異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki

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第123話 CHAOS

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「ハーゲル様、ご報告が…」

「……なんだと、『THE:C』にVIP客が取られているだと…?」

「今のところ取られていると言うのは大袈裟ですが、いつもならこちらの『CHAOS』に宿泊されるところが…」

年末年始の客数は前年比割れでした。

「なぜだ? どうしてだ?」

客室数やカジノの床面積もこちらが上だというのに…。

「理由は分かりません。ですが女性客の数だけが減少しているのです」

「女性客ばかりだと…?」

「もしかすれば運営方針を変えたのかもしれませんね」

「……」
ようやく客室数やカジノの床面積で勝てないと理解したか…。

「それで…どんな風に変わったんだ?」

「詳しくは分かりませんが、おそらく美容関係に特化しているのかと…」

『THE:C』のオーナーはラスベガスのホテルオーナーなら知らない者がいないほど稀にみる醜い容姿でしたが、ある日突然人間らしく、それも艶やかに瑞々しく変貌したのです。

もっぱらカスタムしたとの噂ですが、短期間であそこまで変貌させる病院や医師がいるのでしょうか…。
とにかく費用は相当なものだったと思われます。

「なるほどな…。自分の変貌をきっかけにしたって訳か…。浅はかだな…」

「いえ、おそらくはあの方達が広告塔として協力されていたのかもしれません」

「あの方達…?」

「ご存知ないのですか? 昨年の秋頃に街に現れた8人の美女達を…」

特にその内の2人は絶世と言っても過言ではありません。
最近は目にする機会が減ったという事ですが…。

「……あぁ、その話は聞いた気がするな」

すれ違えば誰もが振り返り、一目見ればくぎ付けになるそうだが、残念ながら実物は見ていない。

「その女性達が『THE:C』を定宿にしているみたいなのです」

「だから?」

「ハァ~、女性は男性と違い必ずしもカジノが目的ではありません。ショッピング、人気のイベント、最先端のサービスを体験したいのです」
「女性が羨むほどの美女がいればどうすれば同じようになれるか知りたくなり、自分も同じようにと望むものなのです」

「ハハ…、女の欲望は果てしないからな…」

「笑い事ではありませんよ。だからこそ噂であれ何であれ女性達は『THE:C』に泊ろうとするのです」

「分かった、分かった。ではこちらも女性客に対して美容関係のサービスを拡充すれば良い」

「そんな簡単におっしゃられても…」

「女性客については任せる。とにかくカジノに来てくれる男性客を掴んでおけば問題ないだろう」
「ラスベガスでの美容ブームは一時的なものさ…」

何を試みようが我が『CHAOS』より秀でた所は立地以外にないのだからな…。

「ハァ~」



XX XY



「コーエル様、ホテルの調子はどうですか?」

僕達は今、再びラスベガスの『THE:C』に来ています。
桃子をパートナーにしたので、次のジェニファー・オルグレンさんの依頼を受ける前に立ち寄ったのです。

「どうもこうも…。年末前からVIPルームは予約でいっぱいです。宿泊されたお客様はとても満足されており、今後は顧客になってくださるそうです」

目的だった『CHAOS』のお客様だけじゃなく、他のホテルの顧客だった方達まで…。

「それは良かったですね」

「まさかあんなお風呂が存在するだなんて…」

客室を減らしてまで大きな浴場を造られることに驚きましたが、その効果は絶大です。

「ご主人様にしか造れませんからね」

「コーエル様達もあれから毎晩お客様に交じって入りに行かれているんでしょ?」

「当然ですよ。何度もイってしまうほど気持ちが良いんですから…」

そのおかげで【淫紋】もずいぶん現れてきました。

「それにしてもVIP相手にプライベート浴場にしないで大浴場にするという発想はありませんでしたよ」

「さすがにそれぞれの個室に設けるのは効率が悪いからね」
「お客様同士お互いの痴態や変貌を見せ合うというのも効果的なんだよ」

仲間意識や競争意識が生まれ、何度でも来たいと思ってもらうのです。

「フフ…、今なら私も理解できます」

「くれぐれも身元調査だけは怠らないようにね」

「はい、シャルル様がくださった道具で、私が責任を持って確認しています」

「頼むよ」

コーエル様には【AI】と【意識操作】の魔法を付与した“シャルルの杖”という新しい魔道具を渡しています。

杖と言っても形は『MIB』に出てくる“ニュー〇ライザー”に似せた物で、これでお客様の素性と目的を確認し、更に入浴後はお風呂の仕様について忘却させています。

お客様の記憶には入浴すると気持ち良くて身体が変貌するという結果が残りますが、どんなお風呂だったかは思い出せないのです。

顧客を増やすためにはお風呂の宣伝をしてもらった方が良いのですが、宿泊することによって変貌した姿を見てもらうだけで効果的な宣伝になるはずです。

まぁ、一気に広まってもキャパオーバーだからね…。

「入浴料が1回(1日)につき100万ドルというのも凄いですね…」

宿泊料金と変わらないのですが、一度利用すると滞在中は毎日利用されるのです。

「マスター特製のお風呂はそれぞれ1000万ドルなのですよ。コーエル様にはその価値がないと…?」

「そ、そんな事は…。むしろ2000万ドルで両方のお風呂が買えるのなら欲しいぐらいです」
「えっ、もしかして…、買えるのですか!?」

「その価格で販売したこともありますからね…」

「じ…自宅に欲しいです!」

「う~ん、仕方が無いかな…。もちろん他言無用ですよ」

バネッサ様は年齢制限もありパートナーには出来ませんが、ここまで知られれば特別にお風呂ぐらい仕方が無いでしょう。

「はいっ!」



「そういえば、僕のパートナー達もたまに来てくれているんだよね?」

「はい、週末ごとにお二人ずつ…。今は確かキャサリンさんとアメリアさんが…」

「そうなんだ…」

報告は受けていましたが、広告塔として頑張ってくれているみたいです。

「皆さんすっかり有名人ですからね」
「それでシャルル様、今回の目的は?」

「大したことじゃないよ。エステの依頼が入ってね。明日ロスに行くつもりだから寄ってみたんだ」

「そうでしたか、残念ながらドロシーはいなくて…」

「テニスを頑張っているんでしょ?」
「それより来たついでに早速お風呂を作ってあげるよ」

「嬉しいです。ドロシーも帰ってきたらきっと喜びますよ」
「あのお風呂に入ると疲れも癒されるそうで、テニスも好調らしいです」

「それは良かったよ」



XX XY



私はルイス。

『CHAOS』のオーナーであるハーゲル様の秘書をしています。

少し前からVIPの女性客達が隣の『THE:C』に滞在するようになりました。

まだ、気にするほどではありませんが、他のホテルからもVIPの女性客ばかりが『THE:C』に流れているという噂を聞きます。

ハーゲル様は楽観的におっしゃいますが、一体何が…。



(あっ、いました!)

昨年の秋頃からよくカジノに現れるようになった女性達。
皆が振り返るほど艶やかで瑞々しく、ラスベガスで話題になっています。

『THE:C』に滞在しているようですがカジノで遊ぶのはいつも他のホテルのようです。

あまりの美しさに女性達が秘訣を聞こうと声を掛ける事もあるそうですが、その後は決まって『THE:C』に移られるのです。

(理由は分からないけれど、やっぱりホテルに何かあるのね…)

このままでは本当に数字以上に表面化してきそうです。



「すみません、少しよろしいでしょうか?」

「はい? 何か?」

「怪しい者ではありません。当ホテルのオーナー秘書をしているルイスという者ですが、ラスベガスで話題の方達をお見かけしましたのでご挨拶をと…」

本当に何て美しさなの…。
艶やかな髪に瑞々しい肌、同じ女性とは思えません。

「それはご丁寧に…。私はキャサリン…」

「私はアメリアです」

「確かお二人以外にも…?」

「そうですね。今ラスベガスに来ているのは私達だけですね」

「そうですか…」

最近では彼女達に出会う為にカジノへ来られるお客様も多いのです。
『CHAOS』に来ていただけて良かったわ…。
二人がいるだけで場の雰囲気が華やかになります。

「み…皆さんは『THE:C』にお泊りだとか…。次は当ホテルにお泊り頂けると嬉しいです。歓迎しますよ」

「とても嬉しいお申し出ですが、私達の旦那様が『THE:C』を気に入っておりまして…」

「そう言えばとても格好良くて逞しい男性だとか…。機会がありましたら是非ご挨拶させていただきたいですね」

以前、数回彼女達を連れて歩く姿が目撃されていて、女性客にとっては出会えることが一つの幸運なイベントになっているのだとか…。
私も噂でしか知りません。

「フフ…、旦那様は神出鬼没ですからね」

「ちょっと、キャサリン。シャルル様達はアメリカにいらっしゃるみたいよ(ボソッ)」

「本当なの!?(ボソッ)」

「だって、『イッちゃんねる(仮)』の“シャルル様なう”スレッドに…。お仕事だって…、行き先は分からないけれど…(ボソッ)」

このパートナー専用の掲示板て便利よね…。

「どうかされましたか?」

アメリアさんが何かを見て慌てておられるようです。
指輪型のディスプレイ装置とは便利そうね…。

「何でもありません」
「大丈夫です」

「ところで、『THE:C』では美容関係の設備に力を入れておられるとか?」

「……そうみたいですね」

(やっぱり…)
「どんな設備なのでしょう?」

「それが良く分からないのですよね~(もちろん嘘です)」

「分からない?」

「フフ…、ルイスさんも宿泊されてみればいかがですか…?」
「でも、VIPルームは予約でいっぱいだとか…」

偵察に来られても覚えていられませんけれどね…。

「そ、そうですか…」

ハーゲル様にお願いしてもケチなので経費にしてくださらないでしょうね~。



XX XY



「浴場の改修が終わったよ」

「シャルル様、ありがとうございます」

「コーエル様、【淫紋】はどれくらいになりましたか?」

ペラッ。

「アイ様、ここまで大きくなりましたよ」

「もう少しですね」

「“魔力風呂”と“スライム風呂”のおかげです」

当初では考えられないほどイキ易くなり、もう7割は現れていると思います。

「ところでコーエル様、『CHAOS』とは違い仲の良いホテルはあるのですか?」
「又はコーエル様の様に女性がオーナーのホテルとか…?」

「すみません、以前の容姿がアレだったものであまり交友が…。もちろんいくつか女性がオーナーのホテルはあります」
「ドリスなら詳しいかも…。それが何か…?」

「ちょっと聞いてみただけです。いずれ仲間に出来るホテルがあるかな…と…」

「マスター『THE:C』グループですね」

「なるほど…」

「いずれだよ…。目先の目標は『CHAOS』の吸収だからね…」

バネッサ様が【淫紋】を完成された後にでも検討してみようかな…。
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