貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

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第四章

ドラゴン

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「ん~~よく寝た」

 両腕を伸ばして体をほぐす。目を開けて体を起こすと、結界いっぱいに魔物がこちらを覗いていた。

「うわッ」

 見たことのないドラゴンに似た魔物から見慣れたウォルフまでいる。この辺りは人が通れるような道が無いので、人間が物珍しいのかもしれない。

「私のことを食べようとしているのかな」

 チョコも初めて対峙した時は敵意を向けていた。肉食でなくとも人を襲う魔物は沢山いる。この状況は当然と言えば当然である。

「今日も少しこの辺りを見て回りたいから、とりあえずどいてもらおうか」

 リルは両手を左右に構え、結界内から外へ魔力を三百六十度に飛ばした。

「ギャオンッッ」

 驚いた魔物たちが一斉に去っていく。ドラゴンはまだ子どもなのかバタバタ慌てた様子で付近を飛び回っていた。

「ごめんね、怪我はしていないから」

 しばらくしてドラゴンが岸壁の奥に消えた。荷物を整理して結界を解く。チョコと歩き出そうとしたところで、先ほどのドラゴンが帰ってきた。親ドラゴンを連れて。

「わぁお」

 五メートル近くありそうな巨大な魔物だ。カル島の魔物より大きい。リルがチョコを撫でながらドラゴンを見つめる。

──私を敵だと認識したってことだよね。どうしようかな。

 もともと人間を襲うタイプであれば遠慮はいらない。だが、今回はリルが驚かせたことで起きた。もしも子どもを守るためだけの行動なら命は奪いたくない。

──気絶させるのがいいけど、力加減難しそう。

 今までは弱い個体か、強くても倒していいものしか戦ってこなかった。そのため、あまり怪我をさせないよう魔力を調整できるかはっきり言って自信がない。そもそも、このドラゴンがどの程度の力か分からない。

「ステータスみたいなものが見られたら簡単なんだけど」

 前世で見た異世界転生ものでは、相手のステータスを見られる主人公が登場した。あれがあれば、何かと対峙しても困ることはない。

「……作るか」

 今後の開発リストにステータス発現機(仮)を加えておく。

「とにかく、やってみるしかないね」
「ギャオッ」

 やる気のあるチョコが前足を蹴って威嚇する。リルも魔力を手のひらに集中させた。

「なるべく致命傷にならないやつだと、水、かな」
「ギャアオオオオオ!」

 考えているところに、親ドラゴンが炎を吐き出した。

「ちょうどいいや。シュエイ!」

 炎の大きさで相手の力量を測り、それを超える水魔法を繰り出して炎をかき消す。そのまま連続で水を出してドラゴンを覆う。チョコは子ドラゴンの相手をした。

 やがて息のできなくなったドラゴンが徐々に弱ってきたため、死ぬ前に水を消した。ドラゴンが力なく地面に倒れ込む。

「よし。息はしている。撃退成功だね」
「ガウッ」

 チョコがリルに抱き着く。リルはそれを全身で受け止めた。
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