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嘘2
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しおりを挟む「気持ちよかったろ?」
無神経にそう言うと、外装が壊れた携帯を拾って葉人の前に突き出す。
「…気持ち……いいわけないっ」
壊れた携帯を握る、自分の体を撫で回した男の手を見つめて言うと、ぷっ…と司郎が吹き出す。
「あんなにヨガってか?」
「あれは…っ」
目の前の指が体を這い、胸の突起を弄った感覚が不意に甦る。
司郎の煙草臭い息が耳の傍へと寄ると、低い声が葉人の耳をくすぐった。
「俺はお前と、もう一度ヤりたいぜ?」
「──っ!?何言って…っ」
葉人は司郎を押し退けようとその肩を押したが、びくともせず、眉を寄せて顔を見上げるしかできない。
「……………っ」
先に視線を外して、踵を返す。
「待てよ」
腕を掴むと、司郎は葉人の腰に手を這わせ始めた。
「な…何考えて…っ…」
抵抗しようと、這い回る手を掴もうとしたが、震える手では力が込められず、無駄な行為に終わった。
「やめ…っぁ!」
首筋を舐めながら、司郎は小さく呟く。
「あいつがハマるのも、わかるな」
「あ…いつって……フェネクスの、こと…?」
司郎の手に心ならずも反応してしまう体を苦々しく思いながら、葉人は尋ねる。
「………ふぇ……?…ぷっ」
ゲラゲラと両手で腹を抱えて笑い出した司郎をきょとんと見やると、息をするのも苦しそうに肩を揺らしていた。
「あいつ、ナニ?なんかのゲームと勘違いしてんじゃね?趣味わりぃな」
「わ…っ笑い事なんかじゃ……」
司郎が腹を抱えて笑い飛ばすその悪趣味に、葉人は翻弄されてるのかと思うとふつふつと腹立たしさが募り、司郎を睨み付ける。
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