[完結]妹の信者達に殺されかけてましたが、逃がしたつもりだった義弟がやたらかっこよくなって帰ってきました。

雨宮ユウリ

文字の大きさ
6 / 15
救出編

ウィル視点 深夜——血と肉の舞う秘密の夜会1 ※ざまぁです 残酷描写有り 長いので二つに分けました

しおりを挟む
 適当に手配しておいた隠れ家。そのベッドに姉様を寝かして、ようやく一息つく。ぐっすり寝入っている姉様をよく見ると、所々怪我をしていたり、目の下に隈ができていて、この五年、どんな扱いを受けていたか容易に理解することができた。

 と同時に、姉様をこんな風にしたやつらに、暗く淀んだ復讐心が沸き起こる。

 あの時、姉様を眠らせたあと、適当にあのアホに向かって攻撃魔法を放って転移してきた。だけど、おそらくあいつは死んでない、いや、死なないようにした。

(あの程度で死んでもらっては困る)

 あいつには、あいつらには姉様が味わった以上の苦しみを味わってもらわないと。そのためにわざわざ生かしてあげたのだから。

 僕が急に現れて、姉様を連れ去って、アホに危害を加えたなんて、くそじじいからしたらおおごとだ。きっと、屋敷で騒ぎ立ててるはず。殺されるかもしれなくて不安、とか言ってあの女も男どもを呼び寄せるだろう。つまり、今が絶好の機会。

「ごめんね姉様。すぐ帰ってくるから」

 ちょっとゴミを掃除しに行かないといけなくて。

 隠れ家に隠蔽の魔法をかけられてるかチェックして、装備も整えないと……。あいつらを皆殺しにするために。

 だって、あいつらがいつまでも生きてたら、何をしてくるかわかったものじゃないでしょ? 姉様の障害は全部取り除かなきゃ。

 今度は僕が姉様を守るために——。








「やぁ、久しぶり」

 笑顔を作って挨拶をする。別に、返事が返ってくるとは思っていない。ぐるりと辺りを見回すけど、予定通り、屋敷の大広間に転移できたようだ。

 それと……予想通り、全員揃ってるのも確認できた。計画に狂いが出ないことに安心していると、うるさいコバエが騒ぎ出した。

「ウィル! 貴様、どうやって帰ってきた」

「ソフィーを連れ去ったのは貴方なの?」

「嫌、怖いよみんな」

「大丈夫だ、メアリー。ウィル、貴様のこのこと……!」

 なんと面白みのないことだろうか。いまだ偉そうな養い親に、上手くもない演技を続ける女——ソフィー姉様と同じく義理の姉にあたるが、姉様とは正反対の虫けらのような女だ。そんなのに騙されて騎士ごっこをしている奴らにもほとほと呆れる。

(こんな奴らのせいで、姉様があんなに苦しんでいたなんて)

 つい苛立ちを抑えきれず、即座に全員を殺したくなるけど、我慢した。殺す順番は決めてある。落ち着いて、予定通りにコトを進めないと。そう、まずは養母。

 攻撃魔法で正確に養母——グレアム伯爵夫人の胸を貫く。こいつは夫である伯爵の言いなりで、影も薄く、一番どうでもいい人間。最初に死んでもらう役としては最適だった。

 夫人は驚愕に満ちた顔を浮かべた後、何かを言おうとして、しかし何も言えず事切れる。夫人が倒れ伏してようやく奴らが静かになるかと思ったが、さらに雑音が増しただけだった。

 あぁ、やっぱりくだらない。

「おおおおお前、お前なんてことを! エマを殺すなんて……悪魔め! 養ってやった恩を忘れたか!」

 呂律の回っていない舌で何かを叫びながら、低レベルな魔法を放ってくるくそじじい、もといグレアム伯爵。これが有名な魔導騎士を輩出したグレアム家の現当主? 全く、弱すぎて話にならない。魔力が高ければなんでもいいと、平民を後継にするだけはある。

「有能な後継のために、わざわざ平民の家族皆殺しにしといて……悪魔はそっちでしょ。お前らにする感謝なんてないけど」

 とりあえず、動けないように束縛魔法をかけて、それから失血死するように……。楽に死なせたくない。本当の父さんと母さんのためにも。

 伯爵夫婦が無力化されたのを見て、ようやく薄っぺらい暴言を吐いていた騎士きどり達が静かになる。今はかっこよくオヒメサマを守るごっこ遊びでもしてるのだろうか。

「メアリー、危ないから下がっていろ」

「あいつは私たちが倒します!」

 なーんて偉そうなことを言っている。オヒメサマもわざとらしい涙を流して、じりじりと後退していた。

 ——へぇ。そういうことなら、悪者になってあげようか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!

月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、 花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。 姻族全員大騒ぎとなった

『婚約破棄ありがとうございます。自由を求めて隣国へ行ったら、有能すぎて溺愛されました』

鷹 綾
恋愛
内容紹介 王太子に「可愛げがない」という理不尽な理由で婚約破棄された公爵令嬢エヴァントラ。 涙を流して見せた彼女だったが── 内心では「これで自由よ!」と小さくガッツポーズ。 実は王国の政務の大半を支えていたのは彼女だった。 エヴァントラが去った途端、王宮は大混乱に陥り、元婚約者とその恋人は国中から総スカンに。 そんな彼女を拾ったのは、隣国の宰相補佐アイオン。 彼はエヴァントラの安全と立場を守るため、 **「恋愛感情を持たない白い結婚」**を提案する。 「干渉しない? 恋愛不要? 最高ですわ」 利害一致の契約婚が始まった……はずが、 有能すぎるエヴァントラは隣国で一気に評価され、 気づけば彼女を庇い、支え、惹かれていく男がひとり。 ――白い結婚、どこへ? 「君が笑ってくれるなら、それでいい」 不器用な宰相補佐の溺愛が、静かに始まっていた。 一方、王国では元婚約者が転落し、真実が暴かれていく――。 婚約破棄ざまぁから始まる、 天才令嬢の自由と恋と大逆転のラブストーリー! ---

奪う人たちは放っておいて私はお菓子を焼きます

タマ マコト
ファンタジー
伯爵家の次女クラリス・フォン・ブランディエは、姉ヴィオレッタと常に比較され、「控えめでいなさい」と言われ続けて育った。やがて姉の縁談を機に、母ベアトリスの価値観の中では自分が永遠に“引き立て役”でしかないと悟ったクラリスは、父が遺した領都の家を頼りに自ら家を出る。 領都の端でひとり焼き菓子を焼き始めた彼女は、午後の光が差す小さな店『午後の窓』を開く。そこへ、紅茶の香りに異様に敏感な謎の青年が現れる。名も素性も明かさぬまま、ただ菓子の味を静かに言い当てる彼との出会いが、クラリスの新しい人生をゆっくりと動かし始める。 奪い合う世界から離れ、比較されない場所で生きると決めた少女の、静かな再出発の物語。

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

婚約破棄されて自由になったので、辺境で薬師になったら最強騎士に溺愛されました

有賀冬馬
恋愛
「愛想がないから妹と結婚する」と言われ、理不尽に婚約破棄されたクラリス。 貴族のしがらみも愛想笑いもこりごりです! 失意どころか自由を手にした彼女は、辺境の地で薬師として新たな人生を始めます。 辺境で薬師として働く中で出会ったのは、強くて優しい無骨な騎士・オリヴァー。誠実で不器用な彼にどんどん惹かれていき…… 「お前が笑ってくれるなら、それだけでいい」 不器用なふたりの、やさしくて甘い恋が始まります。 彼とのあたたかい結婚生活が始まった頃、没落した元婚約者と妹が涙目で擦り寄ってきて―― 「お断りします。今さら、遅いわよ」

処理中です...