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騒動の顛末① 旦那さま視点
しおりを挟むヴィヴィアンを戦闘には参加させませんが、危険のない範囲でのお迎えを許可しました。
愛する家族が家で待っているだけで騎士の精神的な支えになると説明すると納得してくれました。
疲れて眠るシリウスをヴィヴィアンの変わりに背負うと帰路に着きました。馬車のなかで、小さい手はたえずヴィヴィアンと繋がれ、少しでも離れるとぐずり泣く。そのたびに彼女はあやし続けました。
見慣れた屋敷にヴィヴィアンが安心したのか表情を緩め、獣人騎士団から報せを受けた屋敷の使用人、侍女が総出で出迎えて下さいました。
ヴィヴィアンから離れると火が付いたように泣く 小さなシリウス。抱き締めて眠るヴィヴィアンの顔は穏やかです。
残念ですが……彼女も疲れています。ジャスティン王子に触れられた場所のお清めは明日以降にしましょう。
◇◇
北の山のくぼんだ奥地のさらに先、上空からは見ることの叶わない茂みの奥に大扉はひっそりと存在しました。
フードを深く被り耳を長いマント尾を隠した獣人騎士団の精鋭は重く硬い扉を叩いた。
「………」
無言ですが中から人の動く気配。どうやら警戒しているようですね。
「第三騎士団です。頼まれていた荷物を運んで来ました」
声を掛け暫く待っていると重い扉が鈍い音をたて開いた。
「ご苦労様、扉の前に置いて帰ってくれ」
僅かに空いた隙間から押し殺した男の声。
此処で帰るわけありませんよ。
その僅かな隙間に力自慢の熊獣人アイクが丸太を差し込んだ。これで扉は閉じられません。
「何をしているんだ!?」
戸惑う声を無視し、アイクはテコの原理を使い大きく扉を開いた。
「だ、第三騎士団ではないのか?侵入者だ押し返せ!!」
「させません!」
閉じようとする扉を地面から凍らせる。凍結しびくとも動かない扉。開いた隙間から獣人騎士団が中に雪崩れ込んだ。
中は天井の高い古い採掘場だった。取り尽くされ所々凸凹していますが思ったより整備されていた。
「なんだ?山賊か?」
「くそう、倒すぞ」
「早く!みんな出てこいっ!!」
左右の横穴から次々と獣人たちがぞろぞろと出てきた。彼らの服は一様に焦げ、所々穴が空きボロボロでした。町で騙され連れてこられた獣人たちのようです。ざっと見ても20人は居るでしょうか。
手にはそれぞれ武器を持ち私たちを睨み付けています。
「私たちは本物の獣人騎士団です。私は隊長のシオン・マクガイヤ。
ここに我が息子シリウスを誘拐しようとした不届きなニセ獣人を探しに来ました……貴方がたで間違いないですか?」
フードとマントを取り払い獣人騎士団であることを示した。
スッと剣を突きつけると、獣人たちの顔色が悪くなった。
「あ、あんたが隊長?
ちょっと待ってくれ!ニセ者?ち、違うぜ。俺たちは本物に成れると聞いた!」
「そうだぜ!
隊長の息子は誘拐じゃなくて王城から北の山まで護衛しろって獣人騎士団の代理の人間に命令されたんだ」
「代理人が隊長が北の山で騎士団として体を鍛えろって命令をしてるって。だから鍛練の一貫として足らない軍費用を賄う魔石を掘らされてるんだ!」
「俺たちは代理の人間なんて雇ってない。それはさ、あんたたち獣人を都合よく使う為の嘘だよー。
でもさ………少しでも怪しいと思わなかったのかい?」タスクが肩を竦め、呆れるように言った。
「そんな、怪しいなんて……ちっとも」
「騙すなんて、酷い……」
「……おっ母に…なんて話せばいいんだ?」
力なく項垂れる獣人たち。
「……確かに騙されていた貴方たちは被害者です」
「じゃあ!」
「騙されていたとしても、獣人騎士団を名乗りシリウスを危険な目に遇わせたことをお忘れなく」
冷ややかな目で獣人たちを睨み付けた。冷気でピキピキと地面が凍っていく。「ひっ」と悲鳴をあげて数名が尻餅をついた。
「まあ、シオン隊長落ち着いてよ。彼らは騙されていたんだしさー。あんたら代理人捕まえる協力してよ。悪いようにはしないからさー」
タスクが人当たりの良い笑顔で提案すると、間髪入れず獣人たちは頷いた。
「貴方たちは……自分で物事を考え、自分で良し悪しを判断しなさい。簡単に目先の甘言に飛び付ついしまうから、騙されて都合よく使われてしまうんですよ?同じ獣人として忠告します。同族こそ気をつけて下さい」
騙されて知らなかったでは済まないことがあります。
「……シオン隊長って俺に思うところでもあるの?」タスクが物言いたげな視線を私に向けた。
◇
ニセ獣人騎士団に扮した獣人騎士団は様子を確認しに来た代理人を捕縛した。手足を拘束されて床に転がる男。
「あれ?この人……確か、ローベルハイム公爵家の?」
「……やはり……シリウスを誘拐し殺そうとしたのですね?」
憎悪で顔を歪めるのはローベルハイム公爵家の家令ヤトだった。
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