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救出編
結婚することになった今日
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「ペンバートン伯爵子息アレックス様と結婚……ですか?」
号泣するあの子を無理やり見送ってから五年後。十六歳になった私は、結婚をする時期を迎えていた。
まぁ、結婚をすること自体は問題ない。それが貴族の家に生まれたものの義務……。問題は、アレックス様が妹のキシサマであるということ。
(アレックス様の家は家格も同じで、昔から親同士の関係もあった。婚姻を結びさらに良い関係を築こう……という考えは理解できる。しかし、なぜ私が? 昔から愛嬌を振りまき信者に囲われていた妹、メアリーの方がよほど適格だ。そもそもメアリーが、自分の信者であるアレックス様を私の結婚相手にするなんてこと、許すはずがないのに……)
そう思って、お母様のそばで座っているメアリーに目をやる。
あの子は……うっすらと口角を上げていた。昔から私やウィルを陥れてきたあの子が、たまに浮かべる悪魔の微笑み……。
それで、気づいた。あぁ、おそらくアレックス様と私の婚姻をお父様に提案したのはあの子だと。
私とアレックス様が結婚して、あの子に何の利点がある? いや、あの子に利点がなくてもいいのかもしれない。あの子は、昔から私たちが幸せになるのを嫌がっていたから——。
最近、どんどん妹のキシサマ方からの攻撃が増えているのはわかっていた。昔は、私に対しては嫌味や軽微な嫌がらせ程度だったのに、ウィルが留学して以後、直接的な被害も受けるようになった。頻繁に感じる殺意、一人になった時を見計らい落ちてくる鈍器、階段などで明らかに突き落とされる感覚。
貴族の屋敷だというのに、なんて緩い警備なんだろう。最近は生きているのが奇跡なくらいだ。本当に死んだらどうするつもりだ……なんて思っていたけれど。
(やり方を変える、ということかしら。アレックス様はメアリーの信者の中でも特に面倒なタイプ。昔から嫌味がすごく多かったし、最近隠しもせず殺意を向けてきているのもおそらくアレックス様。そんなお方と結婚して一つ屋根の下なんて……生きた心地がしないわ)
思いついてしまった最悪の想像をかき消すように、にっこりと微笑んだ私は、恭しくお辞儀をした。
この家の王であるお父様のお思いのままに。逆らうことは許されない。
『もしお前が少しでも反抗したら、ウィルの留学は中断させる』
それが五年前、お父様と結んだ約束だから。そういえば、以降絶対に告げ口がないと勢いに乗った妹からの嫌がらせも増加してたんだっけ。約束がなくてもお父様達はメアリーの言うことしか信じないのに。
そういうわけで、私はアレックス様と結婚することになった。それは、おそらく新たな地獄の始まり……。だと、思っていた。
「魔法も剣も、知識も全部身につけてきたから……。今度は僕が姉様を守る」
まだこの時は気付いていなかった。逃がしたと思っていた義弟が、自力で帰国していたことに。
号泣するあの子を無理やり見送ってから五年後。十六歳になった私は、結婚をする時期を迎えていた。
まぁ、結婚をすること自体は問題ない。それが貴族の家に生まれたものの義務……。問題は、アレックス様が妹のキシサマであるということ。
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そう思って、お母様のそばで座っているメアリーに目をやる。
あの子は……うっすらと口角を上げていた。昔から私やウィルを陥れてきたあの子が、たまに浮かべる悪魔の微笑み……。
それで、気づいた。あぁ、おそらくアレックス様と私の婚姻をお父様に提案したのはあの子だと。
私とアレックス様が結婚して、あの子に何の利点がある? いや、あの子に利点がなくてもいいのかもしれない。あの子は、昔から私たちが幸せになるのを嫌がっていたから——。
最近、どんどん妹のキシサマ方からの攻撃が増えているのはわかっていた。昔は、私に対しては嫌味や軽微な嫌がらせ程度だったのに、ウィルが留学して以後、直接的な被害も受けるようになった。頻繁に感じる殺意、一人になった時を見計らい落ちてくる鈍器、階段などで明らかに突き落とされる感覚。
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(やり方を変える、ということかしら。アレックス様はメアリーの信者の中でも特に面倒なタイプ。昔から嫌味がすごく多かったし、最近隠しもせず殺意を向けてきているのもおそらくアレックス様。そんなお方と結婚して一つ屋根の下なんて……生きた心地がしないわ)
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