悪役令嬢の面の皮~目が覚めたらケモ耳旦那さまに股がっていた件

豆丸

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聖女の別名

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「はうっ!今日も旦那さまかっこいいです~!」 

 騎士団の出入りを許可され早くも10日経過しました。私は、今日もうっとりと鍛錬中の旦那さまを観賞中です。 

 鍛錬用の刃を潰した剣を振り回す旦那さま。飛び散る汗も躍動する筋肉も、バランスを取るピーンとしたしっぽ。どれを取ってもステキです~。

「………ヴィヴィアンさん、今日も飽きもせずに来たのかい?ま~た隊長を見てんの?あんな冷たい男の何処がいいわけ?俺にはわかんないな」 
  
「あっ、こんにちはタスクさん!お邪魔してます。えへっ、私、旦那さまの冷たいところも大好物なんですよ!」  
 この人は、副団長の狐獣人のタスクさん。一際大きな狐耳と、大きな黄金色のふさふさしっぽが特徴です。             
 私が毎日騎士団に押し掛けているので副団長という立場上、必然的にお話するようになりました。 
  
 騎士団に出向くときは差し入れを持参している。その匂いに釣られ、擦り寄ってくるカンタさん以外、他の団員はまだ私に警戒していて遠巻きされている。 
 いつか仲良くなったら、耳とかしっぽをもふらせて欲しいな。 
 
「ふーん、物好きになったね……中身代わって獣人好きになったって噂本当なのかい?」 

「本当ですよっ!タスクさんの耳としっぽももふりたいぐらいです」  
 もしかしてわかってくれる? 
 私は嬉しくて極上の令嬢スマイルをタスクさんに向けた。タスクさんは意味深に私の顔を覗き込むと目を細め耳元で囁いた。 

「………本当に、獣人好きになったの、それじゃ俺とも遊んでくれるかな?」  

「は?」  

「……夫婦公認だったよね?浮気」  
 私の髪の毛を一房掴むと口許に近づけた。

「な、な、無理無理無理っ!!浮気なんて絶対ずえったいにしませんよ!私は旦那さま一筋なんです!」 
 
 拳を握り締めきっぱり言い切ると、タスクさんは「くっ…」と、笑いを堪えようとして我慢できず爆笑した。 

「あはは、冗談だよ。はーっ、ひーっ、おもしろいなぁ……シオン団長、俺たちの会話がそんなに気になるんなら、声ぐらい掛ければいいのに……」 

「き、気になどしていません」 

「澄ました顔で誤魔化そうとしても、耳と尾の毛が逆立ってますよ」 

 え?耳と尾? 

 私たちに背を向け素振りに精を出す旦那さまの耳と尾に注目すると。毛がぶわああーっと三倍ほどに膨れ上がり大きくなっていた。 
 確か、猫って緊張や威嚇の時に毛を逆立てるって聞いたことがあるけど。 
  
「そんなに心配して威嚇しなくても、シオン団長の奥さまに手を出したりしませんよ」 

「私は浮気の心配などしていませんよ………ヴィヴィアン嬢は高潔で自尊心が強い。一夫一妻を重んじるグランシア教会の規律を破るとは思えません。それに、この2年間浮気の痕跡すらありませんでしたから、今さら行うとも思えません」 
  
「へ?浮気の痕跡ってそんなのわかるんですか?」 

「結婚指輪の魔石には、外部から魔力を取り込んだ場合も色が変わる作用があるんです。内部から放出したときとまた別の色ですが」 

 外部からの魔力ってーー。浮気で中出しされてもわかると言うことですね……はい。  
 お姉さんが身持ちが固くて良かった。いくら公認浮気でもダメージ大きそうだもの。 

「ふーん、政略結婚でも奥さんのこと信頼してるんだね?良かったね、絶対しないって~浮気っ」 
 タスクさんはニヤニヤ笑顔を張り付ける。 

「信頼などしてませんよ……それより急ぎの用で来たのではありませんか?」 
 肩に手を置いたタスクさんを忌々しそうに払う。 

「おっと、そーだった。脆弱な聖女様から護衛の依頼です」 

「あの、香水女ですか?………鼻がもげます。今回もタスクにお任せしますよ」 
 不快そうに鼻を引くつかせた。 

「残念ですが、隊長ご指名です。今回は聖女任命式で王命だから拒否出来ませんよ」

「あのアバズレ、とうとう王に泣きつきましたか!」 
 旦那さま、余程イライラしているのか眉間の皺を指でトントン突き出したよ。 

 うん?脆弱な聖女、香水女、アバズレ?良い単語が一つもないけど同じ人物を差しているの? 
 
「えーと、旦那さまは誰の護衛をするですか?」

「………貴女を断罪した元婚約者、第一王子ジャスティス様の妃、ミリア・グランシア王子妃の護衛です」 

 お姉さんが婚約破棄される切っ掛けになった人物。私的には、お姉さんには悪いけど旦那さまをありがとうと言いたい! 
  
 格上公爵令嬢のいじめに健気に耐え、第一王子との真実の愛を貫いた。グランシア国内で元平民の男爵令嬢と王子の美談は本に芝居になり好評を得ている。 
  
 ちなみに、まだ王子妃なのはジャスティス王子がまだ立太子と認めとれていないから。立太子の条件は子を成せることが第一条件なんだって。つまりミリアさんが妊娠、出産するまでは容認されない。
 その昔、子種のない王子が国王に即位して跡継ぎ問題で内乱が勃発。国内が乱れに乱れたのでこの条件になったそうです。

 ふーむ。ミリアさんを癒しの術を使える清楚で貞淑な聖女候補と勝手に脳内変換してたけど、旦那さまの様子からして、もしかして違うのかな? 

 
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