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出国編
夢と旅
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ということで、晴れてすれ違いを修正した私たちは、恋人のようにイチャイチャ……できるような状況でもなく。あの兵士はウィルが殺してくれたらしいけど、他にも兵士はいるし、あんまりのんびりもしていられなかった。
真夜中で視界が悪い中、はぐれないように手を繋ぎつつ国境を目指す。国境と言っても、関所からなるべく離れた、人気のないところが目的地だけど。
「そういえば、ムスハイム王国じゃなくて、モンテーラ共和国でいいの?」
出国計画を立てるとき、ウィルは留学をしていたムスハイム王国を経由し、遠く離れたモンテーラ共和国を目指すと言っていた。
流石に、ウィル・グレアムとして学び続けることが難しくても、ムスハイムで五年暮らして、現地に慣れ親しんでいたなら、そこで暮らしていくのが良いのではないか、と思うんだけど……。
「ムスハイムは近すぎるから。念には念を入れたほうがいいし……。あ、留学のことも、学びたいことは学んだし、未練とかないから。それに、モンテーラの方が姉様にはいいかと思って」
「私に?」
「昔、言ってたでしょ。もしあの家から自由になれたら、自然豊かな街で花屋がしたいって。あの国なら色々都合が良さそうだし」
「あ……」
ふと、昔の記憶を思い出す。昔、私たちはよく屋敷の庭にいた。屋敷の庭は広く、メアリーやそのキシサマ方に見つかりにくかったから。
そこで、庭師のおじいさんにいらない花を貰って、花冠とか作ってたんだっけ。ウィルにあげたり、並べて眺めたりして。
色とりどりで、様々な形をしている花を見るのは楽しくて、心が安らいだ。それで、『この家から自由になれたら、花屋がしたい』なんてことも言っていたのだ。
(あの家から抜け出したいっていう、空想の一部ではあったけど)
「覚えててくれたんだ……」
貴族の娘が、家から解放されることはあり得ない。だから、どれだけ願ってもそれは叶わぬ夢だった。最近はそんな夢も希望も、全部押し殺していたから、自分でも忘れていた。
(でも、せっかく自由になれたんだから、やってみたい、かも)
「ねぇ、ウィル。もしモンテーラでお店が開けたら、一緒にやってくれる?」
「当然。言われなくても、手伝うつもりだったし。それに、約束してくれたんでしょ? ずっと一緒にいるって」
「そっか、そうだよね……ありがとう」
モンテーラまでの旅路は、忌々しい思い出から、この国から逃げ出す旅じゃない。押し殺していた夢を叶えにいく旅。そんな気がして、胸が高鳴る。
——そうして、私たちは国境を超えた。
真夜中で視界が悪い中、はぐれないように手を繋ぎつつ国境を目指す。国境と言っても、関所からなるべく離れた、人気のないところが目的地だけど。
「そういえば、ムスハイム王国じゃなくて、モンテーラ共和国でいいの?」
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流石に、ウィル・グレアムとして学び続けることが難しくても、ムスハイムで五年暮らして、現地に慣れ親しんでいたなら、そこで暮らしていくのが良いのではないか、と思うんだけど……。
「ムスハイムは近すぎるから。念には念を入れたほうがいいし……。あ、留学のことも、学びたいことは学んだし、未練とかないから。それに、モンテーラの方が姉様にはいいかと思って」
「私に?」
「昔、言ってたでしょ。もしあの家から自由になれたら、自然豊かな街で花屋がしたいって。あの国なら色々都合が良さそうだし」
「あ……」
ふと、昔の記憶を思い出す。昔、私たちはよく屋敷の庭にいた。屋敷の庭は広く、メアリーやそのキシサマ方に見つかりにくかったから。
そこで、庭師のおじいさんにいらない花を貰って、花冠とか作ってたんだっけ。ウィルにあげたり、並べて眺めたりして。
色とりどりで、様々な形をしている花を見るのは楽しくて、心が安らいだ。それで、『この家から自由になれたら、花屋がしたい』なんてことも言っていたのだ。
(あの家から抜け出したいっていう、空想の一部ではあったけど)
「覚えててくれたんだ……」
貴族の娘が、家から解放されることはあり得ない。だから、どれだけ願ってもそれは叶わぬ夢だった。最近はそんな夢も希望も、全部押し殺していたから、自分でも忘れていた。
(でも、せっかく自由になれたんだから、やってみたい、かも)
「ねぇ、ウィル。もしモンテーラでお店が開けたら、一緒にやってくれる?」
「当然。言われなくても、手伝うつもりだったし。それに、約束してくれたんでしょ? ずっと一緒にいるって」
「そっか、そうだよね……ありがとう」
モンテーラまでの旅路は、忌々しい思い出から、この国から逃げ出す旅じゃない。押し殺していた夢を叶えにいく旅。そんな気がして、胸が高鳴る。
——そうして、私たちは国境を超えた。
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