貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

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第四章

小さな目標

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 今日の夜はコウ肉の巨大ステーキにした。しっかり手を合わせて頂く。チョコも大喜びだ。魚を好まないため普段はリルの魔力をもらっているが、コウ肉は別らしい。

「これは五百グラムくらいありそう」

 欲張って食べきれない程の大きさにしてしまったが、今日は沢山働いたので二十分で完食した。明日はみっちり運動しようと思った。

 食後、いつでも寝られる状態にして床をごろごろ転がる。ベッドもあるのに、こうして床にへばりつくのが堪らない。

「明日からは旅立ちの準備をしつつ、畑の調整しないとね。畑に結界を張って、その中の気候を安定させておこう」

 山にいる時は気分転換に畑の世話をしているが、結界を張っておけばリルが世話をしなくても野菜たちは成長していく。

「どこ行こうかな。どこでもいいってなると、なかなか決められないな」

 今の自分には家と別荘があり、何より時間がある。余裕があるからこその贅沢だ。無限に広がる可能性にリルはニヤニヤ笑いが止まらなかった。



 翌日、畑を見守りながらリルは地図を広げた。リルはオトラ国を出たことがなく、その中でも王都と山、カル島しか知らない。改めて考えてみると、驚くほどに引きこもり生活を送っていた。

 かと言って、これが嫌なわけではなく、一人のんびり生きるのを望んでいるのでこのままでいいと思っている。

「今後の人生をさらに面白くするために、ちょっとスパイス入れてみるのもいいよね」

 旅はそのスパイスだ。カル島は良い買い物をした。世界は広い。もっと様々な場所を見て、気持ちの良い場所にまた追加で別荘を建てるのもいい。

「小さなものでいいから、世界中にのんびりできる家を作るの、楽しいかも」

 オトラ国も思ったより広く、北方面は全く行ったことがない。

「しまったなぁ。名産品が載っている方の地図を買えばよかった」

 現世から植物をもらい野菜を育てているため、この世界の野菜にはまだ詳しくない。サイのところにいた頃は数種類の決まった野菜しか食べていなかった。名産品が書かれていたということは、それなりの種類が存在するに違いない。

「地図に見つけたものを自分で埋めていくのもいいか」

 知らないことを知っていく方が楽しいこともある。ウォルフは百年生きるらしいので、一人と一匹、まだまだたっぷり時間はある。終わりを気にせず、着の身着のまま生きていきたい。

「ふふ、おばあちゃんになるまでにこの地図がカラフルになるといいな」

 何も分からずこの世界に生まれ、何も考えずにここまで来たが、小さな目標が一つ出来た。

「じゃあ、まずオトラ国で行ったことのない地域に行ってみよう」
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