貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

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番外編

チョコとソラ

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「はい、始め」

 リルの合図でチョコとソラが攻撃を始めた。今まではチョコがリルに挑む形だったが、ソラが来たことでそれも変化した。

 好奇心旺盛なソラが、リルたちの手合わせを見て自分もしたいと主張したのだ。こうして、今では二匹が手合わせするまでになった。

 まだまだチョコの方が上だが、いずれソラも立派なドラゴンに成長してチョコと対等の力を手にするだろう。リルが腕組みをして満足そうに頷く。

「チョコがソラにバレない程度に手を抜いてくれているのが助かる。本気出したらふっ飛ばしちゃうもん。チョコもお兄ちゃんだなぁ」

 実際、チョコが何歳なのかは分からない。出会った当初は若そうだったので、案外まだ大人と呼べる程ではないのかもしれない。

「ギャッ」

 上手くかわされるソラが首を左右に振った。少々いら立っているようだ。

「ちょっと休憩するよ」

 二匹に魔力補給をし、コウ肉で体力補給もした。気分転換をして、ソラも機嫌を取り戻した。どうやら、ソラはまだ生まれて一年も経っていないらしい。以前教えてもらった本にドラゴンの大きさが書かれていた。ちょっとしたことで機嫌を損ねることも致し方ない。

──私が近くで見守っていないと。

 幼児くらいの子どもを預けるとは、ドラゴン界は人間には理解しきれないことがまだあるかもしれない。

「よし、再開しようか」

 二匹とも動き足りないと体を動かしていたので、手合わせの合図を出す。リルはその横でごろんと寝転んだ。本当はこのまま寝たいところだが、何が起こるか分からないのでじっと見守る。

 始めはチョコが上手にかわし、その動きにソラがついていくといった形だったが、それが続くとある変化が起きた。ソラの体の色がうっすら赤くなってきたのだ。

──なにあれ?

 本には載っていなかった。体の色は水色か濃い青であると書かれているだけだった。リルの知識には無い情報だ。

「ギャァ~~~~~」

 ひときわ大きな声を上げると、ソラがかぱっと口を開けた。嫌な予感がする。

「待って待って、ソラッ」

 その間もソラが力を溜め、やがて喉の奥に炎が見えた。チョコが衝撃に耐えようと体の周りを魔力で覆った。

「チョコ、反応が適格で素晴らしい。じゃなくてッソラ、あの」
「ギャァ~~~~!」

 とうとう炎が放たれた。間に合わなかった。リルは二匹の間に入り、特大水魔法でその炎を消し去った。

「ふー……危うく山が消し飛ぶところだった」

 まだ幼児でもさすがはドラゴンと言ったところか。残念そうなソラにリルが近づく。

「とてもすごい能力だけど、山が燃えたら住むところが無くなっちゃうから、炎は私が言う時以外は無しにしようか」

「グゥ……」
「よしよし、いいこだね」

 分かってくれたソラを思い切り抱きしめる。そして二匹が満足いくまでリルが相手をして一日が終わった。
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