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十六話 Side:エルンスト
しおりを挟むあれから色々あった。エレアノールがどうして勘違いしていたのか理由もはっきりとしたし、兄上とカタリナ嬢をくっつけることにも成功した。
兄上は、一目ぼれしたカタリナ嬢のことをずっと密かに好いていたらしい。それは相手も同じようなもので、両片想い状態だったようだ。
他人のことよりも僕のことだ。
僕とエレアノールも両想いだったことが、嬉しすぎて背中から羽が生えてきそうである。勿論比喩だけど。
「エレア。愛しているよ」
膝の上に乗せたエレアノールに口づけると、彼女は顔を真っ赤にして俯く。とても可愛らしくて愛おしい。思わず笑みが零れる。
「エル様」
「どうしたの?」
エレアノールの望むことは何でも叶えてあげたい。当然、僕が許容できる範囲内で、だけど。
「……こ、これ、恥ずかしいです」
「そうかな。僕は恥ずかしくないけど」
「わたくしは恥ずかしいのです! おろしてくださいませ!」
じたばたとエレアノールが暴れるので、僕は後ろから彼女を抱きしめた。強く抱きしめると、彼女はすぐに動きを止める。
「可愛い」
「……っエル様もかっこいいです」
エレアノールの真っ赤になった耳に囁くと、お返しと言わんばかりに彼女はこう返してくる。それが嬉しくて、僕はわざと彼女をからかっている。からかえばからかうほど、彼女は僕に仕返しをしてくれるのだ。
それに、僕はセルナ嬢と協力して、エレアノールに流行に乗った沢山のことを実践させている。彼女は扱いやすいので、ちょっと煽ると対抗して何でもしてくれるのだ。純粋すぎて、心配になる。僕が彼女を守るから問題はない。
彼女が猫耳アレンジの髪型をした時には、可愛すぎて理性が空の上に飛んでいくかと思ったほどだ。
「エレアは柔らかいね。抱き心地がいいよ」
「や、柔らかい、ですか……?」
僕の言葉にエレアノールは少しショックを受けているようだ。しまった、語弊を生む言い方をしてしまった。
「柔らかくて、抱く時は大層気持ちがいいのだろうなぁと思ったのだよ」
僕だって男だ。それも年盛りの。欲はあるし、人より欲が強いと思う。だからつい、そういうことも考えてしまう。
一応言い換えたのだが、彼女はもっと顔を赤くして俯いた。可愛すぎて、いたずらしたくなる。
どうしたら、君の頭の中にいるのが僕だけにすることができるのだろう。やっぱり、どこかに閉じ込めて、愛を囁き続けるべきだろうか。そんなことをしたら、僕は御義父上に殺されるかもしれないけど。
「愛しているよ、エレア」
「……わたくしも、愛しています」
ああ、流行に感謝しないといけないな。
婚約破棄ブームのお陰で、僕はエレアノールの心を手に入れることができたのだから。
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