元を押さえる。
「びっくりした……もしかして、ロンズさんも魔法が使えるとか?」
サイ曰く、魔法の才を持つ人間は少なく、十人に一人いるかいないからしい。その中で優秀な魔法士になれるのはごく僅か。たいていの人間は魔法が少し使える程度で、日常生活に便利で終わると言っていた。
だから、王宮魔法士というのは大変重宝され、オトラ国でなくとも報酬はかなり高い。だからこそ、迷子の子どもの就職先としてサイが勧めたのだ。
三十分近くしてルッツたちがリルを訪ねてきた。
「いや、しばらく。私がいなくてつまらなかっただろう」
「どうも、こんにちは。静かで良い日々でしたよ」
「そうかそうか」
気にすることなくルッツが笑う。しかし、その表情も二秒で崩壊した。
「う……ッうッ」
「え、ど、どうし」
ルッツが暗い表情をするとは、普段の彼を知るリルにとっては一大事だった。またキース軍が襲ってきたのか。しかし、戦い後に大きな魔力を検知したことはない。困ってロンズを向くと、彼はそっぽを向いて半笑いしていた。
「とりあえず、泣かないでください」
「泣いてはいない。一国の代表が泣いてはならないのだ」
「じゃあ、そのなんか気になる呻き声どうにかしてください」
「呻いてもいない」
会話はしているが、やはり覇気は無い。ロンズはまだそっぽを向いている。二人を家の中に招き、それぞれ椅子に座った。
「ここに来た理由を説明していただけますか?」
「それが、その」
いつもの勢いは影を潜め、借りてきた猫のように体を縮こまらせている。上背があるので余計におかしな光景だ。困りながらも続きを待っていたら、また結界に触れる者がいた。
「アミル様が来たみたいです」
迷わず結界に触れることができるのはアミルくらいだ。リルが立ち上がると、ルッツの顔がさらに曇った。
「お一人では大変だと思うので、迎えに行ってきます。少々お待ちください」
「恐れ入ります」
ロンズが家の外まで見送る。二人なら留守番をさせても何かを盗られる心配はない。急ぎなので今回はチョコも留守番だ。リルは急いで飛んでいき、アミルに断りを入れてお姫様抱っこをして家に戻った。
「すみません。女性の力では重いでしょうに」
「平気です。アミル様の方が軽いと思いますし、飛べば重力を感じませんから」
アミルもいつもよりは声が小さいが、ルッツ程ではない。二人で中に入ると、ルッツが深々とお辞儀をして出迎えてくれた。
「アミル皇女を安全にお守りくださり恐縮です」
「そんなたいしたことはしていません」
アミルの分のお茶も出し、先ほどの状況に戻る。
「もう、お兄様ったらまだ伝えてないのね。では、私からいきますわ」
「いや、私が」
「リルさん。実は婚約者を決めるお茶会が開かれることになってしまって」
「ああッ」
先を越されたルッツが伸ばした手を力なく下げる。
「いいじゃないですか」
「私はまだ決めたくないのです。十六になったばかりで」
リルがルッツに顔を向ける。
「もしかして、ルッツ様も同じような話題だったりしますか?」
「まあ、そのなんだ。そうだ」
「いえ、婚約者は十六までに決まっていましたよ。昨日までですけど」
「えっと、それはつまり、婚約破棄」
「言わないでくれ!」
「ルッツ様、アミル様、ロンズさんの誰か。もしくは全員」
結界に引っかかって追い出された人間はいないので、多くても三人だ。知らないわけではないので、そのくらいなら構わない。これもスローライフのイベントの一つだと思えば楽しい。買い物という一大イベントを終了させたリルは少々楽観視していた。
「ええと、誰だろう」
目を強化して結界付近を探す。しばらく森の中を探していると、男性二人の頭が見えた。ルッツとロンズだ。
「何か用事があるってことだよね」
登山する二人を観察していたら、ふいにロンズが上を向き会釈した。
「わ!」
思わず強化魔法を解除する。まるで、こちらが見ていることに気が付いているようだった。まだドキドキしている胸元を押さえる。
「びっくりした……もしかして、ロンズさんも魔法が使えるとか?」
サイ曰く、魔法の才を持つ人間は少なく、十人に一人いるかいないからしい。その中で優秀な魔法士になれるのはごく僅か。たいていの人間は魔法が少し使える程度で、日常生活に便利で終わると言っていた。
だから、王宮魔法士というのは大変重宝され、オトラ国でなくとも報酬はかなり高い。だからこそ、迷子の子どもの就職先としてサイが勧めたのだ。
三十分近くしてルッツたちがリルを訪ねてきた。
「いや、しばらく。私がいなくてつまらなかっただろう」
「どうも、こんにちは。静かで良い日々でしたよ」
「そうかそうか」
気にすることなくルッツが笑う。しかし、その表情も二秒で崩壊した。
「う……ッうッ」
「え、ど、どうし」
ルッツが暗い表情をするとは、普段の彼を知るリルにとっては一大事だった。またキース軍が襲ってきたのか。しかし、戦い後に大きな魔力を検知したことはない。困ってロンズを向くと、彼はそっぽを向いて半笑いしていた。
「とりあえず、泣かないでください」
「泣いてはいない。一国の代表が泣いてはならないのだ」
「じゃあ、そのなんか気になる呻き声どうにかしてください」
「呻いてもいない」
会話はしているが、やはり覇気は無い。ロンズはまだそっぽを向いている。二人を家の中に招き、それぞれ椅子に座った。
「ここに来た理由を説明していただけますか?」
「それが、その」
いつもの勢いは影を潜め、借りてきた猫のように体を縮こまらせている。上背があるので余計におかしな光景だ。困りながらも続きを待っていたら、また結界に触れる者がいた。
「アミル様が来たみたいです」
迷わず結界に触れることができるのはアミルくらいだ。リルが立ち上がると、ルッツの顔がさらに曇った。
「お一人では大変だと思うので、迎えに行ってきます。少々お待ちください」
「恐れ入ります」
ロンズが家の外まで見送る。二人なら留守番をさせても何かを盗られる心配はない。急ぎなので今回はチョコも留守番だ。リルは急いで飛んでいき、アミルに断りを入れてお姫様抱っこをして家に戻った。
「すみません。女性の力では重いでしょうに」
「平気です。アミル様の方が軽いと思いますし、飛べば重力を感じませんから」
アミルもいつもよりは声が小さいが、ルッツ程ではない。二人で中に入ると、ルッツが深々とお辞儀をして出迎えてくれた。
「アミル皇女を安全にお守りくださり恐縮です」
「そんなたいしたことはしていません」
アミルの分のお茶も出し、先ほどの状況に戻る。
「もう、お兄様ったらまだ伝えてないのね。では、私からいきますわ」
「いや、私が」
「リルさん。実は婚約者を決めるお茶会が開かれることになってしまって」
「ああッ」
先を越されたルッツが伸ばした手を力なく下げる。
「いいじゃないですか」
「私はまだ決めたくないのです。十六になったばかりで」
リルがルッツに顔を向ける。
「もしかして、ルッツ様も同じような話題だったりしますか?」
「まあ、そのなんだ。そうだ」
「いえ、婚約者は十六までに決まっていましたよ。昨日までですけど」
「えっと、それはつまり、婚約破棄」
「言わないでくれ!」
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