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先生
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しおりを挟む部屋に独りと言う心細さから、それに手を伸ばして開く。
13件の着信を確認し、すべて威からだと知る。今朝起きてからも何件か来ていたようだった。
カチ…カチ……
『今、家かな?』
『忙しい?話したいことがあるから会いたいんだけど』
『何かあったのか?』
ぎゅっと握りしめた携帯が、ギシギシと音を立てた。
『葉、好きだよ』
携帯を握り込んでうずくまる。
「たけ…るっ……っ…ごめっ……ごめんっ………」
繰り返し名前と謝罪を呟き続けて嗚咽を漏らす。
『好きだよ』
その言葉に応える事ができるほど身も心も綺麗ではないと、葉人自身が一番良く知っている。
威の真っ直ぐにこちらへ向く黒い瞳を、自分のきたなさで汚したくなかった。
「た…威……っ」
溌剌とした笑顔でいつも傍にいてくれた威が、大切だった。
幼馴染みとして、
それ以上の存在として、
ぴ…ぴ…ぴぴ…
「…っ」
握りしめた携帯が、受信を告げた。
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