貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

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第四章

出発

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「あ、魔法陣作らないと行き来できないんだった」

 二日後、出発準備をしていたらそんなことに気が付いた。毎日寝に帰るつもりだったが、人気のある見知らぬ土地に魔法陣を作って放置しておきたくない。

「魔法陣に結界を張って、周りからは見えなくさせて、次の日家から戻ったら魔法陣は消しておく……かな。面倒だけど、このくらいはしておかないと外の世界はどれだけ危険か分からないから」

 自身の目で確認できないと不安な場所であれば、いっそそこで一泊してもいいだろう。夜にしか分からない発見があるかもしれない。

「夜行性の魔物とかも沢山いるんだろうなぁ。カル島ではいろんな魔物に会えたけど、可愛い魔物にも会ってみたい。もちろん、チョコが一番可愛いけどね」

「ギャオ!」

 チョコが背筋をピンと伸ばす。リルの横にはいつもチョコがいた。これからもそうだと信じている。種族を超えた友情がここにはある。

「さて、ここに魔法板のテレビ電話と説明書を置いておけば、ルッツ様たちが来ても分かるでしょう」

 家の前に魔法板を置く。ここには三人しか尋ねることができない。信用のおける人たちだから悪いことには利用しないだろう。ただし、プライベート空間は守りたいので、家の結界はしっかりしておく。

「念のため、防犯カメラも置いておこう」

 防犯カメラもとい魔力感知器もドア横に設置した。これは魔力を感知した時のみ発動し、発動中はカメラの役割を果たしてくれる優れものだ。魔力感知器は魔法書に載っていたので、そこにカメラの役割を付けて新しい魔法具にしてみた。

 家の中にはリルが開発した数多くの魔法具があるので、念には念を入れておく。

「おまたせ、チョコ。行こうか」
「ギャオ」

 一緒に空へ舞い上がり、まずはオトラ国の北へ向かった。

 王都の上空を抜けると、舗装された道からだんだんと荒れた道になっていく。やがて小さな町が見えた。そこを過ぎたあたりでリルが腕をさすった。

「ちょっと寒くなってきたかも。上着着よう。チョコは平気?」
「ギャオギャオ」
「そっか。チョコの毛ふわふわで暖かいもんね」

 上着を着る前にぎゅっとチョコを抱きしめる。太陽の匂いがした。夏はこれではとても暑そうだが、夏も元気に走り回っていたので平気らしい。

 サイからもらった上着を羽織る。リルが今の生活で着ている服のほとんどはサイがくれたものだ。彼女のお古だそうだが、丈夫なのか今のところ少々のほつれだけで済んでいる。

「そろそろ見えるかなぁ」

 初めての旅ということで、せっかくなので最北端を目指すことにした。カル島がかなり南に位置しているため、反対の場所をという安直な理由だ。遠くの方に家がいくつか現れた。リルは地上に下り、そこから入口の門の右側に広がる森に入っていった。
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